【短編】ハリーポッター成り代わり!
シリウスとリジーの二人暮しが始まってから1ヶ月だった。
立派な成人男性の癖に、リジーの可愛さとやらに耐えられず思春期の青臭いガキのようによそよそしかったシリウスの態度は、なんとか傍から見れるぐらいにはなった、とリーマスは感じている。
いざ、冷静に文面化してみてもかなり危うすぎる感じがするが、これは小さな赤ちゃんや可愛い子猫に対する庇護欲などと大まか同じであろうとリーマスは言い聞かせるのであった。
「リジー、夕飯できた。」
二階にいるリジーに、大きな声でシリウスはそう呼びかけると、はーいと短い返事が返ってきた。
その声だけで、シリウスは口元が緩む。
傍から見たらものの1ヶ月で溺愛ぷりはすざましいものがあるが、本人は1つも認めようともしないのがまた恐ろしい話である。
リジーは、「ご飯だご飯!」と嬉しそうに鼻歌を歌いながら食卓におりてきたが、その食卓のテーブルを見て思わず固まった。そう、言葉が出なかったのだ。
大皿にピラミッドのように積まれたミートパイに、1輪の大きな薔薇のように盛り付けられた生ハムとイチジクのサラダ。カマンベールチーズと真っ赤なトマトがふんだんに盛られたバケットに、これまたチーズたっぷりのラザニア。
そして極めつけにはテーブルのど真ん中に、存在感アリアリの七面鳥がドカン!!っと居座っている。
「ねぇ……シリウス……。」
リジーは少し俯いて、重々しく口を開いた。シリウスはそんなリジーの様子を見て、さすがに作りすぎて引かれた……?と内心ドキドキしながらその次の言葉が出てくるのを見守る。
「最っ強に美味しそうじゃん!!!!!!!」
シリウスの耳から聞こえてきたのは予想だにしないほどの歓喜の声だった。
リジーは、目をキラッキラに輝かせてもう一度食卓に並ぶご馳走をぐるりと見渡した後、それでも興奮が抑えられないのか、キャッキャと笑いながらテーブルの周りを駆け回った。
そして、シリウスの肩をバンッと正面からジャンプして掴んだ。
「私が、この間七面鳥が食べたいってポソッと言ったの覚えてくれたの?それに、ていうかもう全部そうじゃん!!」
あまりにも嬉しそうなリジーの様子を見て、シリウスの口はもうニヤニヤを抑える気もないのか完全にだらけてしまっていた。
「リジーが言ったこと、忘れる訳が無い!」
「どうしよう!ワクワクしすぎてダメだ!ねぇどうにかしてよシリウス!!」
「え?そんなリジーが可愛すぎてどうしたらいい?」
リジーは置いといてもうどう考えてもイギリスの純血貴族らしからぬ騒ぎように、この状況をヴァルブルガに見つかろうものなら彼女は既にないシリウスの家系図を燃やしてしまうだろう。
そして誰一人として、「いや七面鳥て今日は感謝祭か?」と突っ込む人が居ない。
恥ずかしがらず、難しいことも考えず、嬉しさを全面に出すのはリジーの特性である。
ダドリー家で受けなかった数々の温かさと幸せに、心のみならず全身で表現せずにはいられないのであろう。上流階級の当たり触らずで感情をコントロールする事が良しとされる環境で育ってきたシリウスだからこそ、このリジーの天真爛漫な表現の仕方に魅了されるのだろうか。
リジーは、ミートパイを咀嚼して飲み込んだ後嬉しさのように甘いため息をついた。
そして先程まであんなに、はしゃいでペラペラ喋りながら食べ物を口にしていたのに途端に下唇を噛んで天井を軽くみあげる。
その様子に、シリウスは首を傾げた。
「ああ、本当に幸せすぎて怖いや。」
「え?」
突然、泣き笑いのような表情でリジーがそういうのでシリウスの心臓が揺れた。
「だって私ね、こんなの初めてだよ。」
幸せすぎて怖い、というのに関してはシリウスは心底同意した。あんなに冷たく死んだような毎日を過ごしていた少し前の自分には、こんな暖かい光を想像することは出来なかったはずだ。
突然、また無くなってしまうのではないか。今自分の周りにいる人さえも。楽しい瞬間にこういったネガティブな感情が降り注いでくる自分がいるのも認めたくはないが事実だった。
