恋病(連載中)
「あれ?自分もパン?」
「うっわ……はい、焼きそば」
忍足君とは購買のパン戦争の時に鉢合わせ思わず驚いて「うっわ」と言ってしまったが炭水化物×炭水化物という罪深いパンを食べることに恥ずかしさも覚え急いでその場を去ろうとしたら
「ち、ちょお待ち!」
と背中に声をかけられ購買から程よく離れた壁を背に立っていたらおいと景吾に声をかけられ顔を向けると本を片手に持っており
「昼食を終えたら」
図書館に来いと言われたので 景吾一緒にお昼しない?と問い掛けたら
「馬に蹴られるのはごめんだ」
としっかりスッパリ断られた。
意味がわからない拒否の言葉に「ええ」と言うと忍足君が近づいてきて2人と向き合う。
「なあ、聞いてもええ?」
私はドキドキと、景吾は面白いものを見る目で忍足君を見て忍足君はかなり渋りながら口を開いた。何を渋っているんだろうか。
「自分ら付き合うとるん?」
「違う」
「ただの友達」
私も景吾も即座に否定すると若干険しい表情をしていた忍足君はポカンとしたあとヘラりと笑い「さようか」なんて。
「~~…!」
うゔ~好き~!と言いそうになってしまい頑張って口を閉ざしていると景吾に額をコツンと叩かれ「後でな」、と行ってしまい忍足君が軽く手を振っていた。
「ほな、ラウンジ行こか」
なぜか一緒に昼食をとることになっており制服の袖を軽く掴まれ心臓が飛び出そうになる。好きがツラい、ツラすぎる。
こんなん拷問に違いない。一緒に食事するとかハードル高すぎる。無理だから無茶言わないでほしい。
「あ!岳人君!昼食一緒にどう?」
忍足君と二人きりだなんて耐えられないとした私の問いかけに岳人君は渋い顔をした後 近づいて手を差し出されたのでさっき買ったいちごオレを差し出した。
「等価交換な」
「ハガレン」
そしてちょっと笑いあってから渋い顔の忍足君といちごオレをゲットした岳人君が
「悪いな侑士」
と言っていたので私がお邪魔だろうかと考えたら「違う」と言われた。何がよ。
天気のいいラウンジの一角に3人で座りパンを開封すると 岳人君が「女子って炭水化物のカロリーオバケ避けねえ?」といちごオレを飲んでいたので「うるさいバカ」でもここにいてねと言うとまた 渋い顔をされ忍足君もチラリと見ていた。
「……岳人、付き合うとるん?」
「ねーよ」
「ほんまに?」
「岳人君離れたら一生恨むから」
お前勘違いする物言いすんな とチョップをくらい岳人君は座り直し卵焼きを食べ始め、私もパンを食べる。それを見た忍足君もパンを口に運び、私は横目で見つつ着信を告げた携帯を開き眉を寄せる。
「どうしたよ」
「景吾の呼び出し」
「跡部?何でだよ」
「生徒会の用事が入ったから 本を先に、だって」
ごめん、じゃあねと立ち上がりラウンジを後にしようとしたら忍足君に「なあ」と声をかけられ「何で」跡部の連絡先知ってるん?なんて。
ちょっとした利害の一致な交換であったため話せるはずもないし言葉を濁しまた「じゃあ、ごゆっくり」とその場を去り忍足君と昼食を共にする拷問から解き放たれた私は意気揚々と図書館に向かった。
「……あの二人、ほんまは付き合うとるんやないか?」
「それはねえよ」
本命、お前。とは言わず拗らせすれ違い両片想いとか侑士の好きなラブロマンス映画見てえだなと笑う。
「なんや、やったら岳人やっぱり付き合うとるんか?」
「喧嘩かけてくるな」
めんどくせえと言いつついちごオレを飲み、ムスッとしてる侑士に対し岳人は岳人でまた「面白いくらい拗らせてんな」という感想を持って昼食を平らげた。
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