ささやかに愛してる(全10話)
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「ーー先輩、私、不二先輩のことが好きなんです!」
そんな切なる声が放課後の廊下から聞こえ、咄嗟に私は階段を音を立てずに降りてしまい「はあぁ~」と大きく息を吐き出してしまった。
12月に入って不二への告白が明らかに増えた。それはおそらくクリスマスとかお正月とかが絡んでいるだろうことは だいたいは理解できるため忍び足で去ってから別の廊下と階段から目的の場へと向かうと今度は菊丸くんが告白されているところを目撃してしまった。
菊丸くんには好きな人がいるという噂は聞いていたため、そして目的地へ行くためにはそこを通らなければいけないけど、うわぁ~…どうしよう…かなり気まずい場面だとその場から忍び足で去り今日はおとなしく帰るかと階段の踊り場でトンと人とぶつかってしまい
「あ、不二…」
がそこにいた。
不二がにっこり笑って「見つけた」という口をふさぎ肩に手を置きそっと耳打ちしたのは
「今、菊丸くん告られてるから」
しーっと、囁いたもので不二は小さく頷いてくれた。そして私はふと不二の制服のボタンが取れかかっていることに気づき、もしやさっき告られていた時に相手にすがられたのだろうかというもので本の少しだけ気分が悪くなってしまう。
不二は悪くない。不二のことを好きでいて、恋人としている私が言っていいかは分からないがモテるところは不二が悪いと思う。不二のせいじゃん。不二の顔面偏差値が高めに生まれたところが悪い。
2人で階段の踊り場にいたが数秒して走る音が聞こえてきて私は慌てて不二から距離を取り1人の女の子が泣きながら横を駆け抜けていき、数秒して菊丸くんが姿を見せて私と不二を見ると「にゃはは」と苦笑いしている。
「モテる男はつらいね~」
お疲れ、と言うと菊丸くんはソロリと視線を反らし私の後ろで不二が「え?」と口にした。
あ、あかん。多分さっきの場面見ちゃったのばれたか。
「なんだよ不二もかよ~」
「まあ……それより春奈ちゃん見てたの?」
「何を?」
さらっと知らないふりをすると菊丸くんが「あり?違った?」と言ったため「知らない」とかぶせて知らんぷりをする。しかし不二は「うん」と頷き、さらっと口にする。
「付き合ってる大好きな人がいますって断ったよ」
「ノロケか!」
「ノロケだよ」
同じクラス同じ部活仲間として息合ってんなあと思いつつ、もう人がいないのなら用事を済ませてしまおうと手を振って目的地に向かうため階段を上がると不二が後ろからついてきた。
菊丸くんが「俺は帰るよ」と行ってしまい、私は不二を振り返ってしまう。
「ついてきても楽しいことはないよ」
「春奈ちゃんといられることが楽しいことだから僕のことは気にしなくていい」
だなんてニコニコと告げてきて私はドキドキとしてしまう。私、本当に不二と付き合ってていいのかな……。
さっきの告白シーンのせいで何だか私といることが申し訳なく思えてしまいつつ、特別教室に入り用事を済ませていると後ろに気配を感じ振り返る前にお腹に手が回りバックハグをされ不二の温もりと香りに包まれる。
うわあ、うわあ!
ほんの少しパニクりそうになりつつ「不二!」と怒るも不二は少しも気にせず首裏に顔をうずめてきてちゅっとキスをされる。
それにゾクゾクしつつ無理に引き剥がせるはずもなくお腹に回っている手をポンポンと叩き離れて欲しいと暗にお願いをしてみたが綺麗に無視されている。無視すんな!
「ねえ……」
「わっ…何?」
突然耳元で囁かれ驚いていればもう一度「ねえ」と言ってから
「僕の恋人は春奈ちゃんですって言いたいな」に対し
「ダメ」
絶対ダメを発動する。
「不二のファンに睨まれたくない」
「でも同じクラスの人たちはみんな知ってるからいいだろう?」
「自然に広まるまでダメ」
「自然に、ね」
あ、これやばいフラグ?と思ったがもう遅く、1週間経った頃に学校中に不二と私が恋人同士だと広まっていた。
何したの周助!!
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