呪術
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仕事先のクライアントと飲んでからの帰りにコンビニで液キャベと水と梅酒を買い飲んでいれば
「あれ?お姉さん?」
なんて声をかけられ、トロンとした目で顔を声の方へと向ければそこにいたのはつい先日ドドメキから助けてくれたゆーじ君で。
「ゆーじ少年、バイト?」
と笑って問いかければゆーじ君はちょっと困ったように笑い私を見下ろしてきた。
「お姉さん、また飲み?」
「そ!クライアントと打ち上げー!」
「そういえば名刺にデザイナーチーフって書いてあったけど、もしかしてお姉さん偉い?」
「そこそこ」
「かっけー!バリキャじゃん!」
いいねもっと褒め称えろと言いながら梅酒を傾けようとしたらその手を掴まれ「飲むなら」と。
「家で飲んで欲しいな、俺」
「何で」
「また呪いに襲われるかもしれねえじゃん」
「呪い?」
オウム返しにゆーじ君は顔にしまったっという文字を浮かべ「今の無し?」と言ってから私の手に水を持たせ梅酒はゆーじ君に隣に遠ざけられてしまった。
まあ別にいいだろう、家にあるし。
「、にしてもだ、ゆーじ君」
「ん?」
「こんな時間までバイトって、高校生には良くないよー!10時までには帰らなきゃバイト先の会社があかんやつ!」
「いや、俺のバイト特殊だから大丈夫」
「そんなことある?」
あるあるとゆーじ君は頷いてからスマホを取り出し少し眺めた後「あー」と息を吐き出して私の手首を掴んできた。
「俺迎え来たから」
「おう!帰り、気をつけて!」
「お姉さんも送るよ」
私は大丈夫だよと言ってもゆーじ君は私のことを立たせてきて引っ張られてしまう。
「私タクシー呼んでない」
「俺を迎えに来てくれた人が送ってくれるから大丈夫」
「うわーだめだめ!社会人としてそれはダメだよ」
「酔っ払いのお姉さんを置いとけねえよ」
「ウグッ……否定はできねえ……」
だから、な?と言ったゆーじ君に私は息を吐き出すとゆーじ君に手首を掴まれたまま肩を並べ歩き出す。そして公園を抜ければ黒塗りの乗用車がそこに停まっていて、ゆーじ君に
「この人、伊地知さん」
と紹介され互いに頭を下げるとそちらはもうすんなりと自宅マンションまで送られてしまった。その頃には酔いはもうすっかり冷めており、マンション前で下ろしてもらうと深々と頭を下げ
「伊地知さん、申し訳ありません、ありがとうございました。」
ゆーじ君もお休み、と言えばゆーじ君はパッと笑って手を振ってくれ、去る車を見ながら私は帰宅した。
すぐ、ゆーじ君がメールが来て「酔ってないとしっかりしてるね!」との内容に私は心を抉られた。