ささやかに愛してる(全10話)
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最近不二にまとわりつくようにいる2年生を見つけた。友人の観察曰く、不二に告白をしてはいないが不二に構ってもらおうとチョロチョロ付きまとい、私という存在に上書きしようとしている、と。
正直「私が恋人なんですけど」という心境だがどうやらその2年生は私という存在を知りながら、やはり私という存在の上書きをして付き合おうと目論んでいるらしい。
マネージャーではない(不二はもう引退している)が、たまに顔を出しに入るとタオルを渡したりドリンクを渡したり朝練の見学が終わるとコート前で不二を待ち、2年と3年の教室の境まで一緒に歩いたり明から様すぎるアピールに、なんと越前君が教えてくれた。
「大月先輩、あの2年の人どうにかしてくださいよ」
「私よりも桃城君か海堂君に言って」
私3年だから。
越前君は渋い表情が浮かべていた。
「先輩、不二先輩の恋人なんすよね」
お昼、不二がお弁当を忘れたとかで購買に行ったのだが不二にまとわりつく2年の子は不二を見て着いて歩き私のクラスに越前君が姿を見せてきて。
「一応」
「あの2年の人、部活の邪魔なんすけど」
「部長は何て言ってるの?」
「……いや 、不二先輩の邪魔っていうか……」
なんて言葉を濁した越前君に不二が何も言わないならどうしようもないでしょと答えるともう一度「恋人なんすか?」と疑わし気に尋ねられ 私はもう一度「一応」と答える。
友達に「越前君とお昼してくるから抜けるわ」と伝え私は越前君を伴って中庭のベンチに並んで座ってお昼にする。
「大月先輩、嫉妬とかしないの?」
「するように見える?」
「……あんまり……」
膝の上にお弁当を広げ2人で昼食をとっているのだが越前君はおにぎりを頬張りながら小さくつぶやき、私は声を上げて笑ってしまった。嫉妬するように見えないんだ。しないけど。
「私がするより不二がするかな」
「言い訳は手伝ってくださいね」
「何の?」
越前君はきんぴらを口に運び中庭に通じる廊下からキャピキャピとした声が耳に入り込んでついで「不二先輩!」なんて。
「どこで食べるんですかぁ?中庭?」
「まあ、中庭かな」
越前君が鬱陶しそうな表情で振り返り私も私でも食べ終わったお弁当箱を袋にしまってから振り返ると不二の腕に手を回している女の子と不二が私を見つけ笑顔を浮かべたが、横にいる越前君をみて笑顔を消す。越前君の顔色が悪い。
「春奈ちゃん」
「不二先輩、誰ですかぁ?」
ぎゅーっと抱きつきあからさまなマウントを取ろうと媚び一杯の声と笑顔を不二に向け不二は私と絡みつかれている腕と越前君を見て少々困ったように笑っている。
多分なんとか腕を離してもらうとでもしていたのだろうがちょっと諦めた雰囲気もするが。でも私を見るとまたやんわり腕を離してもらおうと声をかけ私は立ち上がってから 不二に近寄ると笑いかける。
「私、放課後は委員会があるから待ってて」
「そう?じゃあ終わるまでベンチで待ってるよ」
「先輩?放課後は一緒に帰りましょうよぉ~!」
2年の女の子は私を軽く見てから視線を外しコテンと首をかしげ不二を見上げ笑っている。
なるほど嫉妬か。した方がいいのか?
越前君の視線が痛いし不二からの視線も痛い。
何が正解か教えてくれる人いないのか。
私は不二と女の子と越前君をチラリと見てから「う~ん」と青空を見上げるが、私はほんの少し考えてから不二のことをまっすぐに見つめた。
「大切なのはどっち?」
「もちろん春奈ちゃんだよ」
間髪入れずに返ってきた言葉に思わず笑ってしまい2年の女の子がギリと睨みつけてきて、私はまた少し考えてから2年の子を見る。
「いくらひっついても無駄だよ。不二の一番は私だから」
越前君は「へえ、言うじゃないっすか」とつぶやき、不二もポカンとしてからすぐ笑顔を浮かべ、女の子もまたぽかんとしている。
「不二、私は教室に戻るから」
「じゃあ僕も春奈ちゃんと教室に戻ろうかな」
「菊丸君はいいの?」
「手塚と勉強会だって」
女の子が口を挟む間も与えずポンポンと会話をし、そのまま私は不二に歩みより、ぎゅっと抱きついた。また越前君は「へえ」と楽しげな声をだし不二は抱きしめ返してきて、さりげなく女の子の手を振り払い私の手を握りしめてきて。2年の子は唇を噛みしめ何かを言ってこようとしたが私が
「不二、好きだよ」
と言うと不二も倣って
「僕も春奈ちゃんが好きだよ」
と言うと2年の女の子は走って行ってしまった。
越前君が小さく拍手を送ってくれた。一安心。
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