ハンター試験編
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三次試験の会場へ向かう手段は飛行船らしい。
飛行船が珍しいのかゴンとキルアは犬のように元気に船内を走り回っている。
一体どこにそんな体力があるんだろうか。
「やあアイさん。これから食堂に行くのだが一緒にどうかな」
「いいよ行っても」
ついでに一緒にいたレオリオとクラピカと共に食堂に向かう。
選んだステーキを食べているとレオリオは心底疲れ切った顔をしていた。
「過酷だとは知っていたけどよぉ。ハンター試験ってこんなにも厳しいとは。オレはもうへとへとだ」
「だらしないなレオリオは。生半可な力ではこの先の過酷な試験に耐えられんぞ。ハンターはこの世で最も気高い仕事だ。この程度で音を上げるな」
「へ!あいっかわらずの真面目ちゃんだなクラピカは。アイさんも疲れたよな?」
ポテトを口にしていたレオリオが期待を込めた目で私を見ている。
クラピカも我関せずといった態度だがちらちらこちらの様子を伺っていた。
そりゃ疲れたけど試験関連じゃないし。
「これといって特に。特別試験内容もキツイ訳じゃないから」
「ええっ!!マジで?やっぱアイさんすげえよ」
「鍛え方によっては男性より女性の方がスタミナがつくのか?細身だが引き締まっている筋肉の方が良いんだろうか……」
私を尊敬するような目線を送ってくるレオリオと、顎に手を当てて考え込んでいるクラピカ。
疲れているからこれ以上話すとボロが出そう。
適当に会話を終えて二人と別れ食堂から離れる。
大浴場に入り髪が濡れたまま廊下を歩き、立ち寄った売店でお菓子を大量に買った。
これからの試験に備えないとね。
部屋に戻り与えられた個室のベッドにダイブしてそのまま目を閉じた。
陽の光が差し込んだのに気づき起きて適当に廊下を散歩する。
飛行船の窓から景色を眺めたが雲しか広がっていない。
目的地までもう少しかかるんだろうか。
のんびり歩いていると個室ではない場所から寝息が聞こえてきた。
こんな早朝に誰だろ。
「どうして布団で寝ないのかな」
運動場にも似た場所に入るとゴンが大の字となってぐっすりと眠っていた。
むにゃむにゃと口を動かしているのが実に子供らしい。
私の入室に気付かない辺り相当疲れが溜まっていたのだろうか。
ゴンを見下ろしていたがそっと首元に手を伸ばした。
このまま彼を氷像と化して砕いてしまえばキルアは完全に闇に戻る。
私が家に連れ戻されない為の犠牲者としてゴンは氷の破片となって散るのだ。
氷点下の冷たさを帯びた右手が首筋に触れるまで僅か数センチ。
ぱちりとどんぐりのような大きな瞳が開く寸前、間一髪で右手を引っ込める。
やがて穢れが一切ない無垢な目が私を映した。
「あれ?アイさんどうしてここに?」
「こっちの台詞だよゴン。床で寝てると風邪を引くよ」
「へへっオレ山育ちだからこれぐらいヘーキヘーキ。あれ?オレの上着アイさんがかけてくれたの?」
「そうだよ」
危ない危ない、もう少しで凍らせようとしたのがバレるところだった。
上着をかけたと勘違いしたゴンが私にお礼を述べゆっくりと立ち上がる。
するとぐーと腹の虫が何処からか鳴った。
お腹空いちゃったと笑うゴンは深夜までずっとネテロ会長と遊んでいたらしい。
山育ちというより野生児みたいだ。
食堂が開いてないと伝えるとゴンは恨めしそうに指を咥えている。
仕方ない私のお菓子を分けてあげるか。
お菓子でよければあるよと伝えればゴンは疑いもせず私の部屋に来た。
テーブルに積み上がっているお菓子に飛び上がらんばかりに喜んでいる。
「すっごい沢山ある!!これ全部食べていいの?」
「一応試験用の分は残してあるから平気」
「いっただきまーす!!」
椅子に座って大きく口を開けてチョコレートを頬張るゴン。
なんか小さい頃のミルキみたい。
ゴンの頭を撫でてわかったのだが意外と彼の髪質は柔らかい。
モップみたいにチクチクしていると思っていた。
ゴンはぽかんと口を開けていたが照れ臭そうに笑った。
「えへへへ。オレ一人っ子だからミトさん以外に頭撫でられるの初めて」
「ミトさん?母さんの名前?」
「うん。血は繋がってないけどオレの大事な家族なんだ」
「ふーん。本当の母さんと父さんは?」
「お袋はわからない。でも親父はジンっていってハンターをやっているんだ!!オレはジンに会う為にハンターになりたい!!」
鼻息を荒くして語るゴンは真っすぐ前を見据えていて。
父さんに会いたいとか一生分からない気持ちだな。
「アイさんは?どうしてハンターになりたいの?」
会話の流れでゴンが質問してきたけど今の私は答えを持ってない。