しかし、それを13という幼くリジーが抱く感情か。
普通であればそれは違うであろう。
当たり前に周りの優しさと愛を享受して、それのありがたさに気づくことはまだ出来ない。しかしそれは断じて責められず子供はどこまでも傲慢でワガママでいる権利を持つ。
シリウスはリジーが自分と同じ事を考えていたと嬉しさを感じる反面、胸が苦しかった。
それはリジーが子供であるにもかかわらず、今まで当たり前に沢山我慢をしてきて、愛を受けるどころか愛を求めることすら出来なかったということが分かってしまったからだ。
リジーがそんな当たり前の子供の権利を蔑ろにされてきた事実を今シリウスはようやく痛感して自分が酷く情けなく感じた。
リジーはあの素晴らしいジェームズとリリーの子供だ、その事実にのみ期待をこめてリジーは幸せで素敵な子だと思うのはシリウスのエゴにしか過ぎない。
素敵なのには違いはないが、生まれでそれを決めつけるのは周囲ではないはずだ。
親友の子と一緒にいられると、ただ浮かれていたとシリウスは今までの自分の行動や思考を恥じた。
そして、新たにリジーに対して多大な感情が育まれていくのがわかった。
感傷的になるシリウスに対して、リジーはそれ以上語らずカラッと笑った。
「ねぇ……シリウス?
シリウスはね、後見人だよね、わたしの。だからこうやって暮らせてる。でもね、なんというか……その、後見人だけじゃなくてシリウスだからシリウスっていうか……。シリウスじゃなきゃいけないというか……。」
リジーは、自分でも何言っているのかわからなくなって照れくさそうにシリウスから目を逸らした。
その様子を珍しそうに見守る。
「まあ、シリウス!何あれ居なくならないでね!絶対!!」
そう言って満面の笑みで微笑むリジー。
リジーにとって言葉が含む意味は可愛らしい子供のワガママだとか、孤独に対する束縛だとか、愛の宣言だとかそういうのでは全くない。
ただ、心からリジーはシリウスが居なくなることが嫌でシリウスに笑っていて欲しかった。
「あと、私より先に死んじゃダメだよ!」
リジーが強気でそう言うので、シリウスは、「年寄りから死ぬもんだぜ。」って自嘲気に言うけどその言葉で少し不安げな顔を浮かべた目の前の少女に慌てて撤回をした。
「大丈夫。死なないから。なんたってアズカバンでしぶとく生き延びた。」
「そして、脱獄したもんね。」
2人で笑いあった。
「だから、俺からもリジーにお願いしたい。」
「なに?アバダケタブラ跳ね返す私にも死ぬなって?」
「それは当然。
もう1つだ。リジーは、俺の子だから生きてればもう他の期待は1つもしない。これに他意は含まない。そのままの意味だ。成績が良ければ……魔力が強ければ……なんてリジーにひとつも望まないということ。大きく言うと生きてされいればもうどうだっていい。
だから、何でも言え。ワガママも何でも全部。
欲しいものも、俺にして欲しいことも、隣の席のやつの小言でも何でも全部。だってそれがリジーが考えている事だろ?全部知りたいんだ。
自分で自分のことワガママって思うくらいじゃないと多分俺1つも伝わってない。これは、俺が馬鹿だから。だから、わがままを言ってくれ。分かった?」
リジーは、こんなに必死にわがままを言ってくれ!なんて言われたことは人生で1度も無かったので戸惑いが隠せなかったが、少し言葉に詰まりながらも分かったとうなづいた。
そして、1つ思いついたように顔をほころばせた。
「犬になって!」
シリウスは、予想だにしないお願いに少し目を丸くした。
「え、今?今はご飯中だし……その」
「なにそれ!ワガママ言ってっていったのシリウスなのになぁー。」
その言葉に狼狽えるシリウスがおかしくてリジーは笑った。しかし、リジーはシリウスが言うワガママの本質を何となくであるが理解していた。きっと自分がずっと求めいてたものであろうと。
文句を言いながら大きな黒犬に変身したシリウスの顔をモミクシャにしながらリジーはまた向日葵のように明るい笑顔と声で笑ったのでシリウスは結局もうなんだってよくなるのだった。
