呪術
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私は今、一体何を見ているのだろうか、よくわからない。
時は30分前に遡る。
曜日は金曜日で、仕事も定時に上がれ先輩に捕まることなく同期と飲みに繰り出し程よく出来上がった私たちは駅で別れ千鳥足で深夜の公園に入りついさっきコンビニで買った水と液キャベを交互に飲み つつ酒くさい息を吐き出した。
夜風が冷たく、アルコールによって蒸気した頬に気持ちよく当たり、もう一度大きく深呼吸したところで目の前に変な生き物が現れた。
アメーバのような体で大量の目がつき腕が生えて蠢いている。ドドメキという妖怪が存在したらこんな感じではないだろうか。
それほど恐怖を覚えなかったのは一重に酔っていたからだ。
ボケッとベンチに座ってドドメキを見下ろしていればそいつは私に近寄ってきて、そして
「あっぶ、ねー!!」
なんて声と共に随分と逞しい腕に抱き上げられ空を舞い、ベンチとドドメキから離れたところに降ろされた。
「おねーさん大丈夫!?」
「へ?」
そう問いかけてきたのはピンクっぽいオレンジの髪の男の子で、いまいち状況に追いつけていけない私に眉を落として顔を覗き込まれ、私は液キャベを握りしめつつ親指を立てた。
「おす!」
「そっか!よかった!ここにいて!絶対動かないで!」
そう念を押されてから少年は ドドメキに駆け寄り殴りつけている。その度にグジュグジュと言いながらドドメキはどんどん縮んで行き、今に至る。
「少年すごーい!頑張れー!」
なんてプロレスの観戦をしている気分でいれば少年との戦いは決した。少年の勝利だ。
ドドメキはボロボロと消えていき、少年は草むらに座り込んでいる酔っ払いの私に駆け寄ってきてもう一度「大丈夫?」 と瞳をクルリと回し私は笑って少年の肩をポンポンと叩く。
「少年強いじゃーん!すごーい!」
なんて笑っていれば少年は少し呆れたようだけれど安心したように「良かった」と言われたので私はヘラヘラと笑いながら鞄からアメちゃんを差し出して「食べる?」あげると手を出した。
「お姉さん窓?」
「窓?私、家具?」
「さっきのアレ見えてたよね?」
「ドドメキ?」
何それと言った少年にカルチャーショックを覚えながら立たせてもらい「絶対に」家まで送ると言い張る少年に「タクシーを呼ぶから」といえば「それじゃあタクシーが来るまで一緒にいる」と譲らない少年にそれじゃあ仕方ないかと笑いベンチに腰を下ろした。
少年はアメちゃんを食べながら自己紹介をしてくれて、私もそれに名乗り返す。ついでに名刺も渡しておいた。
「ゆーじ君こんな時間に何してたの?バイト?」
「あー、そんなところ。お姉さんは?」
「私?明日休みだから同期と飲んでたの~!あはは!」
そっかぁ~と言いながらゆーじ君は足を投げ出し頭の後ろで手を組み、ほどなくして公園入口にタクシーが来たので ゆーじ君の手を引いて立ち上がった。
「ゆーじ君送ってあげる」
「え!?いや、大丈夫!俺、迎え来てるし」
「えー、だったら先に帰ればいいのに」
「お姉さん1人は危ないっしょ」
「うわー!ゆーじ君モテるわぁ~」
「マジ?!」
「マジマジのマジ」
そういえばゆーじ君は嬉しそうに笑い私の姿を見送ったところでゆーじ君は帰宅した。
そうメールが届いたが私は部屋で潰れていたので気づかなかった。頭いってえ~!