ヨークシン編
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ヨークシンは大都会なので会社も多いが、弱肉強食の世界だからか倒産する会社も少なくはない。
中心街から離れ数多の廃ビルが並ぶ背景には、かつて世間との戦いに負けた会社の虚しさが詰まっている。
怨念じみた薄気味悪さを地元の人間は感じるのか、廃ビル周辺には地元の人間すら立ち寄らない。
廃ビルが幾多も立ち並ぶうちの一つが、今回の幻影旅団の集合場所だ。
誰よりも先に廃ビルに集まったクロロの後を着いていく。
無論と言うべきか当たり前なんだけど、ビルの中に入った途端クロロは瓦礫の上に座り持ってきた本に没頭し始めた。
別に話し相手になってほしいわけじゃないのだけど。
クロロの紙をめくる音だけが室内に響く空間というのは、どうにも居心地が悪い。
外に行きたいけどクロロは決して許しはしないだろうし。
お菓子を食べる気分でもないから、ここは素直に寝るとしよう。
誰か来ても起こさないでねとクロロに伝えて、比較的埃が少ない瓦礫の上で寝そべり目を閉じた。
「アイ?アイじゃねえか。んだよ来てるなら連絡しろよ」
「来たくて来たわけじゃない。ちょっとやめて、髪の毛ぐしゃぐしゃにしないで」
フィンクスがこんなにもちょっかいをかけているのに、パクノダもシャルナークも終いにはクロロすら止やしない。
むしろ子猫がじゃれついているのを眺めているような、生温かな視線を寄こしてくる。
うっわ、ここに味方はいないんだ。
絶望する私にお構いなしに、フィンクスは未だにわしゃわしゃと乱暴に髪の毛を乱してくる。
ちょっと腹に来たので、鉄拳制裁として脛を強めに蹴ってやると彼は大げさに呻いた。
「ってーな!!何すんだよ」
「そっくりそのまま台詞返すけど?今のもそうだけど、よくもまあ思いっきり身体を揺さぶって起こしてくれたね。力加減下手くそすぎるんだけど」
「ハンッ!!ぐーすか寝てるアイが悪いんだよ」
「へぇ、脳の髄までカチコチに凍らされるのが趣味なんだ」
「あ?やれるもんならやってみろや」
「ふふっ。アイ、アイちょっと」
「なに?」
フィンクスとメンチを切り合っていると、シャルナークに名前を呼ばれた。
おいでと手招きしている彼の近くに来れば、シャルナークは笑いを堪えきれない顔をしている。
ちょっと意味深な笑み止めてよ、警戒するでしょ。
「フィンクスの乱暴な態度だけど。あれ、照れ隠しだから。本当はアイを起こすのにすっごい躊躇っていたんだよ。ま、途中で恥ずかしくなって強引に起こす方針にしたんだけど」
「そうそう。最初はアイが風邪ひかないよう、自分の上着かけてあげようとしたのよ。結局照れ臭かったようで実行しなかったけど」
「パクノダ!シャルナーク!お前ら余計な事言ってんじゃねえっ!」
二人の指摘が図星だったのか途端に顔を真っ赤にしたフィンクス。
照れ隠しを誤魔化すように、真っ先にシャルナークに殴りかかった。
途端に始まった二人の殴り合いを、まるで子供の争いのように優しく見守るパクノダ。
うーん、相変わらず騒がしい人たちだこと。
フィンクスのせいで目が覚めたのでもう一回寝ようとしたけど。
彼等の集まりを皮切りに、続々と団員が集まってきたので昼寝どころじゃなくなってしまった。
ウボォーギンは私に会った途端、いきなり高い高いしてくるし。
マチたちとやって来たフェイタンは私と視線が合った瞬間、ネチネチと長ったらしい嫌味ぶつけてくるし。
ノブナガは私を見て何故だか大笑いしてくるし、散々な日すぎる。
一番面倒だと感じたのは、言い方は違えど全員が口を揃えて“旅団に入りなよ”と歓迎してくる事だろうか。
私はゾルティック家の人間だから、賞金がかかっている組織には加入しないとずっと前からきっぱり断っているのに。
諦めが悪いというかしつこいというべきか。
彼等は、あの手この手で言質を取ろうとしてくるから油断も隙もない。
天井の割れたステンドグラスから満月の光が差し込む時間帯。
この時間になると旅団メンバーはほぼほぼ全員集まり、残すは“あの”奇術師だけなのに。
