実家編
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今日でやっとこさ二週間目だ。
長かった監禁生活もようやく終わりだ。
嫁にしようと虎視眈々と狙ってくる輩から、ようやく距離を取れる。
はぁ、ほんとうに長かった……
今すぐ帰っても良いんだけど、最後にやり残したことがあるんだよね。
庭と表現していいのかわからないほどの敷地がある森。
家から離れた森にて、あの子の名前を呼ぼうと声を張る。
「おいでミケ。久々に追いかけっこをしようか」
名前を呼べばすぐさま木々が生い茂る中から姿を表してきたミケ。
ミケは一般的な犬より遥かに巨大で、人体なんぞ容易く引き裂ける爪を持つ番犬だ。
大きい図体に飛びつき、もふもふの毛皮を堪能する。
はぁ、これよこれ。
このざらつきながらも、やんわりと感じるもふもふ感が味わえるのが実家の良いところだよ。
頭を擦り付けてくるミケの頭を撫でまくってやりつつ、唐突に私が姿を消すのがいつもの合図。
私を狩ろうとするミケから逃げまくるという、楽しい追いかけっこの始まりだ。
実家で1番楽しいのはミケと庭で遊ぶ時間だ。
これ以外の異論は断固として認めない。
数時間後、頃合いを見計らって姿を現してやる。
噛みつこうとしたミケはすぐさま平伏したので、頭を存分に撫でてやる。
本当はもっと遊んでやりたいけど、こちらの体力が尽きそうだからもうおしまいだ。
楽しい時間はあっという間に過ぎるものだ。
「じゃあねミケ。また来年」
うるうると遊びたがりな目線を向けるミケ。
ぐうっ、引き留めないで……
断腸の思いでミケと離れる。
そうだ、腹ごしらえも兼ねて執事室でなんかつまむとするか。
私が執事室に来た途端、少しだけ動揺しているら執事達。
おや、ゴトーがいないなんて珍しい。
予期せぬお客さんでも来ているんだろうか。
お客さんの顔を見に応接間に顔を出す。
ああ、そういうことね。
ゴトーと向かい側のソファに腰掛けるはゴン、クラピカ、レオリオの三人だ。
まさか本当にうちに来ていたとは。
試しの門を突破してくるなんて意外と根性があるんだ。
へぇ〜と感心していたら、ゴンが私に気づいたのか元気よく手を振ってきた。
「アイさん!久しぶり!元気にしてた?」
「うん」
「アイ様彼等と知り合いですか?」
怪訝そうな顔をしているゴドーに経緯を説明すれば、彼は何本もの青筋を立てた。
おっとヤンキーモードにチェンジか。
どこに不機嫌になる要素があったんだろうか。
ゴン達を睨みつけているのかドスの効いた低い声を出した。
「てめえらはキルア様に飽き足らずアイ様にまで会いにきたのか。身の程を弁えろ。お前らみたいな三下が気安く会っていいお方じゃねえんだ」
「んだとおっ!」
短気なレオリオが彼を殴ろうと立ち上がるけど、近くにいた執事にナイフを押し当てられ黙った。
弱いんだからしゃしゃり出ない方が良いのに。
「見苦しいものをお見せしましたアイ様。彼等を追い出しますのでしばしお待ちを」
ごきりと手首を鳴らすゴドーは、ゴン達を力づくで追い出す気だ。
でも彼等はここにいる、つまり門番すらも突破する実力があるのだ。
じゃあチャンスを与えても良いんじゃないの。
近くにいた執事にキルアはと聞けば。
彼はミルキの拷問が終わったので、彼等に会う為に別室で待機しているという。
もう少しキルアには待ってもらうとするか。
「コインゲーム」
「?」
「わざわざキルアに会いに実家に来てくれたんだ。いつものコインゲームで白黒つけたらどう?」
「ですがアイ様。キキョウ様が…」
「母さんはどうにでもなる。私は父さん達に別れの挨拶をしてくるから。ゴトーはゴン達と遊んでなよ」
私の提案にゴドーは少し迷っていた素振りだったが。
すぐにかしこまりましたと言って頭を下げた。
父さんに別れの挨拶を告げに部屋の前まで来た。
出来れば早く話終えてほしいんだけど……
僅かな希望を胸に秘めつつ分厚い鉄の扉を開ける。
溢れかえらんばかりのクッションに片膝を立てて座る父さんは、私から目線を逸らさない。
ミケと同種の獣を両脇に置き中央で尊大な態度を取っている父さんは獣の長のよう。