ハンター試験を受けたのもキルアがやりたいって言っていたから参加しただけだし。
目的が特段あるわけでもないしバレても問題はないからここは正直に話すか。
「キルアが参加してくれって頼み込んできたから。別に目標とかはないよ」
「へぇーそうなんだ。アイさんキルアに優しいんだね」
「そう?」
「うん、だってキルアの為にハンター試験受けるくらいでしょ?厳しい試験だと知ってて参加するなんてとっても優しいよ。キルアもアイさんの事自慢げに話していたし」
へぇー意外、キルアが私の事を他人に話すなんて。
普段は恥ずかしがり屋なのかあまり語らないのに。
それだけゴンが信頼できる人物なんだろう。
ニコニコ笑顔だったゴンだったけどなにやら考え込み始めた。
腕組みをしてうーん、と首を捻っている。
「あれ?キルアって確か暗殺一家の人間だよね」
「そうだよ」
「アイさんはキルアの従妹。じゃあキルアのお家の仕事を手伝ったりするの?」
「うん」
「そしたらアイさんもキルアと同じように人殺しをするの?」
明日の天気でも聞くような口調に少し面食らってしまう。
まさか馬鹿正直に殺人の話を出されるとは想像もしてなかった。
というかキルアはゾルティックの人間だと明かしたのか。
通常暗殺一家だと一般人に告げた場合、相手は恐怖で慄いたり金儲けに使える企んだりと様々な反応をする。
けれどゴンの態度から想像するに彼は今まで出会ってきた人間とは違う。
殺しをする私たちに対して恐怖などの感情は一切ない。
ただただ理由を知りたいという意思を全身から感じる。
厄介なことこの上ない人物と出会っちゃったな。
「勿論、殺すよ」
「なんで?」
「殺しを生業としている一族だから」
「そっか……じゃあ殺しを嫌だとかさ、もうやりたくないとか考えたことある?」
「ゴンはさ意識して空気吸ったりする?」
「え、ううん。無意識」
「それと同じ。殺しをするのも息をするのと同様なんだ。あの一族と関わるってのは」
“殺しをするという事は呼吸の一部と化せ”
昔ゼノ爺ちゃんから教わった家訓を聞いたゴンはうんうんと唸っている。
やがて答えに辿り着いたのかおぼつかないながらも、自分なりの意見を語ってくれた。
「お家の事情とか色々あると思う。でもオレはアイさんやキルアに人殺しをしてほしくないな」
「そう」
人殺しだと知ってもどこまでも相手を信じようとするその姿勢。
やっぱりあの時凍らせておけばよかったかも。
板チョコを齧りながら少しだけ後悔した。
飛行船が珍しいのかゴンとキルアは犬のように元気に船内を走り回っている。
一体どこにそんな体力があるんだろうか。
「やあアイさん。これから食堂に行くのだが一緒にどうかな」
「いいよ行っても」
ついでに一緒にいたレオリオとクラピカと共に食堂に向かう。
選んだステーキを食べているとレオリオは心底疲れ切った顔をしていた。
「過酷だとは知っていたけどよぉ。ハンター試験ってこんなにも厳しいとは。オレはもうへとへとだ」
「だらしないなレオリオは。生半可な力ではこの先の過酷な試験に耐えられんぞ。ハンターはこの世で最も気高い仕事だ。この程度で音を上げるな」
「へ!あいっかわらずの真面目ちゃんだなクラピカは。アイさんも疲れたよな?」
ポテトを口にしていたレオリオが期待を込めた目で私を見ている。
クラピカも我関せずといった態度だがちらちらこちらの様子を伺っていた。
そりゃ疲れたけど試験関連じゃないし。
「これといって特に。特別試験内容もキツイ訳じゃないから」
「ええっ!!マジで?やっぱアイさんすげえよ」
「鍛え方によっては男性より女性の方がスタミナがつくのか?細身だが引き締まっている筋肉の方が良いんだろうか……」
私を尊敬するような目線を送ってくるレオリオと、顎に手を当てて考え込んでいるクラピカ。
疲れているからこれ以上話すとボロが出そう。
適当に会話を終えて二人と別れ食堂から離れる。
大浴場に入り髪が濡れたまま廊下を歩き、立ち寄った売店でお菓子を大量に買った。
これからの試験に備えないとね。
部屋に戻り与えられた個室のベッドにダイブしてそのまま目を閉じた。
陽の光が差し込んだのに気づき起きて適当に廊下を散歩する。
飛行船の窓から景色を眺めたが雲しか広がっていない。
目的地までもう少しかかるんだろうか。
のんびり歩いていると個室ではない場所から寝息が聞こえてきた。
こんな早朝に誰だろ。
「どうして布団で寝ないのかな」
運動場にも似た場所に入るとゴンが大の字となってぐっすりと眠っていた。
むにゃむにゃと口を動かしているのが実に子供らしい。
私の入室に気付かない辺り相当疲れが溜まっていたのだろうか。
ゴンを見下ろしていたがそっと首元に手を伸ばした。
このまま彼を氷像と化して砕いてしまえばキルアは完全に闇に戻る。
