木枯らし落ち葉、残るは『 』(全9話)
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絵美が幸村に構わなくなり美術室に入り浸ってから1週間が経ち、1日目でも文句を言っていたのに1週間もすると幸村の機嫌が明らかに悪い。
部員に当たる真似はまだしていないがベンチに座って無言 無表情でラケッティングしている様子に1年どころか引退した3年までビビっている。確かに。
指示は真田が出すが部員は幸村の様子を伺っており幸村はラケットの縁でボールを真上に打ち上げ続けていて休憩に入る部員が真似をして失敗していた。
しかしそんなことにも突っ込まずタンタンと無言でラケッティングをしている間に部活は終わってしまい幸村は一際高くボールを打ち上げてからベンチから立ち上がり、重力により落ちてきたボールを手に取っている。
「あーあ、柳が羨ましいよ」
同じクラスで席が隣。しかも雑談し放題じゃないかという愚痴に、どう返したものかとしつつ真田が横から「授業中に雑談をするのか」という視線を向けてきたので面倒に思ってしまう。毎日こうなので仕方ないだろう、許して欲しい。
「絵の進捗情報はもらえないのか?」
「柳はもらってるの?」
「いや、その話はあまりしないからな」
他の話はするんだ、と言われそうなので急いで下校準備を終え部室を出ると誰かのスマホが着信を告げ幸村が素早くスマホを手にし笑みを浮かべた。赤也が「助かった」と小さく呟いていたが何を言われたのだろうか、哀れな。
柳が下校しようとする横から幸村がテニスバックをしょって行ってしまい、そうしながら嬉しそうにスマホを見ていたので糸井が関係しているのは確かだ。
だが地雷を踏む趣味はないため「お疲れ柳」というだけ言って去る背中に声をかけておくだけにした。
幸村は美術室まで行くとちょうど中から「完成おめでとー」という声がしたため軽く ノックをするとすぐ扉が開かれ美術部員は顔を見せて「あ」と口を開くと初めて中に入れてくれた。
「廊下は寒いから」
ということらしい。
確かに中は暖かいし部員たちが各人の絵を見て話しており そこに1週間ぶりの絵美の笑顔を見た。そして絵美とも目が合い手招きをされたため一応 失礼しますと声をかけ絵美の側に行き絵を見ようとしたら目を塞がれる 。
「幸村はまだ見ちゃダメ」
「なんで?」
久しぶりだからか「精市」ではなく「幸村」と呼ばれたためキスをしようにも両目をふさがれているため腕の中に抱き込むでだけにして、絵美が腕の中で固まったが気にはしない。
やっと触れ合えるのだから遠慮はしない。両目は塞がれているため絵美は見れないがやはり気にはしない。
絵画の提出はこの後顧問がまとめてやるため絵美たちはもうやることもないということで今日から一緒に帰れるというメールが来たのだ。
「コンクールいつだっけ」
「来週の金曜日に第1審査になる」
「見ちゃダメ?」
「ダメ」
む、と思ったが絵美が本気で嫌がることはしたくないためそこは仕方なく引くことにしたし今の状況が少なからず嬉しいため素直にうなずいておくことにした。
慢心は良くないが絵美なら第一審査ぐらい簡単に通るだろうしそしたら絵美の絵が見れる。なので「今は」見ないことに納得をしておく。が、
「跡部?」
「よお幸村」
学校の校門前にリムジンが横付けされており、そこにいたのは跡部であり、時間とタイミングで幸村は絵美を見てしまった。
「知り合い…?」
「ていうか」
「従兄弟だ」
幸村、絵美、跡部で答え幸村は「あ」と口を開きもしかしてと呟いたのは
「一週間迎えに来てた従兄弟って」
「景吾の家の車」
跡部のことはすんなり「景吾」ということに眉を寄せたいが従兄弟なら仕方ないだろう、だが面白くないのは面白くない。そんな幸村に跡部が気付かないはずがないし絵美は呑気にも
「もう大丈夫だって言ったじゃん」
なんて笑っている。
「つまんねえ嫉妬だな幸村」
「俺にとってはつまらなくないよ」
「景吾ついでだから幸村も送って」
ニヤつく跡部も苛つく幸村も無視した絵美の言葉が呑気にも2人の耳を揺らし跡部は「乗れ」と促した。
地獄の時間が始まった。絵美に、だが。