被験体α(全16話)


眠っている間に最後の1人が連れて行かれないように起き続けて2日。
うつらうつらとしている間に 扉が開く音がしハッと目を覚ますとそこにいたのはベルモットで。


「奥の子、こっちに来なさい」


ベルモットは一瞬私を見たがすぐ視線は奥の女に向き、女が小さく息を飲んだのを感じた。


「いっ、いやよ……嫌よ…!いやーーー!!」


助けてーーー!!と力の限り叫んだ女に不快な気分を覚えつつベルモットを見るとベルモットは小さく手で合図して、末端が、叫び、半狂乱になっている女の首元を掴んで引きずるようにして連れて行った。

残るは私1人。


今から数えてご飯9回分で3日になるので、その3日後に私はどうなるのだろうか。

そんなことを考えながら1人きりの白い部屋で柔軟体操や ゴロゴロしたりなどを経て、あっという間に9回の食事を終えてしまった。

さて、そろそろ私を迎えに来る頃であろう。誰が来るのかな。被験体として死ぬのはジンのためになるなら別に構わないけど、ジンが迎えに来ないで試験体として死ぬのはちょっと、いや、かなり嫌。
ジン以外の人が連れ出そうとしたら

「ジンじゃなきゃ嫌!!」

って 叫んでみようかな。ちょっと楽しそう。

そうして白い部屋の真ん中で寝転がって天井を見つめていれば扉側に向けていた頭側から扉が開く音がし、起き上がって顔を向けた。


ーーー!ジンだ!!


パッと笑ってジンの前に行けばジンは、ゆるりと笑い肩に手を回された。

ご褒美ありがとうございます!!

そう感謝の気持ちいっぱいでいればジンは低く笑い連れて行かれたのは真っ黒の部屋に白い椅子が一脚あるそこ。
促される前にぴょんと座り乗る。手足を縛ったりするのだろうか。

ジッとジンを見つめていればジンは煙草の煙を吐き出してから左手を胸元に入れ取り出したのはジンの愛用のベレッタ。

焦らしに焦らされて被験体となる前に撃ち殺されるなんて 、これもちょっと嫌だが、 でもジンの手によるものだとしたらとても嬉しい。


「おい」


なんて声をかけられ、ゴリと額に銃口を押し付けられても私は笑って何も言わずジンの瞳を見つめてしまう。


「何か言いてぇことはあるか」
「 ありがとうございます!」


何を言ってんだこいつとゴミを見る目で見下ろされたがそれも一瞬で。
ジンは煙草を吸い、その吸殻を捨てながら煙草の煙を私に吹き付けてきた。


うわっ、色っぽい、Sexy~!ヒュー!ヒュヒューー!!

そういえば私、一発目でジンにキスされたんだよね、あの唇で。


そう思い出した私は急速に心臓が高鳴るのを感じぴったりと口を閉ざしてしまった。

思い出しただけで死にそうだ。
ジンの指が銃の引鉄にかかり、 ゆっくりと、ゆっくりと、引鉄が引かれ


ーーーパン!


という乾いた音にハッとして いつの間にか閉じていた目を開けた私は目を見開き、映画のエンドロールを、目と、耳にして周囲を見る。

そしてあの時、映画を観ていた7人も同じように席に座っており私を振り向いてきた。


「夢」


とつぶやいたのは誰だろうか 。
全員が喜びの声を上げ私は額に手を当てながらポツリと呟いてしまったのは


「残念」



なんてもの。
しかしそれを耳にしたのは一人もいなかった。







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