いつ来てもここは圧が重いというか息がしづらいというか。
ため息を飲み込み父さんの元へと近づき、別れを告げる。
「もう帰るのかアイ。来年と言わずいつでも来て良いんだぞ」
「遠慮しておく」
早く部屋を出たいんだけど、ずっしりと伸し掛かる部屋の圧に身体全体が重くなってしまう。
念を使ってなくてこれなんだもん。
ほんと、嫌になっちゃう。
頬杖をついていた父さんがおいでと手招きをした。
仕方ないと腹を括り、億劫すぎる身体を動かし父さんの膝の上に座る。
獲物を値踏みするような視線が刺さり、どうも落ち着かない。
窮屈というか精神的な圧迫感を感じて息苦しい。
はやく解放してくれないかな。
「もし外で恋人を作ったなら真っ先にオレに報告しろ。アイに相応しい男かこのオレが見定める」
「一応聞くけど父さんのお目にかかる男性ってどんな人」
「ゾルディック家同様に家柄が格式高くオレや親父と同じくらい腕っぷしが立つ男だ」
その条件に当てはまる男性が、全世界どれくらい当てはまるんだろ。
てかいるわけないし。
完全に恋人作るなよと念押しされているのが、手に取るようにわかってげんなりしてしまう。
現実逃避に父さんの側で寝ているミケの亜種を眺めていたら、さわりと触れられる感触。
父さんを見上げると愛おしそうな目をして、勝手に私のお腹をさすっていた。
うーん実に犯罪臭いというか、近親相姦は今時流行らないからやめてほしい。
いや、冗談抜きで本当に。
実の父親か祖父と強制結婚させられるくらいなら、イルミの方がまだマシだとすら思えるくらいだもん。
仮に家出をしてなければ待ち受けていたのは、家族と結婚orキルアの教育者になる未来だったんだろう。
ならば私は弟や妹を犠牲にしてでも即座に家から離れる。
良心の呵責に苛まれようとも知った事か。
父さんの膝の下で永遠にも思えるほどの時間が経ち。
ようやく行っていいぞと許可が出たので、素早く扉まで走り、瞬時にドアノブを握る。
少し警戒する私を見て、父さんは歯を剥き出しにして愉快そうに嗤った。
「アイ、離れていても父さんはいつでもお前の事を想っているよ」
長かった監禁生活もようやく終わりだ。
嫁にしようと虎視眈々と狙ってくる輩から、ようやく距離を取れる。
はぁ、ほんとうに長かった……
今すぐ帰っても良いんだけど、最後にやり残したことがあるんだよね。
庭と表現していいのかわからないほどの敷地がある森。
家から離れた森にて、あの子の名前を呼ぼうと声を張る。
「おいでミケ。久々に追いかけっこをしようか」
名前を呼べばすぐさま木々が生い茂る中から姿を表してきたミケ。
ミケは一般的な犬より遥かに巨大で、人体なんぞ容易く引き裂ける爪を持つ番犬だ。
大きい図体に飛びつき、もふもふの毛皮を堪能する。
はぁ、これよこれ。
このざらつきながらも、やんわりと感じるもふもふ感が味わえるのが実家の良いところだよ。
頭を擦り付けてくるミケの頭を撫でまくってやりつつ、唐突に私が姿を消すのがいつもの合図。
私を狩ろうとするミケから逃げまくるという、楽しい追いかけっこの始まりだ。
実家で1番楽しいのはミケと庭で遊ぶ時間だ。
これ以外の異論は断固として認めない。
数時間後、頃合いを見計らって姿を現してやる。
噛みつこうとしたミケはすぐさま平伏したので、頭を存分に撫でてやる。
本当はもっと遊んでやりたいけど、こちらの体力が尽きそうだからもうおしまいだ。
楽しい時間はあっという間に過ぎるものだ。
「じゃあねミケ。また来年」
うるうると遊びたがりな目線を向けるミケ。
ぐうっ、引き留めないで……
断腸の思いでミケと離れる。
そうだ、腹ごしらえも兼ねて執事室でなんかつまむとするか。
私が執事室に来た途端、少しだけ動揺しているら執事達。
おや、ゴトーがいないなんて珍しい。
予期せぬお客さんでも来ているんだろうか。
お客さんの顔を見に応接間に顔を出す。
ああ、そういうことね。
ゴトーと向かい側のソファに腰掛けるはゴン、クラピカ、レオリオの三人だ。
まさか本当にうちに来ていたとは。
試しの門を突破してくるなんて意外と根性があるんだ。
