天空闘技場編
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「どこ行くの?」
「青い果実に忠告しに行くの♤このフロアは彼等にはまだ早い♢」
誰の事だろうと首を傾げたけどすぐわかった。
キルアとゴンか。
そういえば、メールに200階突入したよとか書いてあったっけ。
ご飯にすっかり夢中で、二人のことすっかり忘れてた。
ここに来るという事はようやく念を学ぶ、つまりウイングの出番か。
彼等に本物の“念”をしっかり教えて欲しいものだ。
「そうだ、ウイングを呼びにいかなきゃ。ヒソカが洗礼という名の【練】をぶつけるから来てって」
急いで支度し、部屋を出ると何故かヒソカがいた。
先に行ったんじゃないのと聞けば、「そろそろ君は外出したがるだろうから♡」とか言って腕を引かれる。
ヒソカ、もしかしてエスパーだったりする?
半ば強引に移動させられ、200階受付前の廊下に座らせられた。
受付嬢さん、頼むから引いた目で私を見ないでくれない?
視線の中眠る気にもならないので、ヒソカとトランプをしているとキルアのゴンの姿が見えた。
二人はこちらに気付き、驚いているのか口をぽかんと開けている。
「な!ヒソカ!!アイ!!何でここに!!」
驚愕していたキルアだったが、私と目線を合わせるとすぐに怒鳴ってきた。
連絡入れてないから大分怒っているな、あれ。
「アイ!!そっち危ねえからこっち来い!!」
「酷い物言いだ♡ボクが彼女に危害を加えるわけないだろ♧」
「ヒソカ…どうしてここに?」
ストーカーじみた行動をしたからだよ。
ゴンの問いに、ここにいるまでの経緯を自慢げに話すヒソカとは別に二人の顔は固い。
冷や汗を流しつつも、いつでも戦闘出来るように全身を漲らせている。
まあ無駄なんだろうけど。
「通さないよ♢というか通れないだろ♡」
受付に向かおうとする二人に、座った姿勢のまま【練】を放つヒソカ。
ついでに私も洗礼と称して【練】をぶつけておく。
両腕で顔を庇うように進もうとする二人だけど、全く前進していないし逆に後退りをしている。
ウイングはまだ来ないのかな。
「無理はやめなさい。今の君達じゃ天地がひっくり返ろうとここから先は進めない」
おや、ようやく先生役のお出ましか。
主役は遅れてやってくるとは、まさしくこういう状況を指すんだろう。
突如現れたウイングにゴンとキルアは驚きで言葉が出ないようだ。
「念教える気になった?」
「ええ、お陰様で。ヒソカと貴方の練を浴びせられれば流石に…」
面目ないと頭を掻いていたウイングだったが、本物の“念”を教えると二人に告げた。
受付時間ギリギリには戻ると一言告げ、二人を連れてその場を去っていく。
ひとまず、これで一件落着かな。
●●●
二人がヒソカと私の洗礼を突破した次の日。
まだ念をモノにしてないにも関わらず、ゴンは試合に挑んでしまい大怪我を負ってしまった。
ウイング、監督不行き届きって言葉を知ってる?
目の前で正座をしているウイングに、トントンと机を小指で叩く。
念を教えると言ってたけどこの有様は何?
「全治四ヶ月。それがゴンが医者から言い渡された結果だよ。四代行しか教えてないのに戦わせたのはどういう意味?」
「面目ありません。一応二ヶ月は我慢するよう言ったつもりなんですが…」
「ウイングさんは悪くないよ。オレが勝手に勝負を挑んだから」
「はぁ…」
ベットで上体を起こしたゴンにちらりと視線をやる。
ギドとの試合で負った傷は痛々しく、右腕は折れたのかギプスで巻いている。
念を覚えたての初心者にしては、この程度で済んだのが奇跡なんだろうけど。
だからって、最後まで抵抗せず攻撃を躱すなんてバカのやる事だ。
大股でゴンのいるベッドまで移動し、念を込めた手で彼の額に触れる。
僅かな念を感知したのか、ゴンは恐怖からか生唾を飲み込んだ。
「死にたいのなら。今ここで殺してあげるけど」
「ごめんなさい」
叱るとすぐにしゅんとするゴンは目を伏せて項垂れている。
その姿はまるで叱られた子犬のよう。
はぁ、怒る気が失せたわ。
もう起こってしまったものは仕方ないし、悪いのはゴンだけのせいじゃない。
くるりと後ろを振り向き、共犯者の頬をひったたく。
なに、自分は無関係ですみたいな顔してんの。
「いってーな!!何するんだよ」
「キルアは一応ゴンの友達でしょ。彼を自分以外に殺されたくないのなら。きちんと側で守ってやったら」
「…言われなくてもわかってる!」
キルアは罰が悪そうな顔をしていたが、まなじりを上げて文句を言い始めた。
「もしアイが一緒にいて止めてくれたら。ゴンは試合に出なかったかもな〜」
「ちょっとキルア」
「ゴンの試合中ヒソカの部屋でアップルパイ食べてたけど何か?」
ち、痛いところをついてきたな。
でも熱々のアップルパイに冷え冷えのバニラアイスが乗っていた絶品。
それから逃げる訳には行かなかったし。
ゴンは警告しても試合に行っていただろうし、いなくても止められるものじゃなかったんだ、うん。
「それにヒソカと一緒に【練】をオレたちに浴びせてたっていうことはアイも念を使える。黙っていたんだからアイも悪い。オレたちに説教する筋合いはないはずだろ」
びしいっと人差し指を向けるキルアは実に偉そうだ。
随分と生意気な口を聞くようになったものだ。
小さい頃は私から離れなかった甘えん坊だったのに。
キルアの屁理屈に賛同したのか、ゴンも頬を掻きながらも頷いている。
「うーん。確かにキルアのいう通り、出来れば早めに念を教えて欲しかったな」
「無理。口頭で説明できないからそこにいる優男に教わって」
「ボクのことですか…」
ウイングは苦笑いをしていたが、いきなり真顔になりゴンを叱り始めた。
自分を顧みない行動辺りとか、もっと言ってやって。
ウイングは誓いの糸なるものをゴンにつけ、キルアと私を連れ部屋に出た。
二人でベンチに座り、キルアはウイングに本来の目的を話す。
ついでにキルアが昨日の試合を語った。
自分を殺す相手にスリルを抱く、か。
つくづくゴンって変な子だな。
意外にも、キルアはゴンが約束を守るまで念を教わらないという。
抜け駆けすると思ったのにこれまた意外。
ふぅーんと相槌を打ちつつ話を聞きウイングと別れる。
天空闘技場に戻る道のりで、キルアからヒソカとの滞在期間はどれくらいだと聞かれた。
「で?アイはいつまでヒソカと一緒にいるつもり?」
「ぼちぼちしたら別れるよ。もう目的を果たしたから家に帰りたいし」
「え!?もうちょっと一緒にいようぜ。オレもゴンもアイともう少しいたいっていうか…」
どうしてか言葉がだんだん小さくなっていくキルア。
ちょっとだけ頬が赤くなっているというか、耳まで赤い。
風邪ひいたのかと尋ねれば、違うと全力で否定された。
昔からだけど、私の前だとすぐ顔が赤くなるね。
ちょっとだけそれが可愛いって感じているし、キルアの頼みは少しだけ叶えてやりたいと思っているけど。
「悪いねキルア、私はもう少しヒソカと過ごすんだ」