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皆さんは某コナンという名の漫画をご存知だろうか。
まあ知らぬ人はほぼおらぬであろう大大大作品でありつい最近では100巻も軽く超えた作品でもあるから知らない人はググってみてくれ、面白いから。
そして私はそんな漫画の中の冷徹非道な『黒の組織』と言われる中の幹部クラスの男、ジンという男が、それはもう好きなのだ。
冷徹非道っぷりのその性格も、顔も、アニメの声も、全て好きなのだ。好きで好きでたまらないのだ。
よく友人には「本当にクズが好きだね」と笑われているけれどいいではないか。というかクズじゃない。ただ人をゴミのように扱っているだけでクズじゃない。許さん。
そうして私は仕事を終えた夜道を歩き、いつもショートカットで使う裏道に入った瞬間 、何かと、いや誰かと思いっきりぶつかりその場に尻餅をついてしまった。その際持っていたカバンも落とし中身が散らばってしまい「いったぁ……」ともれた言葉。そして黒いコートの裾が目に入り 顔を上げたが暗くて顔は分からない、と言いたいところだがぶつかった相手はポケットに手を突っ込んだままこっちを見下ろしていて、私はその姿に目を見開き口を開けぽかんと見上げてしまった。そしてみるみる顔に熱が集まっていくのを感じてしまう。
だって、あれ、嘘でしょ、だって、今ぶつかった人、
「大丈夫ですかぃ、兄貴」
長い銀髪と黒い帽子をかぶり、前髪の隙間から伺える緑色の鋭い目はそうまさに
『ジン』
そう、まさにジンそっくりなのだ。
「大丈夫か」とも「邪魔だ」とも言われず見下ろされている私は呆けたように兄貴と呼ばれたジンそっくりなお兄さんに「コスプレか!?」にしてはクオリティたっっか!なんて思考が回り兄貴を見上げたまま尻餅をついている私に兄貴は眉を寄せてきた。ヒエッ…かっこいい……。
果てしなく消失した語彙にどうすることもできず眉を寄せた兄貴を見上げ必死で言葉を探しても口から出てくるのは
「あ」とか「う」という声だけで、兄貴はその膝をつき私に顔を寄せてきた。
「……グゥ……!」
かっこいいし何か甘いタバコの香りがするし白い肌はトゥルトゥルだし
「名前は何だ?答えろ」
「ヒッ……!」
声もジンにそっくりだよおおおお!!無理いいいい!!!何か言わねば、答えねば。
言えること。私が言えること。名前?そんなもんどうでもいい。何か、何か
あまりなことに硬直していれば兄貴は私の顎を捉え目を細めてきて
「答えろ、2度は言わねえ」
「……す……っっ」
「す?」
「好きです!!」
「はあ?」
思わず口走った言葉に声をあげたのはジンそっくりな人を「兄貴」と呼んだガタイのいい男で、兄貴を見るばかりで認識しなかった私はそちらを見て「うわっ」と声を出してしまった。
ウォッカそっくりじゃねえか!
「テメエ、俺を好きだとぬかしたな?」
「そんなこと言いました?!」
兄貴は至近距離で私のことを見つめてくると顎を捉えていた手を首に回してきて掴まれる。
首でも絞められるのだろうか、大歓迎だ。推しに殺されるなんて最高of最高だな。ただのそっくりさんだろうけど、どこかでコスプレパーティーでもあるのだろうか。オンリーでもあるのか?個人主催のイベント?まあいいが、
「兄貴さんのお名前をお伺いしても……?」
「ジンだ」
「いや、そこまで忠実にしないでください」
「……てめえは何を言ってるんだ」
相変わらず掴まれていたがそれ手は私の首から放され何とも言えない表情で見下ろされてしまうと私にはなすすべもなく、慌てて荷物を拾い上げ鞄にしまい込むと2人に勢いよく頭を下げ
「失礼しました!!」
と叫ぶようにその場を後にした。それが物語の始まりだなって気づくはずもなく、一目散に走ってその場から逃げ去った。
2025/04/24