彼はこの時間になっても未だに姿を現していなかった。
適当な柱に身体を預けて出入り口を見ているけど、彼の気配を全く感じない。
一体どこで油を売っているのやら。
「遅いなあヒソカ。電話した方が良いかな」
「やめとけ、あいつ異常なほどお前に執着してるだろ。下手に刺激すると“アイ はボクのモノ〜”とかふざけた事抜かしやがるに決まってらぁ」
「ノブナガの言う通り。アイ、やめといたら」
シズクが同意するように頷くと、他の団員…特にウボォーギンから絶対電話するなよと釘をさされた。
本当に今更過ぎるけど、ヒソカはメンバーから全然信頼されてないんだ。
これも日頃の態度のせいだから、フォローはしないけど。
ウボォーギンはヒソカが来ないことにかなり苛立っているのか。
野生動物が威嚇しているかのように唸り、空気が歪むほど殺意を漲らせている。
ヒソカ、早く来ないと本当に殺されちゃうよ。
ふわぁと欠伸をした瞬間、頬っぺたを誰かに突かれた。
誰が来たなんて目を瞑っていたってわかる。
「嬉しいなあ、またアイに会えるなんて♡これも運命だね♧」
「空気読める?」
容赦なく刃物みたいな殺気飛んできてるじゃん。
殺伐とした空気にも怯まないどころか、ヒソカは遅刻した事にすら詫びない。
ここまで正々堂々としている態度は一周回って褒めるべきじゃないか。
私は褒めないけども。
何はともあれ、ヒソカが到着したのを確認したクロロは読んでいた本を閉じ。
ゆっくりと立ち上がり、予め聞いていた内容を団員たちに話した。
オークションの宝を全て奪う=全マフィアを敵にするという解釈に、ウボォーギンはギラギラと目を輝かせ歯を剥き出しにして嗤っていた。
世界中のマフィアを敵に回すのがそんなにも嬉しいのか。
私には一生理解できない感情だ。
「さあ命じてくれ団長!!今すぐ!!!」
「オレが許す。殺せ。邪魔する奴は一人残らずな」
“団長”から下された命令に、ウボォーギンが嬉しそうに雄叫びを上げ。
他の団員たちも、満更でもなさそうな顔で頷いた。
さて家に帰りたくて仕方ないけど、“団長”の命令には私も逆らえないし。
ここから貸しをしっかりと返すとしますか。
中心街から離れ数多の廃ビルが並ぶ背景には、かつて世間との戦いに負けた会社の虚しさが詰まっている。
怨念じみた薄気味悪さを地元の人間は感じるのか、廃ビル周辺には地元の人間すら立ち寄らない。
廃ビルが幾多も立ち並ぶうちの一つが、今回の幻影旅団の集合場所だ。
誰よりも先に廃ビルに集まったクロロの後を着いていく。
無論と言うべきか当たり前なんだけど、ビルの中に入った途端クロロは瓦礫の上に座り持ってきた本に没頭し始めた。
別に話し相手になってほしいわけじゃないのだけど。
クロロの紙をめくる音だけが室内に響く空間というのは、どうにも居心地が悪い。
外に行きたいけどクロロは決して許しはしないだろうし。
お菓子を食べる気分でもないから、ここは素直に寝るとしよう。
誰か来ても起こさないでねとクロロに伝えて、比較的埃が少ない瓦礫の上で寝そべり目を閉じた。
「アイ?アイじゃねえか。んだよ来てるなら連絡しろよ」
「来たくて来たわけじゃない。ちょっとやめて、髪の毛ぐしゃぐしゃにしないで」
フィンクスがこんなにもちょっかいをかけているのに、パクノダもシャルナークも終いにはクロロすら止やしない。
むしろ子猫がじゃれついているのを眺めているような、生温かな視線を寄こしてくる。
うっわ、ここに味方はいないんだ。
絶望する私にお構いなしに、フィンクスは未だにわしゃわしゃと乱暴に髪の毛を乱してくる。
ちょっと腹に来たので、鉄拳制裁として脛を強めに蹴ってやると彼は大げさに呻いた。
「ってーな!!何すんだよ」
「そっくりそのまま台詞返すけど?今のもそうだけど、よくもまあ思いっきり身体を揺さぶって起こしてくれたね。力加減下手くそすぎるんだけど」
「ハンッ!!ぐーすか寝てるアイが悪いんだよ」
「へぇ、脳の髄までカチコチに凍らされるのが趣味なんだ」
「あ?やれるもんならやってみろや」
「ふふっ。アイ、アイちょっと」
「なに?」
