被験体α(全16話)
バーボン推しの女の子が連れて行かれてからまた3日。
私以外は雀の餌ほどしか食事を摂らない上に情報というものが一切入らないことによるストレスで眠れてもいないようだ。
「んー…今何時だろう」
そうつぶやきながら目を覚ました私は、目の下にどす黒いクマを作っている5人を軽く見回して、そう、なんとなく立ち上がりこちらからはノブがない扉を見つめ、手を置いて、押そうとして、そして空振りに終わった。
スカッと手が抜け傾いた体を支えてくれたのはキャンティ で、その後ろにはコルンがいる。
「おはようございます!!」
「もう昼だよ」
元気いっぱいで声を出した私にキャンティは鼻で笑い
「あんたかい」
と呟いたのを耳にした。
何が「あんた」?あ、察した。
「私です!!」
ニコニコと笑い、ジンが立候補した私を置いて別の子を連れて行ったそれでの「あんた かい」であろう。
私行きましょうか?私行けますよ!とニコニコしていれば私の後ろでは5人が息をのみ震えていて、私はそれを見ることもなくキャンティを見つめてしまう。
「目元の刺青 かっこいい~……可愛い~……!!」
心からの言葉にキャンティは視線を私に向け口端を吊り上げてから笑い
「だろう?」
と。
うわー!好きーーー!!
思わず両手を広げて抱きついてしまえばキャンティは驚いたようだが軽く背中をポンと叩いてくれてから
「あんたは面白いから後にしてやるよ」
そう言われ、私の背後の男を見ると「コルン」と続け、コルンも頷いて男の腕を掴んだ。
「ヒッ…!!」
と男は声を上げ
「嫌だ!死にたくない!嫌だ!!」
と騒いだためコルンの手刀が男の首裏に落とされ引きずるように連れて行かれてしまった。
男の彼女は泣き崩れており4人は殺意のこもった視線を私に向けてくる。
完全に黒にされている。勘弁してよ。ただ推しが多いってことだけなんだけど、それが悪いの?悪くないでしょ?だって兄貴が主役なんだから兄貴が好きだから主役(違う)を見に来たんでしょ?もう1回言わせて。
勘弁。
戦闘意識ゼロの私にしかし、4人は睨みつけてくるままでありそれを無視してさっきの キャンティの言葉を思い出す 。
『もう昼だよ』
なるほどね。うん。と軽く頷いてから運ばれた料理をみつつ料理を運んできてくれた人に、私は「ここは」
「どこ?」
と問いかけた。
料理を運んでくるということは末端であろうことはよくわかるのだがしかしその人は一瞬迷ったようだが何も言わず出て行ってしまい、私は食事を口にする。美味しいのよね 。
完食する私を尻目に、やはり4人は大して食べずに日が過ぎていく。
食べないとむしろ死ぬよ?と思いつつ、私を黒側に置いたことに腹が立っていたので4人の末路は気にしていなかったけど、むしろ痛い目に遭えばスッとするなと思ってしまったのは当然だろう。
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