立派な成人男性の癖に、リジーの可愛さとやらに耐えられず思春期の青臭いガキのようによそよそしかったシリウスの態度は、なんとか傍から見れるぐらいにはなった、とリーマスは感じている。
いざ、冷静に文面化してみてもかなり危うすぎる感じがするが、これは小さな赤ちゃんや可愛い子猫に対する庇護欲などと大まか同じであろうとリーマスは言い聞かせるのであった。
「リジー、夕飯できた。」
二階にいるリジーに、大きな声でシリウスはそう呼びかけると、はーいと短い返事が返ってきた。
その声だけで、シリウスは口元が緩む。
傍から見たらものの1ヶ月で溺愛ぷりはすざましいものがあるが、本人は1つも認めようともしないのがまた恐ろしい話である。
リジーは、「ご飯だご飯!」と嬉しそうに鼻歌を歌いながら食卓におりてきたが、その食卓のテーブルを見て思わず固まった。そう、言葉が出なかったのだ。
大皿にピラミッドのように積まれたミートパイに、1輪の大きな薔薇のように盛り付けられた生ハムとイチジクのサラダ。カマンベールチーズと真っ赤なトマトがふんだんに盛られたバケットに、これまたチーズたっぷりのラザニア。
そして極めつけにはテーブルのど真ん中に、存在感アリアリの七面鳥がドカン!!っと居座っている。
「ねぇ……シリウス……。」
リジーは少し俯いて、重々しく口を開いた。シリウスはそんなリジーの様子を見て、さすがに作りすぎて引かれた……?と内心ドキドキしながらその次の言葉が出てくるのを見守る。
「最っ強に美味しそうじゃん!!!!!!!」
シリウスの耳から聞こえてきたのは予想だにしないほどの歓喜の声だった。
リジーは、目をキラッキラに輝かせてもう一度食卓に並ぶご馳走をぐるりと見渡した後、それでも興奮が抑えられないのか、キャッキャと笑いながらテーブルの周りを駆け回った。
そして、シリウスの肩をバンッと正面からジャンプして掴んだ。
「私が、この間七面鳥が食べたいってポソッと言ったの覚えてくれたの?それに、ていうかもう全部そうじゃん!!」
あまりにも嬉しそうなリジーの様子を見て、シリウスの口はもうニヤニヤを抑える気もないのか完全にだらけてしまっていた。
「リジーが言ったこと、忘れる訳が無い!」
「どうしよう!ワクワクしすぎてダメだ!ねぇどうにかしてよシリウス!!」
「え?そんなリジーが可愛すぎてどうしたらいい?」
リジーは置いといてもうどう考えてもイギリスの純血貴族らしからぬ騒ぎように、この状況をヴァルブルガに見つかろうものなら彼女は既にないシリウスの家系図を燃やしてしまうだろう。
そして誰一人として、「いや七面鳥て今日は感謝祭か?」と突っ込む人が居ない。
恥ずかしがらず、難しいことも考えず、嬉しさを全面に出すのはリジーの特性である。
ダドリー家で受けなかった数々の温かさと幸せに、心のみならず全身で表現せずにはいられないのであろう。上流階級の当たり触らずで感情をコントロールする事が良しとされる環境で育ってきたシリウスだからこそ、このリジーの天真爛漫な表現の仕方に魅了されるのだろうか。
リジーは、ミートパイを咀嚼して飲み込んだ後嬉しさのように甘いため息をついた。
そして先程まであんなに、はしゃいでペラペラ喋りながら食べ物を口にしていたのに途端に下唇を噛んで天井を軽くみあげる。
その様子に、シリウスは首を傾げた。
「ああ、本当に幸せすぎて怖いや。」
「え?」
突然、泣き笑いのような表情でリジーがそういうのでシリウスの心臓が揺れた。
「だって私ね、こんなの初めてだよ。」
幸せすぎて怖い、というのに関してはシリウスは心底同意した。あんなに冷たく死んだような毎日を過ごしていた少し前の自分には、こんな暖かい光を想像することは出来なかったはずだ。
突然、また無くなってしまうのではないか。今自分の周りにいる人さえも。楽しい瞬間にこういったネガティブな感情が降り注いでくる自分がいるのも認めたくはないが事実だった。
しかし、それを13という幼くリジーが抱く感情か。
普通であればそれは違うであろう。