私が家に連れ戻されない為の犠牲者としてゴンは氷の破片となって散るのだ。
氷点下の冷たさを帯びた右手が首筋に触れるまで僅か数センチ。
ぱちりとどんぐりのような大きな瞳が開く寸前、間一髪で右手を引っ込める。
やがて穢れが一切ない無垢な目が私を映した。
「あれ?アイさんどうしてここに?」
「こっちの台詞だよゴン。床で寝てると風邪を引くよ」
「へへっオレ山育ちだからこれぐらいヘーキヘーキ。あれ?オレの上着アイさんがかけてくれたの?」
「そうだよ」
危ない危ない、もう少しで凍らせようとしたのがバレるところだった。
上着をかけたと勘違いしたゴンが私にお礼を述べゆっくりと立ち上がる。
するとぐーと腹の虫が何処からか鳴った。
お腹空いちゃったと笑うゴンは深夜までずっとネテロ会長と遊んでいたらしい。
山育ちというより野生児みたいだ。
食堂が開いてないと伝えるとゴンは恨めしそうに指を咥えている。
仕方ない私のお菓子を分けてあげるか。
お菓子でよければあるよと伝えればゴンは疑いもせず私の部屋に来た。
テーブルに積み上がっているお菓子に飛び上がらんばかりに喜んでいる。
「すっごい沢山ある!!これ全部食べていいの?」
「一応試験用の分は残してあるから平気」
「いっただきまーす!!」
椅子に座って大きく口を開けてチョコレートを頬張るゴン。
なんか小さい頃のミルキみたい。
ゴンの頭を撫でてわかったのだが意外と彼の髪質は柔らかい。
モップみたいにチクチクしていると思っていた。
ゴンはぽかんと口を開けていたが照れ臭そうに笑った。
「えへへへ。オレ一人っ子だからミトさん以外に頭撫でられるの初めて」
「ミトさん?母さんの名前?」
「うん。血は繋がってないけどオレの大事な家族なんだ」
「ふーん。本当の母さんと父さんは?」
「お袋はわからない。でも親父はジンっていってハンターをやっているんだ!!オレはジンに会う為にハンターになりたい!!」
鼻息を荒くして語るゴンは真っすぐ前を見据えていて。
父さんに会いたいとか一生分からない気持ちだな。
「アイさんは?どうしてハンターになりたいの?」
会話の流れでゴンが質問してきたけど今の私は答えを持ってない。
ハンター試験を受けたのもキルアがやりたいって言っていたから参加しただけだし。
目的が特段あるわけでもないしバレても問題はないからここは正直に話すか。
「キルアが参加してくれって頼み込んできたから。別に目標とかはないよ」
「へぇーそうなんだ。アイさんキルアに優しいんだね」
「そう?」
「うん、だってキルアの為にハンター試験受けるくらいでしょ?厳しい試験だと知ってて参加するなんてとっても優しいよ。キルアもアイさんの事自慢げに話していたし」
へぇー意外、キルアが私の事を他人に話すなんて。
普段は恥ずかしがり屋なのかあまり語らないのに。
それだけゴンが信頼できる人物なんだろう。
ニコニコ笑顔だったゴンだったけどなにやら考え込み始めた。
腕組みをしてうーん、と首を捻っている。
「あれ?キルアって確か暗殺一家の人間だよね」
「そうだよ」
「アイさんはキルアの従妹。じゃあキルアのお家の仕事を手伝ったりするの?」
「うん」
「そしたらアイさんもキルアと同じように人殺しをするの?」
明日の天気でも聞くような口調に少し面食らってしまう。
まさか馬鹿正直に殺人の話を出されるとは想像もしてなかった。
というかキルアはゾルティックの人間だと明かしたのか。
通常暗殺一家だと一般人に告げた場合、相手は恐怖で慄いたり金儲けに使える企んだりと様々な反応をする。
けれどゴンの態度から想像するに彼は今まで出会ってきた人間とは違う。
殺しをする私たちに対して恐怖などの感情は一切ない。
ただただ理由を知りたいという意思を全身から感じる。
厄介なことこの上ない人物と出会っちゃったな。
「勿論、殺すよ」
「なんで?」
「殺しを生業としている一族だから」
「そっか……じゃあ殺しを嫌だとかさ、もうやりたくないとか考えたことある?」
「ゴンはさ意識して空気吸ったりする?」
「え、ううん。無意識」
「それと同じ。殺しをするのも息をするのと同様なんだ。あの一族と関わるってのは」
“殺しをするという事は呼吸の一部と化せ”
昔ゼノ爺ちゃんから教わった家訓を聞いたゴンはうんうんと唸っている。
やがて答えに辿り着いたのかおぼつかないながらも、自分なりの意見を語ってくれた。
「お家の事情とか色々あると思う。でもオレはアイさんやキルアに人殺しをしてほしくないな」
「そう」
人殺しだと知ってもどこまでも相手を信じようとするその姿勢。
やっぱりあの時凍らせておけばよかったかも。
板チョコを齧りながら少しだけ後悔した。