ヨークシン編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ただの向かい風だが車の速度も加わるとそれは凶器と化す。寒さで痛む耳を暖めつつ窓ガラスを強めに叩く。
「交代してくんない?天井冷たすぎんだけど」
「呆れたね。お前それでも氷雪系の念能力か」
「寒いもんは寒いんだよ。誰かカイロ貸して」
運が悪い事に全員持ってないとの返答にがっくりと項垂れてしまう。これならフランクリンとビール買いに行った方が数十倍マシだった。
『アイの念は追跡向きね』
おチビさんが推薦したせいで、面倒なことに私もウボォーギン救出組に急遽加わってしまった。
しかしここで一つ問題が発生した。なんせ追跡用に拾った車には、身を寄せ合っても五人までしか乗車出来ないのだ。つまり誰か一人は車の屋根に乗る形になってしまう。座席取りじゃんけんで負けた=屋根しか選択がない。しかも向かい風の上に速度を飛ばしているときた。念の仕様上寒さには多少の耐性はついているけれども、寒いものは寒い。 くっそう、ノブナガの心理作戦に引っかかったのが悔しい。
身を切る寒さにぶるぶると身体を縮こませつつも、前方に目を凝らすと目的の車を見つけた。
“凝″をすればキラキラと輝く蜘蛛のような細い糸が、車の中から出ている。あれか。
「見つけた」
「OK。飛ばすからしっかり掴まってて」
更にスピードが上がり、徐々に前方にある車と距離が縮まっていく。誰かが糸に気付いたがもう遅い。もう目と鼻の先にウボォーギンはいる。
「ちょっと行ってくる」
この距離なら相手の車に飛び乗ったほうが早い。前方の車体に飛び乗ろうと足を曲げた瞬間。
「誰?」
突如上から降ってきた男が、天井に着地した。ぎょろりと目玉を動かしたそいつは私を一瞥すると、何処からか巨大な布を取り出す。あ、これ念能力だ。布に包みこまれる前に、すぐに車から飛び降りて岸壁側に飛び移る。 数秒開けて危機感を察知したマチたちも移動してきた。あれノブナガだけがいない。
「ノブナガの位置からして逃げるのは無理か」
両端が逃げるまでは身動きできない。あの状況での数秒遅れは命取りになる。巨大な布は巾着サイズと変化して、ノブナガは出せと騒いでいる。小さくなってもよく通る声だこと。
「あの布で包んだものを小さくするんだ。万引きするのに凄い便利」
「あれならお宝もポケットに入っちまうな」
「地下競売場からお宝を運び出したのはあいつってわけか」
お宝を盗んだ相手の分析をしていると、フェイタンが視線を横にずらす。意地悪そうに目を細めているから相手は。
「ん、お仲間が助けに来たね」
予め待ち伏せをしていたのか陰獣が数人ほど姿を現した。でもクロロが掴んだ情報と少し違う。陰獣は十人いるからここにいる七人と、ウボォーギンが倒した人数で合っているのなら。
じゃあさっきの鎖使いは一体何者?
