ささやかに愛してる(全10話)
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「あれ?忍足君」
「ん?あ、不二の恋人さん」
「侑士、知り合いか?」
「顔見知り程度やねん」
「こんにちは~」
いつしかの時のように忍足君とエンカウントを果たしたが 今回はもう1人見知らぬ顔の男子、多分同い年の男の子とが忍足君と一緒にいて、とりあえず挨拶をすると返してくれた。
「今日もデートなん?」
「いや?今日はぶらり散歩」
「へえ」
「と見せかけて、そうデート」
「なんや、からかったんかいな」
2人であははと笑いあうと一緒にいた男子、向日君は私と忍足君を見比べて、そしてさっきの「不二の恋人さん」発言に「青学の」不二か?と問われたので頷いておく。
「不二の恋人やってます」
「マジかよあいつ恋人もちかよ」
「ってことは向日君もフリーなんだ」
私のその発言に忍足君は笑って頷き向日君を指差すと私はその意味を悟る。
「告白しちゃいなよ!」
「は……はあ!?な、なん!??!?」
「向日君分っかりやす……」
「これで相手にバレてへんのやからえらいやろ」
「うん」
「侑士、黙れ!マジで!!」
向日君は顔を真っ赤にしてつっかかり2人して笑ってしまう。
「ね、どんな子?」
「岳人と同じクラスの」
「侑士!マジで!黙ってくれ!」
また、あははと笑ってしまい向日君に「お前」性格悪いって言われねえ?と睨まれてしまう。なので「ごめんごめん」と謝りつつ「バレンタイン近いもんね」と言うと真っ赤になっている。
「ねえ忍足君、本当にバレてないの?」
「バレてへんねん、ほんま、驚くけど、1ミリも」
「逆バレンタインしなよ」
「は?…はあ!?そ、そういうお前は、不二に渡さねえのか?」
「それ悩んでるとこ」
真っ赤になって話題を私と不二に変えてきた向日君に対しこれ以上煽っても可哀想だから、からかうのはやめて顎に手を当て「うーん」と唸ると向日君がニヤニヤ笑いかけてきた。
だがその手にはのらん。私に煽りは通用しないぞ。
そんな笑みを込めて笑いかけ忍足君は笑い返してきてくれて向日君に眉をしかめられた。ひどいな、傷つくぞ。
しかしそれは私に対してではなく私の背後の人物に対してだった。
「……不二……」
「やあ忍足、向日」
「不二」
不二は私の腕を引くと己の隣に立たせ忍足君はのんびりと、向日君は敵対心いっぱいに呟いた。
私はテニスについて知らないけど
「春奈ちゃんに何か用?」
「たまたま会うただけでデートとかやあらへん」
「ふうん」
まあ僕とデートだからそれは当然だけどと不二は笑い向日君は眉をしかめたまま不二を見つめている。そして私は「ハッ」とし口に手を当てた。
「えっ、やだ、向日君…もしかして……」
「岳人…自分……まさか……ほんまか?」
「はあ!?お前らマジで性格悪いな!キモいこと言うな!!」
「……向日、ごめん…僕は春奈ちゃんが好きだから……」
「不二てめえ!」
私は忍足君と肩を寄せ合い忍足君は乗ってくれて、ついでに不二も悪乗りをしてくれて、向日君の味方がいない。そして向日君がガチで怒りそうなので3人で笑ってから2人と手を振って(くれたのは忍足君だけ)、別れ、私の隣にいる不二が指を絡めてきて。
「向日君、好きな子いるんだって。逆バレンタインしなよって」
今回は私から話をふると、不二は「そうみたい」と笑いジッと見下ろされてしまう。何だろうか。
首をかしげて見せると不二はほんの少し考えてからニコリと笑い「何でもないよ」と言うが全くもって何でもないように見えない。何でもなくない。絶対嫌なこと考えてる気がする。
「春奈ちゃんは僕以外にあげる人いる?」
「菊丸君と越前君。あと手塚君とか、テニス部でレギュラーだった人?」
「義理でもあげて欲しくないなぁ」
「菊丸君にはあげていい?」
「英二かぁ…」
ダメなやつですね、了解。
「不二だけにする。」
あと女の子だけ。でも不二は「女の子にも」あげてほしくないなぁ、なんて言ってきて私は困ってしまう。
「友チョコ!」
「うーん……」
「不二にはちゅーをつける」
不二はすぐ、「それなら」いいよと返し、ちょろいなと思ったらキスをされた。
チョロいな。
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