恋病(全11話)
「跡部と岳人の名前は呼んで、俺のこと呼べへん理由って何?教えてぇな?」
「うぅ……」
何が正解なのか誰か教えてくれないだろうか。何でこういう時に限って誰もこっちを見ていないのか、遠いのか。
死にたい気持ち100%パージしてメンタルHPがゴリゴリに削れていくしなんなら忍足君、何でそんなに私に名前で呼んでもらいたいの?勘違いされたら困るのは忍足君だよ?罪深いな?好きだ!!
もう普通に前から認めてるけど改めて好きだと言える。言えない。でも京子ちゃんと景吾の言葉を思い返すと忍足君も多少は私のことを気にしてくれているのか。は?今日命日かな?
「……忍足君……私の命日……じゃなくて、私の名前を呼びたい、と呼んで欲しい、その心は?」
「言わへんとわかってもらえんの?」
それが答えのような気がして死にたいどころか多分もう少しで私死ぬと思う。忍足君はジッと私を見つめてから困ったように視線を彷徨わせてから身を乗りだし私にだけ聞こえるように呟いた。
「だって、好きなんやもん」
今日が私の命日となった。悔いはない。
「自分は?俺んこと好き?それとも対象外?一応背はまだ俺の方が高いやろうし、高等部に上がってもずっと好きでいる自信しかないで?」
だから教えてぇな、なんて困ったように言われてみろ?な?改めて好きが大爆発するからよぉ!!
「な?ええやろ?呼ばして、呼んでくれへん?」
「うゔ~……」
しょっちゅう景吾にもらしていたうめき声を出しつつ耳の先まで熱くてテーブルに突っ伏すと軽く耳をくすぐられ小さく笑われた。
「言うてくれへん?俺んこと好き?嫌い?」
もう何もどうも取り繕えなくなってしまいテーブルに突っ伏したままとうとう私は口に してしまった。
恋とは先に落ちた方が負けなのである。
「……侑士君……」
「うん」
「……好き……」
「俺も」
最大級の嬉しそうな甘い声に耳鳴りを起こすも忍足君、いや侑士君の声と言葉は聞き逃さない。一生を懸命である。
「跡部んことみたいに呼び捨てはせえへんの?」
「こ……心の準備が必要です……」
「そないに好いとってくれてるん?ほんま可愛らしいなぁ」
思わず顔を上げるとメガネ越しに忍足君……じゃなくて侑士君と目が合い全身が熱湯に浸かったように熱くなるしあんまりな展開にガチで命日だと思うのはマジだ。
でも好きな人の意にそぐわない行動は時と場合と理由に限りしたくないためそれはもう消えそうな声で
「ゆ……侑士……」
と呟くと、それはもう嬉しそうな笑みを浮かべ侑士も頬を軽く染めている。はー!もう好きです、大好きです!!今日が命日で悔いはない!
侑士は嬉しそうに笑ったかと思うと私の耳元で私の名前を囁いてきた。その内容にトビそうになる。
「なあ、跡部も岳人も苗字で呼び直してくれん?俺だけの特権にしたいんやけど」
「ぐぅ……考えときます……」
「だからな何して敬語」
侑士は笑うけど私には精一杯の答えであって侑士は追従してきた。追撃ともとれる。
「今日から恋人やんなぁ?そやろ?」
「ぅぃ……」
「かいらしいなあ自分」
でも侑士も照れているから五分五分だと思う。
「あ、因みに俺独占欲強いから覚悟してな?」
私はまた小さく呻くことしか できなかった。
2024/12/22(完)
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