フィンクスとメンチを切り合っていると、シャルナークに名前を呼ばれた。
おいでと手招きしている彼の近くに来れば、シャルナークは笑いを堪えきれない顔をしている。
ちょっと意味深な笑み止めてよ、警戒するでしょ。
「フィンクスの乱暴な態度だけど。あれ、照れ隠しだから。本当はアイを起こすのにすっごい躊躇っていたんだよ。ま、途中で恥ずかしくなって強引に起こす方針にしたんだけど」
「そうそう。最初はアイが風邪ひかないよう、自分の上着かけてあげようとしたのよ。結局照れ臭かったようで実行しなかったけど」
「パクノダ!シャルナーク!お前ら余計な事言ってんじゃねえっ!」
二人の指摘が図星だったのか途端に顔を真っ赤にしたフィンクス。
照れ隠しを誤魔化すように、真っ先にシャルナークに殴りかかった。
途端に始まった二人の殴り合いを、まるで子供の争いのように優しく見守るパクノダ。
うーん、相変わらず騒がしい人たちだこと。
フィンクスのせいで目が覚めたのでもう一回寝ようとしたけど。
彼等の集まりを皮切りに、続々と団員が集まってきたので昼寝どころじゃなくなってしまった。
ウボォーギンは私に会った途端、いきなり高い高いしてくるし。
マチたちとやって来たフェイタンは私と視線が合った瞬間、ネチネチと長ったらしい嫌味ぶつけてくるし。
ノブナガは私を見て何故だか大笑いしてくるし、散々な日すぎる。
一番面倒だと感じたのは、言い方は違えど全員が口を揃えて“旅団に入りなよ”と歓迎してくる事だろうか。
私はゾルティック家の人間だから、賞金がかかっている組織には加入しないとずっと前からきっぱり断っているのに。
諦めが悪いというかしつこいというべきか。
彼等は、あの手この手で言質を取ろうとしてくるから油断も隙もない。
天井の割れたステンドグラスから満月の光が差し込む時間帯。
この時間になると旅団メンバーはほぼほぼ全員集まり、残すは“あの”奇術師だけなのに。
彼はこの時間になっても未だに姿を現していなかった。
適当な柱に身体を預けて出入り口を見ているけど、彼の気配を全く感じない。
一体どこで油を売っているのやら。
「遅いなあヒソカ。電話した方が良いかな」
「やめとけ、あいつ異常なほどお前に執着してるだろ。下手に刺激すると“アイ はボクのモノ〜”とかふざけた事抜かしやがるに決まってらぁ」
「ノブナガの言う通り。アイ、やめといたら」
シズクが同意するように頷くと、他の団員…特にウボォーギンから絶対電話するなよと釘をさされた。
本当に今更過ぎるけど、ヒソカはメンバーから全然信頼されてないんだ。
これも日頃の態度のせいだから、フォローはしないけど。
ウボォーギンはヒソカが来ないことにかなり苛立っているのか。
野生動物が威嚇しているかのように唸り、空気が歪むほど殺意を漲らせている。
ヒソカ、早く来ないと本当に殺されちゃうよ。
ふわぁと欠伸をした瞬間、頬っぺたを誰かに突かれた。
誰が来たなんて目を瞑っていたってわかる。
「嬉しいなあ、またアイに会えるなんて♡これも運命だね♧」
「空気読める?」
容赦なく刃物みたいな殺気飛んできてるじゃん。
殺伐とした空気にも怯まないどころか、ヒソカは遅刻した事にすら詫びない。
ここまで正々堂々としている態度は一周回って褒めるべきじゃないか。
私は褒めないけども。
何はともあれ、ヒソカが到着したのを確認したクロロは読んでいた本を閉じ。
ゆっくりと立ち上がり、予め聞いていた内容を団員たちに話した。
オークションの宝を全て奪う=全マフィアを敵にするという解釈に、ウボォーギンはギラギラと目を輝かせ歯を剥き出しにして嗤っていた。
世界中のマフィアを敵に回すのがそんなにも嬉しいのか。
私には一生理解できない感情だ。
「さあ命じてくれ団長!!今すぐ!!!」
「オレが許す。殺せ。邪魔する奴は一人残らずな」
“団長”から下された命令に、ウボォーギンが嬉しそうに雄叫びを上げ。
他の団員たちも、満更でもなさそうな顔で頷いた。
さて家に帰りたくて仕方ないけど、“団長”の命令には私も逆らえないし。
ここから貸しをしっかりと返すとしますか。