被験体α(全16話)


2度目のアレも同じ館内にいた人も一緒に見た夢なのかと思いつつそれでも1度目と似たことになっていたのに夢オチだとは思えない。

私にとっては楽しい夢であったが、私以外の人たちには悪夢のようであり手を取り喜んでいたのだが。


はーやれやれなんて自宅に戻り、日常の終わりの作業をこなし布団に入り込みに翌朝普通に目を覚ました。仕事に向かうため、また朝の動作をぼんやりとこなす。

顔を洗って歯を磨き、鏡を見ればまだ眠たそうな私が目に入る。なんとなく寝た気がしない。

大きく欠伸をしてスーツに着替えカバンを持って家を後にした。

部屋の扉の鍵を閉め階段を下り車に乗ろうとしたところでアパートの出入り口の駐車場に黒い見覚えのある車を見てしまい立ち止まる。

塀があるため人の姿は見えないと思いたかったのにコンクリの塀の向こう側に黒い帽子が見えてきて車を発進させながらそっと横を伺うと、そこにはそう


「じ……じん…?」


そう映画やアニメ漫画などでめちゃくちゃ見て推しまくったジンがタバコを咥え立っていて、ブレーキを踏んでよくよく見てみたいしなんでジンがいるのだろうかと色々考えることはあるけれど、アクセルに足を置いたがジンは長い 足を動かし私の車の前のきて、ブレーキを踏まざるを得ない。


「(えっと……えっと…)」


なんと声をかければいいのかわからないし本当にジンかもわからないし仕事に遅刻するかもしれないしそもそも何でジンが『私が生きている世界』にいるのかという意味もわからない。

困惑しつつ窓をあければタバコを片手にゆっくりと近づいてきて開けた窓にジンは肘を置き煙を私に吹きかけてきた。

ちょっと噎せてしまいつつジンを見て

「お、おはようございます?」

と疑問形でつぶやけばジンは口角を上げ「よう」と声をかけられ私の心臓はひっくり返ってしまいそうだ。


「よう、化け物」


先日のアレは、先日薬を飲まされたアレは、夢ではなかったのか。
だって私のことを『化け物』なんて形容したのはジンだけだし。えぇ、でも、本当に、何でジンはここにいるわけ?


「おい化け物」
「はい……」


また呼ばれ、ジンの言葉の先を促せばジンはもう一度タバコを吸い込み 煙を吐き出してから窓から離れ「どこに行く」と。


「えっと……仕事に……」


名刺でも渡すかと鞄を漁り、名刺ケースを取り出しついでに免許証を見ると狼狽えてしまった。

住所が変わっている。
私が『住んでいた記憶の住所』と『免許証に表記されている住所』の違いに戸惑いつつジンはそれを奪い取り見られてしまう。別にいいけど。

ジンはとっくりと免許証を見てから私に返してくれて私はそれを受け取りながらしまいこみ、ジンはまた


「おい化け物」と。
「てめえ、仕事はいつまでだ」
「え?あーー…17時頃……?」
「上がったらここに来い」


そして渡されたのはどこかの住所と時間と建物の名前、そして合言葉のようなものも書いてある。


「分かったか、いいな?」


そう耳元でとびっきり甘く囁いてきてまた心臓がひっくり返りそうになってしまい今にも死にそうになりつつ、もう一度「いいな?」という問いかけに私はとにかく無言で頷くことしかできなかった。



うわーーー!好きぃぃい!!!でも何でいるの?!







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