テニスの王子様
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「精市に嫉妬って心あるのかな?」
「俺が知る限りやつは嫉妬の塊ぜよ」
「嫉妬してもらいたい……」
「お前は昔からくだらんことを考えるな、碧井」
「くだらんって言ったな!?弦一郎ひどい!私傷ついた!」
放課後、今日はミーティングだけと知り邪魔しないから精市が来るまで話しに付き合ってとお願いしたところ、みんな了承してくれたわけだけど。
私の次の言葉に背を向けたものもいるが、まあどうでもいい。仁王くんに、幼馴染の弦一郎を捕まえて膝を抱えて話し出したのだが弦一郎は「面倒だな」と言って話の輪から抜けようとして仁王くんが追撃してくれた。
「おーおー、真田、幸村の恋人を傷つけて去るつもりかの」
「こんなことで傷つくほどやわじゃないだろう」
「昔からの仲だからって傷つくこともありますけど?!」
弦一郎がひどく残念なものを見る目で私を見たがそれ以上は何も言わずミーティングの用意を始め私はわーわーと突っかかる。
「だって精市、私と赤也君が抱き合ってるのを見ても仲いいねってだけで」
「先輩!抱きあってないっすよ!ハイタッチがずれただけでしょ!?」
「ほう……赤也……」
そう柳くんはノートを取り出し何かを綴り「そもそもさぁ」と私は口にする。
「玉砕覚悟でチョコと連絡先渡したら5分後によろしくってメールが来て嬉しかったけど、それから今日までそれ以上何もないし……男子と話しても気にしてくれないし……」
ブツブツとのの字を書く私に仁王くんが肩を組んできて、
「ひとまず真田辺りに愛を囁いてみてはどうじゃ」
と。
弦一郎は「なっ!?」とさすがに動揺し仁王くんはにやにやと今の状況を楽しんでいる。
「うー……弦一郎」
「……なんだ」
「大好きだよ」
幼馴染として、とつけたそうとして背後から影が落ちた。
仁王くんと一緒に振り返れば笑みをたたえた精市がそこにいて、丸井や、赤也は青ざめた。無論、他のメンバーも。それに気づいていないのは碧井ただひとり。
「弦一郎のことが好きなのかい?」
「うん」
「そう……じゃあ、俺は?」
部室はシンと静まり全員がことの成り行きが去るのを待っており私の肩に手を組ませていた仁王くんがするりと離れていく。
そのことに意識を向けようとしたがその前に精市が手を掴みグイと引き寄せてきて手首が痛むほどに握りしめられた。
「せ、精市……痛いっっ……」
「痛くしてるからね」
何で?という疑問を胸に抱き、ギリギリと締め付けられる手首に視線を向け精市は囁くように口にした。
「ミーティングが終わったら二人で話そうか。待っててね」
逃げるのは許さないよ、という言葉にさすがに何かオカシイと気づいた私は手首を離した精市の制服の裾を掴み軽く引く。
「……怒ってるの?」
「当然だろ?俺はそれほどできた男じゃないからね」
何のどれに怒ってるの?とした私に精市は冷たい目で私と 仁王くんと弦一郎を見てハッとした。
「嫉妬……?!」
「してるさ、ものすごくね。碧井は俺の彼女なのに弦一郎のことを好きだと言ったり仁王と肩を組んだり、他の男子と話したり。結構我慢してたんだよ?それをわかってもらおうか」
弦一郎も仁王くんも真っ青であるが私の頬は緩んでしまい すぐ目の前にいる精市に抱きついてしまった。彼の無表情に恐怖など少しもない。とにかく嬉しい。
「精市、嫉妬してくれるんだ!」
「なんで笑ってるのかな?俺は本気で怒ってるんだけど」
という言葉にさらに顔はだらしなく緩み、首に手を回して抱きついてしまう。離れたくない。
「精市、大好きだよ!嫉妬して欲しかったの。私は精市のモノだよって確認したかった。だから今すごく嬉しい!」
「碧井……俺は怒ってるんだよ?」
そうは言うものの幸村は困ったように笑っており、ようやく部室内のメンバーは息を吐き出しほっとして。
「でも、お仕置きは必要だね。二度とそんなことを言わないように」
「うん!」
お仕置きの内容なんて軽くお説教くらいだろうと考えていた私は「外にいるね」と残し部室を出て次の会話など知るはずもなく。
「幸村よ、ほどほどにするんじゃぞ」
「どの口が言ってるのかな?」
全員が軽く死を覚悟した瞬間であった。
2026/03/01