木枯らし落ち葉、残るは『 』(全9話)
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「絵美!待って!待ってってば!」
「ほっといてくれないかなぁ!」
絵美は今、授業終了の校舎内を追いかけられていた。ことは少し遡る。ほんの少しだ。
幸村の下駄箱に1枚の紙が入っており、内容は言わずもがな、「放課後、第一美術室に来てください」。簡単にネタバレすれば要は告白だ。
そして第1美術室と第2美術室は準備室を挟んで並んでおり
「好きです!私と付き合ってください!」
と告白されている瞬間に居合わせてしまったのだ。しかも 告白を受けた直後抱き付かれたところを。
幸村は絵美と目を合わせ互いに驚いており、幸村が断るのとほぼ同時に絵美はダッシュで逃げ出し冒頭に戻る。
文化部が運動部、しかもテニス部の部長から逃げ出しすぐ捕まらないことの方がかなり驚きなのだが、とにかく絵美はダッシュで逃げ続け、とうとう幸村を撒いたのだ。称賛に値する。
校舎内を駆け抜け、たまたま開いていた社会科準備室に滑り込み幸村が気づかず駆けていったのを見て美術室に戻り 荷物を持って下駄箱に行き、残念ながら捕まった。
まあ最終的に帰宅するのだからそこにいれば確実に捕まるので今回は絵美が甘かった。
だが絵美は腕を掴む幸村の手を振りほどこうとするも、そこはさすがに男女の差というモノが発生し絵美は振りほどけず ズルズルと引きずられテニス部の部室にさらわれた。
しかも今日は雨のためテニス部や他の運動部はたまの休み 。つまり部室には誰もいない。
幸村は絵美を部室に連れ込むとそのまま鍵を閉め 逃げ出そうと目論んでいた絵美のことを抱きしめた。
「やだ!離して!」
「逃げないって約束してくれるなら離すよ。でも絵美はさっき俺から逃げようとしたから離したくない」
「やだってば!」
そう腕の中で暴れる絵美をしっかり抱きしめ、絵美はなんとか逃げ出そうと踠くが、踠けば踠くだけ幸村の機嫌は下がるし逃げ出しようがないと1人追い詰められていく。
「話しを聞いてくれ、お願いだから!」
「告白オツです!以上!解散!」
「 聞いてってば!」
別に絵美は嫉妬なんてしていない。むしろ告白してるのを初めて見たというので逃げ出してしまっただけなのだ。逃げた理由はそれだけなのだが、目が合い気まずさMAXで本能として逃げ出したというのも間違いではない。
断じて、嫉妬はしていないのだ。
「聞くも何も告白乙しか感想はないよ!?邪魔してごめんね?!」
「ーー邪魔……?」
焦った絵美の一言は幸村の地雷を踏んだ。
「俺が他の女の子に告白されているのを見て自分は邪魔って思ったの?」
「思っ、たけど、それが」
何、と紡ぐ前に壁に押し付けられそのまま口を塞がれ舌が口の中にねじ込まれ、驚いた絵美は幸村を突き飛ばし目を白黒させているが幸村はポツリと言った。
静かに、静かに、言った。
「絵美の中の俺の優先順位って、どれくらいなの?」
「意味わかんない!何それどういう意味?!」
「……そう……意味、わかんないんだ。じゃあ、もう、ーーいいや」
「……せ、精市……?」
「帰っていいよ、バイバイ」