テニスの王子様
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「……え、いや、今なんて……」
「だから、誕生日プレゼントは俺だよ」
私の誕生日より1ヶ月前に付き合い始めた幸村という男の言葉と首にリボンを巻いている様子を見て頭を抱えたくなった。
通りで幸村の友人の柳が楽しそうにしていたわけだ。
これって普通なら私がやるべきことなのだろうが、残念なことにするつもりはないし「プレゼントは俺」なんて言われると実際問題困るものである。どうしろってのよ。
誰もいない幸村の家でニコニコ両手を広げている神の子に頭痛を覚えつつ何が正解なのかを考えてしまう。
リボンをほどいてキスでもすればいいのだろうか。
「俺がプレゼントは嫌だった?」
一瞬でシュンとした幸村に私は慌てて首を横に振り首元に巻いてある赤いリボンに手を伸ばしそっとほどいた。
しゅるりと簡単に解けたリボンはパサリと落ち、悩んで、悩んで、悩んでから幸村の唇にそっと口づけた。
「ふふ……喜んでくれた?」
「嬉しいけど……どうしろってのよ」
さっきまで抱いていた気持ちをポロリとこぼせば幸村は「え?」と首を傾げ目の前の私の腰に手を回しぎゅうと抱きついてきてスリと頬を寄せてきた。
「どうしようも何も、碧井の好きにしていいよ。だって俺はもう碧井のモノだからね」
返却したらどうなるのか。怖いからできないしこれはこれでまあ普通に嬉しいのだけれど、
「幸村をどうしろって……」
「だから、好きにしていいよ」
「……え、あ…、もしかして …」
さーっと顔を青くし幸村の言わんことを理解した私だが、もう返却はできないし気づいてしまったことに気づかれてしまい彼の微笑みが私を追い立ててくる。というかそういうことは未経験なため余計どうしろって話だし、これを予想して私を家に招いたのだとしたらもう頭が痛い。
幸村の膝の上に引き寄せられている私はとりあえず抱きつき返しながら必死で回避方法を探してしまい、そんな私に気づいているのか幸村の手が 腰から背中に回りすっと背筋を撫で首元に唇で吸い付いてきた。
ちゅっ、とほんの少し吸われ離れていった幸村に何をされたのか聞く必要もないし聞くだけ無駄な気がする。勘弁してくれ。
「俺のこといらない?」
「そんなこと……!」
無い、とも言い切れない。
本当なら嬉しい。すごく嬉しいのだけれど、彼の言わんとすることだと私から求めろってことだろうし、付き合い始めてキスをするまで2週間かかっていて、1ヶ月目でそれ以上私から求めるとは無理難題ではないだろうか。
幸村に入れ知恵したであろう柳か仁王は後日シメル。
「ねえ、何もしないの?このままで終わり?」
クスクス笑いながら首を傾げる幸村にまたしても深い頭痛を覚えながら目の前の優しい 眼差しにクラクラしてしまう。今更だけど本当に付き合ってていいのかな。
プレゼントは俺、っていうくらいだからかなり好かれていることはわかるのだけれど。
背を撫でてくるそれにドキドキとしつつ「目を」閉じて、と呟くと口元を緩ませて「うん」と頷き目を閉じてくれた。
もうこうなったら「そう」しよう。それが一番手っ取り早いと私は目を閉じて微笑んでいる幸村の唇に触れようとして
「ジリリリリリリ!!」
という音にパッと目を覚ました。
「……夢……?」
鳴り響くアラームを聞きつつ バクバク騒ぐ心臓にほっとして体を起こしアラームを止めて伸びをする。
良かった。本当に良かった。そもそも私誕生日までまだあるし、そもそも幸村とは付き合ってない。夢ってすごい。
好きか嫌いか問われたら好きに全振りだし、夢だからって付き合って1か月の設定にも笑ってしまう。そもそも幸村が私のことを好きなはずがない。仲のいい友達という位置付けの、はず。
最近やたらと距離が近い気がするけど仲良くなった証拠だって思う。でないとやってらんない。
「あー……起きた。起きましたよ」
付き合ってないし、キスだって当然したことないし、友達だし。
でもキスの感触は生々しかったけど、着替え登校した私は 放課後、幸村に誰もいない教室に呼び止められ
「話があるんだ、碧井ちゃん」
と。
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