木枯らし落ち葉、残るは『 』(全9話)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ゆっ……精市、おはよ」
「おはよう、絵美失敗しかかったから頬ね」
いつになったら慣れてくれるのかなと幸村を笑いつつ絵美を引き寄せ頬に口づけを落とし絵美はしどろもどろになっている。
データとして、今日まで32回目の失敗と綴る。
たった2日の中で恋人同士になったという話はすでに学校中の生徒の知ることとなり幸村の誰も見たことない優しい笑顔に新たに落ちた女子と前から落ちていた女子は絵美を見て「いいな ぁ」としている。
しかしそんな絵美は初恋相手が幸村精市という腹の中まで読めない難易度の高い存在に狼狽えており少々可哀想に思えてしまうがそれはそれ。
周囲にバレバレの密約で「精市」ではなく「幸村」と苗字で呼ぶとキスをすると恐らくも一方的に決められたであろうそれも哀れに思う。多分、幸村が勝手に言ったのだろうなと思う。
絵美を紹介した柳にも牽制をかけてきていたし赤也にも笑顔を向けていたので彼女は本当に嫉妬深いものに好かれたなと。
だが、そう哀れんでいても幸村は離さないだろうしそうすると哀れに思うそれに幸村が無の笑みを向けてきてくるだろう、それが普通に怖いため哀れだが絵美には尊い犠牲になってもらおうと考えた。
季節は冬を迎え、白い息を吐きながら朝練に励むのを
「風邪をひかせたくない」
風邪だとしても病気舐めんなと言ったその言葉の通りに、そして絵美は部活でコンクールが近いからと美術室にこもっていた。
普通は景色を見ながら風景画を描くものが大体だが絵美は写真を数枚撮ってその中から選んだ一枚をもとに絵を書いている。今回の絵は部活をするテニス部員を描いているようであった。幸村もまだ見せてもらっていないらしい。
部活を終えた柳が幸村(がついてきた)、と教室に行くと絵美の姿はなく、幸村は素早くスマホを出したところで2人の背後から絵美が姿を見せた。
「柳、精市、朝練お疲れ」
ポンと2人の肩を叩き2人して振り返るとすでに雪だるまの絵美が荷物を片手に立っており幸村が問いかける。
「蓮二の方が最初なんだ」
「?何が?」
「俺には構わないでくれ」
柳は教室に入り絵美は幸村と向き合って話をして(いるのは幸村)、おり何が最初なのかと疑問を浮かべキスをされていた。
周囲が真っ赤になり絵美もまた同じく 真っ赤になり、そして今日も変わらずグイグイ行く幸村に絵美は鉄の槍を突き刺した。本人にそのつもりは少しもないが。
「しばらく会えない」
「……なんで?」
一瞬でその声は氷点下に落ち 教室周辺の生徒はドキリとするも絵美だけは何ともしない様子で首を傾げ呟いた。
「コンクール近いからしばらく美術室に籠る」
「朝練、放課後、部活終了後も?」
「うん。今回のは先生の期待値がかなり高い。何でだろうね」
運動部が強豪なら文化部も強豪だった。
そのため冬のこの絵画コンクールもなかなかに落とせないし、しかも賞を取れば立海の名がまた広がる。
しかも絵美がコンクールで賞をとれば中等部後半から1人 独占で金賞を取り続け有名となる。
いや、すでに一部の絵画師から声がかかっているらしい。絵で教鞭をとる師にならないかと。
もしここで絵美が頷いたら大学も立海を離れることになるだろうし最悪高卒で就職先が決まってしまう。
せっかく恋人になれたというのに1年足らずで離れることになるそれに幸村なら納得はしてくれそうだが精市は納得するだろうか、それが怖い。
「でも遅くなると危ないから俺も残るよ」
そう言うだろうことは簡単に予想できていた。が、しかし
「大丈夫だよ、8時までだし」
「ダメ」
「悩めよ……」
「ダーメ」
言葉だけならリア充のイチャつきだが相手が幸村というだけでここまで恐怖を覚えるとは。
そして絵美が平然としている様もまたすごい。
「そんな危なくないよ」
「絶対にダメ。許さない」
「許さないって言われても……」
糸井、頼むから妥協してくれ。柳は祈り、周囲もハラハラと見守っている 。
「でも、」
そうさらに言い淀む絵美の唇を幸村が口で塞ぎ、女子が黄色い悲鳴を上げ絵美は勢いよく引き離しながら真っ赤な顔のまま言い放った。
「しつこい!」
幸村は笑顔で固まった。
1/9ページ