呪術
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
糖分薄い&本誌参考表現あり
「碧井ちゃん、みーつけた。こんなとこで何してんの?」
「……直哉さん」
禪院家敷地内、武器庫前にいた碧井を見つた直哉は碧井の腕を掴みそのままドンと壁に押し付けた。
口元はにやにやと笑っているが目は少しも笑っていない。
そんな直哉に碧井はふとした予感を覚え直哉から視線をそらした。
「今な、親父死んだんやけど、『当主 』の遺言で『碧井ちゃん』及び 『恵くん』の両名を禪院家当主とす、なんて言われてなぁ碧井ちゃん。どういうことか教えてくれへん?禪院の端っこの端っこの、なぁんで禪院の名を持ってるのかわかれへん碧井ちゃんの、どこに当主になる理由があるん?」
碧井と直哉は一つ違いであり、男と女という違いがあり、直哉率いる炳の一人でもあるがその強さは今であっても誰も底を知れないでいる。
けれどもその『底の知れない強さ』は言い換えると『底が見えて、もうこれ以上は強くなれない』と伝わり、禪院の人間は碧井を真希や真依を見下しているように等しくゴミのように扱っていた。
直哉と直毘人以外は。
それでも直哉は碧井の腕を掴む手に力を入れ、ギリギリまで顔を寄せ耳元で「早よ答えて?」と甘く冷たく毒のように囁く。
「……先の東京 での件で『現当主である禪院直毘人を助け、今日 まで禪院碧井による延命処置への恩赦として、五条悟及び重影家との誓約状を履行し踏まえ、禪院碧井を改めて禪院に迎え入れ、伏黒恵と共同で次期当主とする』、という話を勝手につけられてて、私もそのことをさっき知った……」
「へえ、さっき?俺はたった今知ったんやけどなぁ?」
声音が低くなり腕への血が止まってしまうのではないかという力にも碧井気を向けず、直哉とは目を合わせようとはしない。恐いわけではない。どうすればいいのか分からないだけだ。
碧井と直哉は皆の知らぬところで恋仲である。
禪院の『呪力と術式』主義に、碧井は呪力はともかく術式を使うことはこれまでにほとんどなく、本当は術式なんて持っていないだろうと白い目で見られていた。
それでも炳にいる分、術式は持っていると、その術式を“見た”ことがあるのは前当主であった禪院直毘人と直哉だけであった。
碧井は『呪力』『術式』『血統』ではなく純粋に『強さ』を認める直哉が好きであり、直哉は直哉の求める『強さ』を持っている碧井を好ましく思っていた。
だから今日まで禪院の分家の分家の名も知られていない一族から引き抜かれ、禪院の名を名乗ることを許されていたのだ。
そして直哉もその全てを持ち、努力を重ね今の位置付けで『現』当主になるはずだった。そこでの父の遺言である。納得など到底できなかった。
直哉は唇をぴたりと碧井の耳元に張り付け静かに囁き続ける。当主になる気のない碧井に苛立ちが募る直哉を、それでも碧井は好きだった。
直哉の優しい声が響いてくる。しかしその言葉に優しさはない。
そして炳を率いている直哉は、それでも恋仲にある碧井に傷をつけぬように動く強い独占欲を持っていたがそれはそれ。
直哉は『禪院家当主 禪院直哉』が欲しかった。
幼い頃から言われ続けていたからそうなるのが『当然』だと少しも疑っていなかった。
しかし先の当主の遺言状である。
『強い』甚爾くんや悟くんを認めるように『碧井』のことを認めているが『伏黒 恵』はそれに値しない。
禪院直哉はクズである。女は下に着くものとして疑わない。だからいくら恋仲であろうとも、その強さを認めていようとも、やはり多少は血統を考え、禪院の相伝の術式を重んじる。だからこそ先に「禪院の名を持つ理由が見つからない」と下げずんだのだ。
真希はダメだが真依は女としての分を弁えていると直哉は笑う。
「なあ碧井ちゃん。恵くんってどんな子?俺より強い?頼りなる?甚爾くんの『強さ』にふさわしいか?なぁ?」
「あの子は既に領域展開も扱えるほどの逸材だと見てきた。というか、使えてるんだけど……でも、強さはまだ発展途上。これから彼は伸びる。それも甚爾さんに恥じないくらい」
「へえ?そうなんか。やったら、今のうちに殺したろ」
直哉は強く掴んでいた碧井の腕を離すと、己が今までそうしていなかったように碧井の腕を優しく撫で、笑った。
目が弓なりに細められる。陽の光に鮮やかな金髪がキラキラと光り、そして飄々と毒を言い放った。可愛らしい笑顔で。当然だろう、と。
「そしたら、恵くん殺して、碧井ちゃんと結婚して、碧井ちゃんは俺に禪院家当主の座を譲ってな?」
