「もう帰りたい……」

四次試験会場のゼビル島からもう抜け出したくてたまらない。
だって手元にあるプレートの点数は自分のを合わせればもう6点。
ターゲットが厄介な相手だったので救済措置である他の参加者のプレートを頂いた。
後六日も島にいなきゃいけないのにうんざりしてしまう。
一応お菓子を持ってきたけど絶対二日ぐらいでなくなるだろうし。

「適当な寝床でも見つけて時が過ぎるのを待つか」

島を歩き回ったお陰か人気がなさそうで、尚且つ目立ちにくい洞窟を発見した。
ついでに近くには小さめだが泳げるくらいには広い湖もあるからここを拠点としよう。
近くの山菜や魚などの食料も十分集めればやる事は終わったようなものだ。

どうせだから水浴びでもするとしますか。
尾行している職員に構わずとっとと衣類全てを脱ぎ近くの草むらに置いておく。
プレートは盗まれたら取り返せば良いので服と共に放置だ。
ざぷんと泉に飛び込めば肩まで浸かるほどの水量がある。
そこそこ水温は低いけど別に問題ないだろう。
ゆっくりと浸かっていると徐々に眠気が押し寄せてきた。
丁度頭の後ろに岩があるので枕代わりにしてくださいと言わんばかりだ。
ラッキーと思いつつゆっくりと瞼を閉じた。

「随分煽情的な姿を晒しているね♢」

肩を揺さぶられ目を開けると裸のヒソカが隣にいて。
透明な湖だからしっかりとヒソカのおったてているナニも視界に入ってしまう。
最悪の目覚めすぎる。
空を見上げれば私の内心を現したようなどんよりとした曇り空。
これで今すぐ一雨きたら私泣いちゃいそう。

「アイが魅力的な身体だから勃っちゃった♡責任取ってくれない♢」
「次その口を開いてみな。問答無用でヒソカを氷像にしてナニを砕いてあげるよ」
「怖い怖い♤」

至極残念そうにしながらも私の全身を凝視してくる変態。
素直に気持ち悪いのでさっと上がり服を着て素早く洞窟に戻る。
焚火を起こし魚を焼いていると足音が洞窟に響いた。

「入っていいと許可した覚えはないよ」
「ボクはアイとお喋りがしたいの♡もう点数は集まったのかい♧」

私の隣に腰を下ろしたヒソカに集めたナンバープレートを渡せば彼はにやりとほくそ笑んだ。
ターゲットはどうしたのという質問に仕方なく訳を話す。

私のターゲットはイルミを狙っているスナイパー。
直接手を下さなくともイルミに狩られるだろうから放っておくに限る。
何よりイルミに出会ったらすぐに小言を貰いそうで嫌だ。

「ほんっとうアイって鈍感だよね♢イルミの気持ちに全く気付いてないんだ♤彼がどうして君にねちねち文句をぶつけると思う♡」
「私が苦手だからでしょ」
「なるほど、これじゃイルミも苦労するわけだ♢」

一人納得したヒソカは勝手に焼いている魚を奪いどこかへ立ち去ってしまった。
以前魚を獲ってもらった礼に今回は見逃してあげよう。

焼き加減を間違えてしまい半分炭と化した魚に噛みついた。