被験体α(全16話)


「もうそろそろか」


プツンと途切れた意識をこちらに戻し時計を確認するともう少しで3時間。

あの日、あの後から20回以上食事の代わりに何かの錠剤をほぼ毎日3時間おきに飲まされ、これで一体どれだけの何を飲まされたのか分からずにいるが何を飲んでも飲まされても私の身には何も起こらず観察されるたびに


「化け物が」


と楽しげに呟いてジンは行ってしまう。

何だろう、アレだ。サプリ的なアレ。でもそんなサプリも個数制限されてるけれど今飲まされている薬の個数制限なんてものがあるのかわからないし、そもそも被験体のような位置にいる私にそんな気遣いは必要ないだろう。

そうして3時間、アラームが鳴り起き上がるのと目の前の扉が開くのはほぼ同時で今日もジンが薬を持ってきてくれて、立ち上がろうとしたら制され、ジンが私の前に膝をつき右手が頬を撫でてきてもう片方の手には赤と白のカプセルを持っており私は言われる前に口を開け、そして硬直した。

薬を放り込まれる前にジンの顔が近寄ってきたかと思うとそのまま食べるように口づけられ、ちゅうと唇を吸われた。肩が跳ねる。

ねっとりと舌が口の中を這い回り濃すぎる口づけに目眩を覚えてしまう。

こんなん耐性持ってない!


「ち、ちょ……!んっ、んんんー!!」


抵抗していいのかわからず、それでも堪らずジンの襟ぐりを掴むと片足をジンの腹部にあて物理的な方法で距離をとることに成功した。

こんなことをしてジンに殺されるのもまあご褒美かなと思いつつジンを見ればジンはふっと息を吐くように笑うと口の中にカプセルを押し込まれ飲まされる。

ごくんという音とともに飲み込んでからジンを見つめるとジンはやはり観察するも私に異常は起こらずほんの少し眉を寄せつつ


「これもダメか…化け物が」


そう呟いて行ってしまった、が、私は慌てて手を伸ばす。そして掴めたのはジンのコートではなく、ジンのあのサラサラの銀髪であり、クンと引いてしまったそれに今度は慌てて手を離すがジンがこちらを振り返りつぶやく。


「殺されてぇのか?」と。
「いや、あの、それは別に構わないのですが、」


私の「構わない」にジンは眉のシワを深め


「私、何の薬飲んでるの……?」


と問いかけてしまった。それにジンは眉を寄せながら私を見下ろし口端を吊り上げ口にした。


「言っても飲み続けると誓えるか」と。
「誓えます。コロリと逝く系でも飲みます」
「ーーーーイカれた奴だな、テメエは」
「それほどでも……」


えへへと笑えばジンも笑ってくれて


「今飲んだのは死んでも毒物が検出されない薬だ」


と笑い、私は内心でハッとする。
それってAPTX-4869ではーーー?

今飲んだのは、ってことは、今まで飲んでいたのもそれはまた別の毒物なのか、APTX-4869の改良前のものなのか、聞きたいことはたくさんあるけれど。


毎日、毎日、毎日、3時間、 3時間、3時間、飲む、飲む、飲む、化け物、化け物、化け物ーーー

私は今、どうなっているのか


「おい」
「はい」
「飲め」
「はい!」


私はまた、毒物を口にした。ほんの少しも効きもしないものを、何度も、何度も、何度も。


私はいつ死ぬのかなぁ?






Answerーーー?

2025/02/23
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