天空闘技場編
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ホテルに戻ろうと、エレベーターのボタンに指を伸ばす。
「上には行くけど一人で行くの」
「いい加減ボクを焦らし過ぎだよアイ♢他の男の部屋に入っていたし、ボクがいるのに浮気は駄目だよ♤」
ヒソカと付き合った覚えはないんだけど。
いつの間にか背後にいたヒソカに、勝手に乗車ボタンを押されてしまった。
ヒソカとの密室空間とか、かなり危ないから拒否したいのに。
逃げようにも強制的に乗せられて壁際に詰められてしまうし。
既にボタンは押されているから、エレベーターは自動に上に登っていく始末。
後戻りは出来ないのか。
もう、今すぐ扉ぶち壊したいんだけど駄目かな。
眼下に広がる景色をただぼうっと眺める。
200階から広がる夜景はそれなりに綺麗だけど、興味が惹かれるかといったら話は別だ。
景色なんて数十秒で飽きるし、一般的な女性のように夜景に感動なんてしない。
ヒソカの部屋に強引に連れてこられたけど、彼はシャワーを浴びているから今は独りだ。
ぶっちゃけめっちゃ逃げ出したいんだけど、即刻捕まりそうだからやめておこう。
夜景に飽きたのでベットに腰かけていると、風呂から出てきたヒソカに「夜景は堪能出来たかい?」と質問された。
堪能できたもなにも、フツーといったありきたりな感想しか出てこない。
私の答えにヒソカは少しぽかんとしていたけど、やがてくつくつと喉を鳴らして笑った。
普段は変態なのに、ヒソカって髪下すと雰囲気変わるよね。
顔が整っているからイケメンってこういう顔を言うんだろうか。
上機嫌そうなヒソカは、私の隣に座り顔を近づけた。
「一般の女の子は夜景が好きだと思ったけど♡アイはつくづく面白い子だ♢」
「約束通り会いに来たでしょ。帰ってもいい?」
「駄目♡ボクはまだ君を堪能してない♢最低でも二週間はいてもらう♤」
「永遠に黙りたいの?」
距離を詰めてきたヒソカの顔面に、利き手を翳す。
あと、私が数センチ手を近づけるだけで彼はすぐさま全身が凍り付く。
何人たりとも私から自由を奪おうとする奴は、全員氷像にしてやる。
殺気をかなり込めているのに、悔しいことにヒソカは私の脅しに全く屈してない。
しかも凍り付くのを恐れていないのか、自分から手を絡ませくる強メンタルっぷり。
うっそ、この状況でふつー恋人繋ぎしてくる?
「本当は君を軟禁したいけど♢ボクは君の意思を尊重するよ♧帰る場所がここの部屋なら外に出てもいい♡但しボク以外の男と遊ばないで♢」
ヒソカを引き離そうとしたけど、逆に彼の腕の中に引き寄せられてしまった。
うわ、ブラホック外されたんだけど。
しかも耳元でボソボソ喋ってくるの、本当やめてほしい。
背中からゾクゾクとした甘い痛みのようなものが襲ってくる。
どうも快楽じみた痛みには弱いんだよね…
小洒落たシャンプーの匂いが鼻につくのが地味にムカつく。
この状況をどうにか出来なくはないけど、後処理が確実にめんどくさいのは火を見るよりも明らかだ。
仕方ない、ここは我慢してヒソカと過ごすか。
左腕をヒソカの背中に回し、精いっぱい力を籠める。
「ルームサービス勝手に頼むからね」
翌朝、ヒソカに起こされ渡された携帯を特に疑問もなく開く。
キルアからの怒号の着信履歴は、寝ぼけている目にはちょっと辛い。
キルアが心配するのも無理はないか。
ウイングの部屋で『少し時間がかかる』っていったきり、部屋に戻ってないし。
かったるいけど、電話かけるとするか。
『もしも『アイ!!!一体全体どこ行ってたんだよ!!ウイングさんは居場所知らないって首振るし、ホテルいないし電話出ないし!!!』
『あーごめんごめん』
『アイさん大丈夫?誰かに捕まってたりはしない?』
『ある意味捕まってるといえるかな』
『え!!誰に!?』
ヒソカと答える間にブツっと会話が終わってしまった。
勝手に電話を切るなんて嫌な男だな。
通話ボタンを押したヒソカは悪びれもなく、テーブルを指差した。
「朝ごはん冷めちゃうよ♤ホットケーキ焼いたんだけど何枚食べる?」
「四枚。メープルシロップ多めで」
前言撤回、ヒソカはいい男かもしれない。
テーブルを見れば、黄金色の蜜がかかり頂点には四角いバターが乗っかっている王道的なホットケーキがある。
早く私を食べてとせがんでいるのが愛らしい。
早速椅子に座り、ナイフでホットケーキを切り分け一口。
こ、これは……!!
「デザートにムースもあるよ♢アイがボクとデートしてくれるならディナーには特製パフェも追加するけど♡」
「しょうがない。いいよ」
予想外すぎる衝撃な事実“ヒソカめっちゃ料理上手”
あまりにも衝撃が大きすぎて言葉すら出ない。
だってこのホットケーキ、中までしっかり火が通っているのは当然だけど、絶妙な火加減をされているのか食感はふっわふっわで空気みたい。
味も市販のホットケーキミックスと違って、喫茶店に出ているような本格的な甘さ。
どうしよう、このホットケーキ、すごい私好みすぎる。
頬杖をついているヒソカは、ホットケーキを食べる私を小動物でも眺めるような目つきで見ている。
「ボクの料理がそんなに気に入ったんだね嬉しいよ♡アイ自らが連絡してくれればいつでも手料理を振る舞うよ♤」
「しょうがないなあ」
改めてヒソカの連絡先を登録し直したのは、別に彼の口車に乗せられたからじゃない。
決して胃袋を掴まれたわけじゃない。
そう、あれ、話し相手が欲しかったからだ。
決して言い訳なんじゃないからね!!