恋病(全11話)
水曜の放課後、ちらりとでも忍足君がテニスをしているところは見れたらいいなと思ってテニスコートに行くと、なんと今は整備中ときて肩を落としながら振り向き、トンと背後にいた男子生徒とぶつかった。
「あ、シシトウ!」
「宍戸だバカ」
「宍戸君」
宍戸君は「そういえば」今日は整備だったと呟き歩き出したので別に後を追うわけではないが肩を並べて歩くと酷く面倒そうな顔をされた。何でよ。
「勘違いされるのマジで最悪だから離れてくんね?」
「京子ちゃんに言っちゃお」
「悪い、俺が悪かっただから横にいてくれ」
「最初から素直にそう言って」
「ばらすぞ」
「ごめんなさい横にいてください」
何の因果か宍戸君が私の友達の京子ちゃんに惚れているのを知り宍戸君には私が忍足君が好きと知られwin-winな情報交換をしているのだが、そんな軽口を叩きながら「そういえば」課題教えてくんね?と尋ねられたため2人で図書室に向かった。京子ちゃんに勘違いされたら2人して最悪なんだけどね。ちなみに京子ちゃんも宍戸君が好きなので「両片想いかよ、ヘッ」と景吾に愚痴ったら白い目を向けられた理由がわからない。
「化学は私も苦手だなぁ……」
「なんか分かりやすい本ねえ?」
「あるある、待ってて」
図書室で荷物を置き考査が近いため他にも生徒がいる。
宍戸君を席で待たせている間に数冊、化学についての本を選んで戻ると忍足君がいた。
何してんのあんたら、私の心臓を持たないからせめて宍戸君の横に座ってほしい、いやそしたら対面になるから横のがいいだろうか。
「宍戸君」
「忍足化学強いんだって」
「マジか」
「マジやで」
化学の課題を広げた宍戸君の横に座ったら宍戸君にちらりと見られ忍足君が苦い表情を浮かべた。なんでよ。
「こっちの荷物、自分のとちゃうの?」
「はい私のです」
さすがに遠回しに横に座れと誘導されたそれに従っておく。忍足君と一緒って、横でも前でもハードル高すぎるからちょっと勘弁して欲しいのだがほんの少し距離をとって 席に着くと椅子を寄せられた。
「離れたら教えにくいやろ」
と言われた。え、教えてくれるの?マジで?神かよ。好きが増したわ。
宍戸君と一緒に課題を埋めながら忍足君に的確なヒントをもらい進めていくと忍足君と肩がふれあいその指先が私の ペン先をなぞる。
「~~―ー……っっ」
好きが爆発しそうになり宍戸君が前の席から何とも言えない表情を向けてきて私は軽く睨みつけてしまう。
そんな私たちのアイコンタクトに忍足君が気づき「何や」自分ら何かあるん?と言われ2人して否定する。
「宍戸君は協力者」
私と恋人に見られたら宍戸君が可哀想という思いでポツリと告げると忍足君は不思議そうにしていたため宍戸君は宍戸君で忍足君に同じく「協力者」と被せた。
私にとってこの高身長はコンプレックス以外の何者でもない。
椅子に座っていても立っていても忍足君と視線が変わらないことがめちゃくちゃ臓物に来る。宍戸君も軽く見下ろしてしまうので余計そう。ただ その身長に見合った足の長さを持っているし部分モデルの仕事は適役なんだけどね。
ただモデルとしている以上絶対に日焼けも怪我もしてはいけないからスラックスだけどそうすると後ろから見ると限りなく男子。
「ヘコむ……」
「何が?」
私のポツリとした呟き。
忍足君は別の本を取りに行ったのでその背を見つつそんなことを話すと
「何か悪いことでもあんのかよ」
と言われたが悪いことしかねえわ。足は綺麗だけど!
「……ちょっとこれ以上いたらへこむから帰るわ……」
「え、いや、待てよ」
「私は用事入ったってことにしといて、じゃ」
手早く荷物をまとめてから忍足君が来る前に図書室を後にしたその後の2人の会話を知らない。
「あれ?何して宍戸だけおるん?」
「あー……用事だって」
忍足はあからさまにテンションを下げ宍戸は悟る。
こいつら両片想いじゃねえか、 つまんね。俺も帰ろ。課題終わったし。
「頑張れ忍足」
と言うとムスッとした表情を向けられた。
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