へぇ〜と感心していたら、ゴンが私に気づいたのか元気よく手を振ってきた。
「アイさん!久しぶり!元気にしてた?」
「うん」
「アイ様彼等と知り合いですか?」
怪訝そうな顔をしているゴドーに経緯を説明すれば、彼は何本もの青筋を立てた。
おっとヤンキーモードにチェンジか。
どこに不機嫌になる要素があったんだろうか。
ゴン達を睨みつけているのかドスの効いた低い声を出した。
「てめえらはキルア様に飽き足らずアイ様にまで会いにきたのか。身の程を弁えろ。お前らみたいな三下が気安く会っていいお方じゃねえんだ」
「んだとおっ!」
短気なレオリオが彼を殴ろうと立ち上がるけど、近くにいた執事にナイフを押し当てられ黙った。
弱いんだからしゃしゃり出ない方が良いのに。
「見苦しいものをお見せしましたアイ様。彼等を追い出しますのでしばしお待ちを」
ごきりと手首を鳴らすゴドーは、ゴン達を力づくで追い出す気だ。
でも彼等はここにいる、つまり門番すらも突破する実力があるのだ。
じゃあチャンスを与えても良いんじゃないの。
近くにいた執事にキルアはと聞けば。
彼はミルキの拷問が終わったので、彼等に会う為に別室で待機しているという。
もう少しキルアには待ってもらうとするか。
「コインゲーム」
「?」
「わざわざキルアに会いに実家に来てくれたんだ。いつものコインゲームで白黒つけたらどう?」
「ですがアイ様。キキョウ様が…」
「母さんはどうにでもなる。私は父さん達に別れの挨拶をしてくるから。ゴトーはゴン達と遊んでなよ」
私の提案にゴドーは少し迷っていた素振りだったが。
すぐにかしこまりましたと言って頭を下げた。
父さんに別れの挨拶を告げに部屋の前まで来た。
出来れば早く話終えてほしいんだけど……
僅かな希望を胸に秘めつつ分厚い鉄の扉を開ける。
溢れかえらんばかりのクッションに片膝を立てて座る父さんは、私から目線を逸らさない。
ミケと同種の獣を両脇に置き中央で尊大な態度を取っている父さんは獣の長のよう。
いつ来てもここは圧が重いというか息がしづらいというか。
ため息を飲み込み父さんの元へと近づき、別れを告げる。
「もう帰るのかアイ。来年と言わずいつでも来て良いんだぞ」
「遠慮しておく」
早く部屋を出たいんだけど、ずっしりと伸し掛かる部屋の圧に身体全体が重くなってしまう。
念を使ってなくてこれなんだもん。
ほんと、嫌になっちゃう。
頬杖をついていた父さんがおいでと手招きをした。
仕方ないと腹を括り、億劫すぎる身体を動かし父さんの膝の上に座る。
獲物を値踏みするような視線が刺さり、どうも落ち着かない。
窮屈というか精神的な圧迫感を感じて息苦しい。
はやく解放してくれないかな。
「もし外で恋人を作ったなら真っ先にオレに報告しろ。アイに相応しい男かこのオレが見定める」
「一応聞くけど父さんのお目にかかる男性ってどんな人」
「ゾルディック家同様に家柄が格式高くオレや親父と同じくらい腕っぷしが立つ男だ」
その条件に当てはまる男性が、全世界どれくらい当てはまるんだろ。
てかいるわけないし。
完全に恋人作るなよと念押しされているのが、手に取るようにわかってげんなりしてしまう。
現実逃避に父さんの側で寝ているミケの亜種を眺めていたら、さわりと触れられる感触。
父さんを見上げると愛おしそうな目をして、勝手に私のお腹をさすっていた。
うーん実に犯罪臭いというか、近親相姦は今時流行らないからやめてほしい。
いや、冗談抜きで本当に。
実の父親か祖父と強制結婚させられるくらいなら、イルミの方がまだマシだとすら思えるくらいだもん。
仮に家出をしてなければ待ち受けていたのは、家族と結婚orキルアの教育者になる未来だったんだろう。
ならば私は弟や妹を犠牲にしてでも即座に家から離れる。
良心の呵責に苛まれようとも知った事か。
父さんの膝の下で永遠にも思えるほどの時間が経ち。
ようやく行っていいぞと許可が出たので、素早く扉まで走り、瞬時にドアノブを握る。
少し警戒する私を見て、父さんは歯を剥き出しにして愉快そうに嗤った。
「アイ、離れていても父さんはいつでもお前の事を想っているよ」