そうしたら、あとはもうドロドロに甘やかして大切にしたるわ、そう歌うように残し直哉は歩き去って行った。彼の向かう先は言わずとも分かるだろう、碧井は楽し気に足取り軽く歩く直哉の背中を見つめ続けた。
2025/11/12
渋谷事変×死滅回遊 映画履修より
直哉くんのドブクズっぷりを書きたくて、灰にしては甘くないものができました。これは何系だろうか……
「碧井ちゃん、みーつけた。こんなとこで何してんの?」
「……直哉さん」
禪院家敷地内、武器庫前にいた碧井を見つた直哉は碧井の腕を掴みそのままドンと壁に押し付けた。
口元はにやにやと笑っているが目は少しも笑っていない。
そんな直哉に碧井はふとした予感を覚え直哉から視線をそらした。
「今な、親父死んだんやけど、『
碧井と直哉は一つ違いであり、男と女という違いがあり、直哉率いる炳の一人でもあるがその強さは今であっても誰も底を知れないでいる。
けれどもその『底の知れない強さ』は言い換えると『底が見えて、もうこれ以上は強くなれない』と伝わり、禪院の人間は碧井を真希や真依を見下しているように等しくゴミのように扱っていた。
直哉と直毘人以外は。
それでも直哉は碧井の腕を掴む手に力を入れ、ギリギリまで顔を寄せ耳元で「早よ答えて?」と甘く冷たく毒のように囁く。
「……先の
「へえ、さっき?俺はたった今知ったんやけどなぁ?」
声音が低くなり腕への血が止まってしまうのではないかという力にも碧井気を向けず、直哉とは目を合わせようとはしない。恐いわけではない。どうすればいいのか分からないだけだ。
碧井と直哉は皆の知らぬところで恋仲である。
禪院の『呪力と術式』主義に、碧井は呪力はともかく術式を使うことはこれまでにほとんどなく、本当は術式なんて持っていないだろうと白い目で見られていた。
それでも炳にいる分、術式は持っていると、その術式を“見た”ことがあるのは前当主であった禪院直毘人と直哉だけであった。
碧井は『呪力』『術式』『血統』ではなく純粋に『強さ』を認める直哉が好きであり、直哉は直哉の求める『強さ』を持っている碧井を好ましく思っていた。
だから今日まで禪院の分家の分家の名も知られていない一族から引き抜かれ、禪院の名を名乗ることを許されていたのだ。
そして直哉もその全てを持ち、努力を重ね今の位置付けで『現』当主になるはずだった。そこでの父の遺言である。納得など到底できなかった。
直哉は唇をぴたりと碧井の耳元に張り付け静かに囁き続ける。当主になる気のない碧井に苛立ちが募る直哉を、それでも碧井は好きだった。
直哉の優しい声が響いてくる。しかしその言葉に優しさはない。
そして炳を率いている直哉は、それでも恋仲にある碧井に傷をつけぬように動く強い独占欲を持っていたがそれはそれ。
直哉は『禪院家当主 禪院直哉』が欲しかった。
幼い頃から言われ続けていたからそうなるのが『当然』だと少しも疑っていなかった。
しかし先の当主の遺言状である。
『強い』甚爾くんや悟くんを認めるように『碧井』のことを認めているが『伏黒 恵』はそれに値しない。
禪院直哉はクズである。女は下に着くものとして疑わない。だからいくら恋仲であろうとも、その強さを認めていようとも、やはり多少は血統を考え、禪院の相伝の術式を重んじる。だからこそ先に「禪院の名を持つ理由が見つからない」と下げずんだのだ。
真希はダメだが真依は女としての分を弁えていると直哉は笑う。
「なあ碧井ちゃん。恵くんってどんな子?俺より強い?頼りなる?甚爾くんの『強さ』にふさわしいか?なぁ?」
「あの子は既に領域展開も扱えるほどの逸材だと見てきた。というか、使えてるんだけど……でも、強さはまだ発展途上。これから彼は伸びる。それも甚爾さんに恥じないくらい」
「へえ?そうなんか。やったら、今のうちに殺したろ」
直哉は強く掴んでいた碧井の腕を離すと、己が今までそうしていなかったように碧井の腕を優しく撫で、笑った。
目が弓なりに細められる。陽の光に鮮やかな金髪がキラキラと光り、そして飄々と毒を言い放った。可愛らしい笑顔で。当然だろう、と。
「そしたら、恵くん殺して、碧井ちゃんと結婚して、碧井ちゃんは俺に禪院家当主の座を譲ってな?」
そうしたら、あとはもうドロドロに甘やかして大切にしたるわ、そう歌うように残し直哉は歩き去って行った。彼の向かう先は言わずとも分かるだろう、碧井は楽し気に足取り軽く歩く直哉の背中を見つめ続けた。
2025/11/12
渋谷事変×死滅回遊 映画履修より
直哉くんのドブクズっぷりを書きたくて、灰にしては甘くないものができました。これは何系だろうか……
7/7ページ