当たり前に周りの優しさと愛を享受して、それのありがたさに気づくことはまだ出来ない。しかしそれは断じて責められず子供はどこまでも傲慢でワガママでいる権利を持つ。
シリウスはリジーが自分と同じ事を考えていたと嬉しさを感じる反面、胸が苦しかった。
それはリジーが子供であるにもかかわらず、今まで当たり前に沢山我慢をしてきて、愛を受けるどころか愛を求めることすら出来なかったということが分かってしまったからだ。
リジーがそんな当たり前の子供の権利を蔑ろにされてきた事実を今シリウスはようやく痛感して自分が酷く情けなく感じた。
リジーはあの素晴らしいジェームズとリリーの子供だ、その事実にのみ期待をこめてリジーは幸せで素敵な子だと思うのはシリウスのエゴにしか過ぎない。
素敵なのには違いはないが、生まれでそれを決めつけるのは周囲ではないはずだ。
親友の子と一緒にいられると、ただ浮かれていたとシリウスは今までの自分の行動や思考を恥じた。
そして、新たにリジーに対して多大な感情が育まれていくのがわかった。
感傷的になるシリウスに対して、リジーはそれ以上語らずカラッと笑った。
「ねぇ……シリウス?
シリウスはね、後見人だよね、わたしの。だからこうやって暮らせてる。でもね、なんというか……その、後見人だけじゃなくてシリウスだからシリウスっていうか……。シリウスじゃなきゃいけないというか……。」
リジーは、自分でも何言っているのかわからなくなって照れくさそうにシリウスから目を逸らした。
その様子を珍しそうに見守る。
「まあ、シリウス!何あれ居なくならないでね!絶対!!」
そう言って満面の笑みで微笑むリジー。
リジーにとって言葉が含む意味は可愛らしい子供のワガママだとか、孤独に対する束縛だとか、愛の宣言だとかそういうのでは全くない。
ただ、心からリジーはシリウスが居なくなることが嫌でシリウスに笑っていて欲しかった。
「あと、私より先に死んじゃダメだよ!」
リジーが強気でそう言うので、シリウスは、「年寄りから死ぬもんだぜ。」って自嘲気に言うけどその言葉で少し不安げな顔を浮かべた目の前の少女に慌てて撤回をした。
「大丈夫。死なないから。なんたってアズカバンでしぶとく生き延びた。」
「そして、脱獄したもんね。」
2人で笑いあった。
「だから、俺からもリジーにお願いしたい。」
「なに?アバダケタブラ跳ね返す私にも死ぬなって?」
「それは当然。
もう1つだ。リジーは、俺の子だから生きてればもう他の期待は1つもしない。これに他意は含まない。そのままの意味だ。成績が良ければ……魔力が強ければ……なんてリジーにひとつも望まないということ。大きく言うと生きてされいればもうどうだっていい。
だから、何でも言え。ワガママも何でも全部。
欲しいものも、俺にして欲しいことも、隣の席のやつの小言でも何でも全部。だってそれがリジーが考えている事だろ?全部知りたいんだ。
自分で自分のことワガママって思うくらいじゃないと多分俺1つも伝わってない。これは、俺が馬鹿だから。だから、わがままを言ってくれ。分かった?」
リジーは、こんなに必死にわがままを言ってくれ!なんて言われたことは人生で1度も無かったので戸惑いが隠せなかったが、少し言葉に詰まりながらも分かったとうなづいた。
そして、1つ思いついたように顔をほころばせた。
「犬になって!」
シリウスは、予想だにしないお願いに少し目を丸くした。
「え、今?今はご飯中だし……その」
「なにそれ!ワガママ言ってっていったのシリウスなのになぁー。」
その言葉に狼狽えるシリウスがおかしくてリジーは笑った。しかし、リジーはシリウスが言うワガママの本質を何となくであるが理解していた。きっと自分がずっと求めいてたものであろうと。
文句を言いながら大きな黒犬に変身したシリウスの顔をモミクシャにしながらリジーはまた向日葵のように明るい笑顔と声で笑ったのでシリウスは結局もうなんだってよくなるのだった。
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