彼と言う人を考えて(全9話)
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上履きで帰宅しようとしたが、不二くんのゴリ押しで負ぶされて帰宅することとなり 恥ずかしい目に遭うかと思いきや今のところ誰の目にも入っていない帰路で私と不二くんの横に1台の車が寄せられた。
何だろう誰だろうと身構えそうになり、窓がスッと開くとそこには美人なお姉さんがいて私と不二くんに笑いかけてきた。
「何してるのよ周助」
「姉さん、ちょうどよかった」
「あ、お姉さん……」
不二くんの背中でポツリと呟くと「うん」と笑い不二くんのお姉さんに靴をなくしちゃったから送って帰るところと説明し、さらりと「足になってよ」なんて話している。
「いやいやいや不二くんそんなダメだよ上履きでも帰れるから」
「瑠依ちゃん」
「うっ…」
「ああ、周助の恋人なの?」
「うん」
違うと言う前に不二くんは頷き、お姉さんは「乗って」なんて不二くんと似た笑顔を浮かべた。
それにしても綺麗な人だな。不二くんも綺麗な顔立ちだからきっとご両親も整った顔立ちをしているんだろうな。
後部座席に不二くんと並んで座りながら現実逃走するも私の家を教えなければいけないため住所を告げるとナビに登録して車を走らせてくれる。
申し訳なさいっぱいで謝るとお姉さんはクスクス笑い「どうせ」周助が無理矢理言ったんでしょう、なんて的確に貫いてきた。そうです。よくわかっていらっしゃる。さすがお姉さん、レベルが違う。
「周助を彼氏にすると疲れるでしょう」
「えっ、あ、あの、そのことなのですが」
「ひどいな姉さん。どういう意味?」
「僕の恋人はテニス、なんて言っときながら裕太にも報告しようかしら?あ、そうだ、名前は瑠依ちゃんであってる?」
「うん、そうだよ」
全くもって隙の無い会話により諦めそうになりつつ今出てきた裕太という名に首を傾げてしまう。
話の流れでご家族か深い知り合いなのか。判断はつかないけれど
「あの、不二く」
「はい着いた」
「瑠依ちゃん、玄関まで連れて行こうか?」
「大丈夫だから!」
帰宅まで車ではあっという間の距離であり不二くんの申し出をしっかり拒否してから車を降り不二くんのお姉さんに頭を下げた。
「すみません、お世話になってしまって……」
「いいのよ、周助のことよろしくね」
「そのことですが」
「瑠依ちゃん、また明日」
「あ、不二くん?!」
窓も扉も閉まり車は行ってしまい、しかし別れる間際に頬の唇が触れ動揺している間に車は遠ざかっていく。
さすが姉弟……話を聞いてくれない。いや不二くんが話を遮ってきているから聞いてくれないのかどうかわからないけど小さくため息を吐き自宅の玄関をくぐった。
翌朝、靴は新しいものに変えて玄関を開けるとそこにはインターホンを押そうとしている不二の姿があり「えっ」と呟くと笑顔で
「おはよう瑠依ちゃん」
と声をかけられた。
「えっ、あっ、不二くん、何で」
「大好きな彼女を迎えに来ちゃダメだった?」
「ふ、不二くん……っ!」
大好きな彼女って、私告白されてないし大好きなんて初めて言われたし彼女になった覚えはないし。
大混乱しながらも不二くんに手を引かれ指を絡めて握りしめられた。
私とは違う、スポーツをする男の人の手。
ドキドキと耳の奥で血が騒ぎ 周囲の音が聞きづらいけど、しかし不二くんは気にする様子はなく歩きいつも私が乗るバスに乗り込み満員の中、不二くんの腕の中に閉じ込められるように人から庇われた。
もういっぱいいっぱいになりながらバスを降りて手をつながれ登校すると女の子たちが目敏く私と不二くんの手を見てキャーキャー言っている。
死にたい。
軽率に人生を放棄したくなりながら上履きに履き替え教室に行こうとするとまた手を掴まれ「置いてかないで」瑠依ちゃん、なんて囁きかけてきた。
もう一度死にたい気持ちになりつついろんな意味でうつむいて教室まで歩いてれば不意に不二くんは私の顔を覗き込み「瑠依ちゃん」僕のこと嫌い?なんて意地の悪いことを問いかけてきて私は何と答えようかとしていたら
「おっはよーう!」
なんて菊丸くんの声がし、私と不二くんの手を見て「ありゃりゃ?」とうとうくっついたんだー!なんて笑って言った。
とうとうって、え……何……?
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