被験体α(全16話)
仕事へ行く時サイドテーブルにある名刺に気がつくこともなく職場に行き、帰宅したらその名刺の存在がなくなっていることに気づくはずもなく
「あー疲れた」
と浴室に向かった。
もういい季節だしお湯を溜めるのも面倒なためシャワーで済ませ髪は雑に乾かしながら 鞄を整理する。
明日はリモートなので午前中に全部仕事を済ませ何度目かのコナンをキメルのもいいだろう。そこでふっと昨晩のことを思い出し腹をさする。意味は特にない。そうしてから夕食も面倒になったので口にするのはやめ、テレビをつけるとニュースがやっていたので明日の天気だけを確認し布団に潜り込んだ。
朝は5時30分に目を覚ましスマホを見れば友人からメッセージが数件入っており、私も友人も互いの空いてる時間など配慮しない関係のためメッセージを見てから適当に返し2度寝に入る。
からの30分後。またふっと目を覚まし今度は布団から起き上がると大きく伸びをして欠伸をしながら洗面台に向かい 顔を洗い歯を磨く。
朝の習慣をなぞってからテレビをつけぼんやりと見ながら 歯ブラシを動かす。まだ眠かったからなのか歯茎をガシッと掻いてしまい小さく呻く。
痛いじゃないの。
口をすすぎタオルで拭ってからカップスープを飲んでパソコンを起動させた。
普段なら始業9時のためそれまでやることはないがリモートのためさっさと仕事に取り掛かる。私はそれほど大きくはないがまあまあな広告企業に勤めているためパソコンとソフトさえあればどこでも仕事はできる。
色々とカラバリのポップを作り上げ保存し今日の会議に向けて参加するみんなにメールに画像を貼り付けて送っておく。会議は9時半からなので2時間も空いてしまった。なので別の会社からの依頼のポップを作りまくればいいだろうとロゴを作成して削除して、配色も考えておく。
9時半から10時にかけての仕事はさらっと終わり12時の昼休憩で私は仕事を納め、充電器にぶっさしたままのスマホでコナンの映画の上映時間を確認する。
「ほーん……13時25分からね」
一応スクショし現在時刻を確認してから兄貴を観に行くためにおめかしをしてメイクもし、さっと外出する。
映画館近くのファミレスで食事を済ませればいいだろうと車で移動し、不意に、心臓が高鳴った。
なんぞ!?
バクバクと騒ぐ心臓に驚きつつ平静を保ちアクセルを踏んで映画館の駐車場に車を止めようとした瞬間、
大爆発が起こった
シートベルトをしているが私の車や停車している車に自転車、そして歩いていた人も吹っ飛んで行きエアバックに顔面を攻撃され火花が散る。
激しい音と衝撃を受け叫び声も聞こえた気がしてから私は「はっ」と目をあけたそこは真っ白い部屋。はい、3度目ですね。こんにちは。
しかし驚くことがある。
私もぶっ飛んだし誰かの車もぶっ潰して通行人も多分ぶっ飛んだはずだがその白い部屋には私しかいなかったのだ。
とりあえず怪我はないかと腕や足、靴などを見ても汚れは一つもないし怪我やエアバッグで危うくキャンしそうになった頭も恐らく無事であろう。しかし荷物はない。
白い部屋の真ん中で立ち尽くし監視カメラ的なものはあるのだろうかと見渡した瞬間、ふとした気配に振り返り黙っていれば扉が静かに開きジンがそこに立っていた。
「うわ……」
相変わらず格好いい!好き!!と叫ぶ代わりの呟きであったがジンは気にする様子も見せず私に向かってスマホを投げ渡してきた。
それをうまくキャッチできず落としてしまえばジンは低く笑いスマホを拾って立ち上がった私に近づいてきて、なんと、顎クイをされてしまった。
う、うわーー!最推しによる顎クイ!ありがとうございます!!!
そう感謝の念でいっぱいになりながらジンを見上げ、そういえば初めて会った(?)時はキスされたんだよねぇ!?と思い出してしまいはわはわとする。
そんな私の口の中にポイと何かのカプセルか錠剤を放り込まれジンはもう片手にあったペットボトルから水を口に入れ、その水を、
口移しされてしまった。
びっくりして、びっくりしすぎて「ゴフッ」と噎せ、錠剤かカプセルを水ごと吐き出してしまいジンに「きったねぇな」というような視線を貰ってしまった。
いろんな意味で切腹して死んでしまいたい。
しかし今度はまた別のカプセルを放り込まれペットボトルを押し付けられた。ごめんなさい。
それを飲んでジンを見つめればジンはしばらく見下ろしてから一言
「化け物か」
と笑い、その部屋から出て行ってしまい、私はしょんぼりとしてしまった。
折角口移してくれたのを吐き出すとは、なってない!もう!!
ところでここはまた組織の施設ですかね?
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