テニスの王子様
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「ねえ、どうやって幸村くんと仲良くなったの?」
これはここ最近よく聞かれることだ。だがどうやって仲良くなったと問われても私だってわからない。いつの間にか話すようになり、いつのまにか仲良くなっていたのだから。友達のでき方はそんなもんでしょ。いつからなんて関係ないよ。だが、だとしたら私だっていつから仲良くなったか知りたい。
別に同じ委員会でもないし部活だって関係ないしクラスだって違うし話す機会なんて皆無であろうが、そうか、多分あれしかない。
図書館で勉強していたらいつの間にか数学を教わっていたことだろう。
小テスト前にテキスト広げて唸っていたらいつのまにかいた幸村が公式を教えてくれて
「小テスト赤点は免れたありがとう~!」
とお返しをあげたことだと思う。多分接点はそれ。
それからすれ違えば挨拶をくれたり屋上庭園で水やりをしていたら同じことをしようとしていたり、クラスは違えど いつのまにか合えば雑談をしたり。
テニス部に遊び(見学)に行ったりして幸村くんのチームメイトと話すようになって仲良くなったんだと思う。
そのせいか幸村と接点を持ちたいという女子から今のように幸村に紹介してほしいと言われるようになって。けれど そんなことをする義理もないし、そもそもそんな子たちは友人でも無い他人だし。
他人の私に声をかけるなら直接本人に声をかければいいと思う。そう言ったらデコピンされたけど、だってそうじゃない?違うの?
首を傾げ疑問に思いつつ今の友人の言葉に考え込むが
「重影さん、幸村くんが呼んでるよ」
と声をかけられ教室の出入り口を見るとこちらを見て手を振ってきている幸村と目が合い彼の手を見て思い出す。
今日は幸村に誘われて一緒に屋上でご飯をするのだった。
早朝寝ぼけているところに来てたメールを忘れていた。多分彼が来なければ行かなかったと思う。よかった。
「ごめん、今日は幸村と約束があるから」
そう友達に断りをいれて席を立ち、お弁当を持って幸村のところまで行けば「忘れてたでしょ」なんて笑われてしまい、申し訳なさいっぱいに笑いかけると頭を撫でられた。
年も一緒なのに子供扱いのようなものはやめてくれないだろうか。だが心から嫌だと思う気持ちがないため何とも言えない。
優越感とも違う、味わったことのない感情。その答えはすぐに得られるのだが。
「おー!咲いた!やった!綺麗に咲いてくれた!!」
「一生懸命お世話をしたからね、綺麗だ」
屋上庭園の草花は芽吹き花を咲かせ、ここまで綺麗に咲かせるまでの苦労が報われると嬉しくて幸村を見つめてしまう。
「幸村が色々教えてくれたからだよ。ありがとう」
「一生懸命お世話をした碧井ちゃんのおかげだよ、どういたしまして」
咲いた花を愛おし気に見て笑う幸村に私も笑顔になってしまう。
そのまま花壇を見ながらお弁当を広げ2人で並んで座っていると人の声がして視線を向ければ真田くんや柳くんの姿が見え、ご飯を口にしながら「んー!」と手を振ると、真田くんも柳くんも手を振り返してくれた。
が仁王くんと丸井くんが「あー……」と声を漏らした。
「こんにちはー!」
「ああ、こんにちは」
「幸村がいたんか……お邪魔じゃのう。違う場所に行かんか?」
「みんな、いいよ。一緒に食べよう」
幸村のその一言に全員が頬を引き吊らせつつ集まってきて私はおにぎりを頬張った。美味しい。
「ほうあ!ほはははいはお!」
「そうだ、お花咲いたの」とおむすびが口の中にあるままにジェスチャーで報せるとみんな花壇を見て「おお」と頷いてくれた。
「2人の愛の結晶じゃの」
「へえ、こんな花咲くんだ」
仁王くんのセリフは聞かなかったことにして、丸井くんの言葉に同調すれば幸村が「ちゃんと飲んでから話しなよ」なんて苦笑している。
お行儀悪くてすいません。
「うん、でも俺と碧井ちゃんの愛の結晶だよ」
「んっっ……!」
幸村のセリフに軽く噎せてしまい何言ってんのと見上げれば花に向けるよりも優しい笑顔が私を捉えてており何だかドキドキとしつつそっと顔をそらすと笑われて。
「これだけ証人がいるんだし、今のうちに言っておこうかな」
「何を……?」
この5秒後に、私はとんでもないことを囁くように言われてしまった。
2025/10/11