「ねえ鎖野郎は陰獣達と無関係な奴だと思う?」
「さあ?こいつらに聞けばわかるね」
「全部生かしておくの?」
「いや。生かしておくのは梟って奴だけでいい」
「わかった。じゃあアイがこいつら片付けてよ。私久々にアイの念が見たい」
「え」
「そりゃ良い提案だ。梟は私がどうにかするから派手にやっちゃいなよ」
「え」
我関せずな態度を取っていたのに、いつの間にか仕事を押し付けられてしまった。 そりゃこのメンバーじゃ多人数相手を一網打尽に出来る私の念が最適だろう。けど疲れるからあんまり使いたくないんだよ。 ただでさえ寒いし。けど世間は世知辛い。手伝ってよと言っても誰も耳を貸してくれないし、被害を喰らわないためにとすぐさま距離を取られてしまう。陰獣共がボッチとなった私を指差して笑ってる。悔しくはないがビミョーに腹立つ。
「おいおい。仲間に見捨てられるとは、お前よっぽど人望ないんだな」
「顔は良いからな。存分に嬲ってやるよ」
「御託はいらない。くるならきなよ、三下」
相手にするのもだるくて地面に座り込む。舐められていると判断したのか、陰獣が一斉に襲い掛かってきた。残念だけど私が地面に触れている時点で手遅れなんだよ。
「絶対零度 」
「交代してくんない?天井冷たすぎんだけど」
「呆れたね。お前それでも氷雪系の念能力か」
「寒いもんは寒いんだよ。誰かカイロ貸して」
運が悪い事に全員持ってないとの返答にがっくりと項垂れてしまう。これならフランクリンとビール買いに行った方が数十倍マシだった。
『アイの念は追跡向きね』
おチビさんが推薦したせいで、面倒なことに私もウボォーギン救出組に急遽加わってしまった。
しかしここで一つ問題が発生した。なんせ追跡用に拾った車には、身を寄せ合っても五人までしか乗車出来ないのだ。つまり誰か一人は車の屋根に乗る形になってしまう。座席取りじゃんけんで負けた=屋根しか選択がない。しかも向かい風の上に速度を飛ばしているときた。念の仕様上寒さには多少の耐性はついているけれども、寒いものは寒い。 くっそう、ノブナガの心理作戦に引っかかったのが悔しい。
身を切る寒さにぶるぶると身体を縮こませつつも、前方に目を凝らすと目的の車を見つけた。
“凝″をすればキラキラと輝く蜘蛛のような細い糸が、車の中から出ている。あれか。
「見つけた」
「OK。飛ばすからしっかり掴まってて」
更にスピードが上がり、徐々に前方にある車と距離が縮まっていく。誰かが糸に気付いたがもう遅い。もう目と鼻の先にウボォーギンはいる。
「ちょっと行ってくる」
この距離なら相手の車に飛び乗ったほうが早い。前方の車体に飛び乗ろうと足を曲げた瞬間。
「誰?」
突如上から降ってきた男が、天井に着地した。ぎょろりと目玉を動かしたそいつは私を一瞥すると、何処からか巨大な布を取り出す。あ、これ念能力だ。布に包みこまれる前に、すぐに車から飛び降りて岸壁側に飛び移る。 数秒開けて危機感を察知したマチたちも移動してきた。あれノブナガだけがいない。
「ノブナガの位置からして逃げるのは無理か」
両端が逃げるまでは身動きできない。あの状況での数秒遅れは命取りになる。巨大な布は巾着サイズと変化して、ノブナガは出せと騒いでいる。小さくなってもよく通る声だこと。
「あの布で包んだものを小さくするんだ。万引きするのに凄い便利」
「あれならお宝もポケットに入っちまうな」
「地下競売場からお宝を運び出したのはあいつってわけか」
お宝を盗んだ相手の分析をしていると、フェイタンが視線を横にずらす。意地悪そうに目を細めているから相手は。
「ん、お仲間が助けに来たね」
予め待ち伏せをしていたのか陰獣が数人ほど姿を現した。でもクロロが掴んだ情報と少し違う。陰獣は十人いるからここにいる七人と、ウボォーギンが倒した人数で合っているのなら。
じゃあさっきの鎖使いは一体何者?
「ねえ鎖野郎は陰獣達と無関係な奴だと思う?」
「さあ?こいつらに聞けばわかるね」
「全部生かしておくの?」
「いや。生かしておくのは梟って奴だけでいい」
「わかった。じゃあアイがこいつら片付けてよ。私久々にアイの念が見たい」
「え」
「そりゃ良い提案だ。梟は私がどうにかするから派手にやっちゃいなよ」
「え」
我関せずな態度を取っていたのに、いつの間にか仕事を押し付けられてしまった。 そりゃこのメンバーじゃ多人数相手を一網打尽に出来る私の念が最適だろう。けど疲れるからあんまり使いたくないんだよ。 ただでさえ寒いし。けど世間は世知辛い。手伝ってよと言っても誰も耳を貸してくれないし、被害を喰らわないためにとすぐさま距離を取られてしまう。陰獣共がボッチとなった私を指差して笑ってる。悔しくはないがビミョーに腹立つ。
「おいおい。仲間に見捨てられるとは、お前よっぽど人望ないんだな」
「顔は良いからな。存分に嬲ってやるよ」
「御託はいらない。くるならきなよ、三下」
相手にするのもだるくて地面に座り込む。舐められていると判断したのか、陰獣が一斉に襲い掛かってきた。残念だけど私が地面に触れている時点で手遅れなんだよ。
「