被験体α(全16話)
この真っ白い謎の部屋で目を覚まし過ごしてから大体10日ほど経った。
キャンティのおかげで朝、昼、夜が分かったのでそれに頭を下げ日々を過ごすが3日ごとに一人ずつ連れて行かれていたのでもうそろそろ誰か来るだろうという予想は当たった。
いつも通り食事をしてシャワーを浴びせてもらい白い部屋に戻ればしばらくして扉が開き顔を見せたのはキール。
しかも1人。
扉が開いた瞬間に私以外の全員(まあ4人しかいない)が身を固くしたがキールを見てそして1人だと気づき、全員が扉前まで駆け寄った。
「わ、わたし!」
「いや、俺だ!キール!俺を連れてってくれ!」
押し合いへし合いの様子を白い目で見つめていればキールは困ったような表情を隠しつつ詰め寄る4人を見て口を開こうとしてスマホが鳴った。
私たちは何も持っていない。キールのものだ。
「なぁに、ジン」
その一言に全員は息をのみ、硬直し、キールは小さく頷いてから3日前に連れて行かれたカップルの女の片割れがキールによって連れて行かれてしまった。
バイバーイと思いつつ残る3人は絶望的な表情で壁側にへたり込み涙も出てはこないらしい。
そんなに怖いものなのだろうかという疑問は私の感情的なものが軽く死んでいるからだろうか、私に恐怖みたいなものはあまりない。私、何が怖いのだろうか……虫?
でかいムカデとかなら確かにビビるが怖いというより、そうだな「うわっ、気持ち悪い」だろう。
刺されると痛いらしい。噛まれる、か?まあいいか。
カップルの片割れが連れて行かれてから初めてのデザートというかおやつのケーキ。
「美味しそう~」
とつぶやいてフォークでもぐもぐ食べていればしかし3人は手をつけることなく3人が固まって身を置いており、せっかくの美味しいケーキがもったいないぞと思ってしまう。
「 食べないの?」
「……」
「もらっていい?」
「……」
無言は肯定として受け取って、 3人分のうちのケーキの1つを手に囓りつく。ふわふわしっとりな紅茶のケーキは最高だ。でも2個は結構きつかった。
ケーキと一緒に運ばれた紅茶をすすり、のんびりと余韻を楽しんでいれば扉が開き空いた皿と手の付けられた様子のないケーキと紅茶が回収されていきその背に向かって
「美味しかったです」
といえばポカンとされた。
感想くらい受け取ってくれよ。末端は本の1秒ポカンとしていたがすぐ咳払いをして部屋を出て行ってしまい、私は手をひらひらと振った。
次は夕食か。
しかしそろそろ体を動かしたいんだが部屋の中を走り回っても怪しい度が爆上がりしそうだしそんなことを実行するには一応私にも躊躇いがある 。なのでこの部屋に置かれた時のままに大人しく過ごしていれば3日はあっという間である。
そろそろ私以外の3人はメンタルストレスはマッハであろうし、ご飯もスズメの餌ほどしか食べずにいるので体力的にも精神的にも限界が近いだろう、ちゃんと食べないから。
なんて思いつつシャワーに連れて行かれトイレも済ませ後は寝るだけ!の時に末端の女がちらりと顔を見せ、私と目が合うと多少驚かれたものの それ以上は何も言わず部屋に押し込まれ女の子2人と男1人は絶望的な表情で扉を見つめていた。
そんなにか……?わからないなぁ、私おかしいの?ねえ。
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