黄泉違い(全13話)
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中途採用の私は、私より半年前に採用された新人さんとの距離のはかりかたに困っていたのだが皆さんとても優しく、半年でも後輩に当たるのでパシられそうになるがさりげなくお香さんが助けてくれて。けれどそうすると見下す新人さん現れたりするわけで。特に鬼灯様と仲が良い(?)私に嫉妬する輩も現れるわけで。
因みに椿さんも中途採用からの80年目のベテランだったらしく色々と良くしてくれたから仲が良くなった要因でもあるのだが。
私が経験していることは椿さんもある程度経験していることらしく軽く対応もしてくれる。
私、良い環境に恵まれているなぁ。
そうして仕事をしていたら休憩時間に椿さんと話をしていたら半年先輩の女獄卒3人組が「今日、仕事が上がったら飲みに行くのだけれど」と。
「新社員だけでの飲みに来てくれない?」
と誘われたのでどうしようかと悩んでいれば椿さんが然り気無く
「新しい子だけ?私も久しぶりに飲みに行きたいわ」
と笑いかけており、3人組はモゴモゴと言いながら
「その、新入社員だけで話したいこともあるし」
と呟き私は嫌な予感しかしない。
行っても行かなくても私には害にしかならないような嫌な予感。
それでも付き合わなければいけないだろうし椿さんやお香さん以外の鬼とも仲を深めるべきだろうと椿さんと3人組に笑いかけ
「お酒あまり強くありませんが」
「あ!来てくれる?」
「はい、喜んで」
じゃあ時間と場所はまた後で教えるから、そう3人組は手を振りながら去っていき、椿さんに横から「1人で大丈夫?」と問われてしまった。
「まあ大丈夫でしょ、知らんけど」
適当に相手しておきますとまで言えば椿さんは「そう?」と心配気に眉を寄せてきたが、そのあと仕事を上がり教えてもらった飲み会の会場に行けば
「鬼灯様?」
が、いたのである。
「お疲れ様ですレンさん」
「あ、お疲れ様です」
そう鬼灯様と頭を下げあい、下足を脱いで座敷に上がり私を誘った3人組や他部署の新入社員やお香さんに椿さんもいる。どうしたことか。
ハテナ?と首をかしげる私に鬼灯様は冷酒を傾けながら座るように促してきて、なぜ今 ここにいるのかの経緯を説明してくれた。
「いくら新卒だけで仲を深めようとも上司のいない場所で下手な失態をやらかされたら困ります。ついで、誘われましたので」
ということらしい。
なるほどと頷いてから奥にいる半年先輩社員さんに声をかけ飲み会が始まったのだがしかし、私は忘れていた。
ここが地獄で、相手が鬼だったことを。
最強にザル(程々でも中々)やワク、そして鬼が飲む“鬼用の酒”が私のことを転がしてきた。
女子社員だけでなく男性社員のいる中でそこそこに盛り上がっていたのだが、閻魔殺しという地獄酒を2杯飲んだ所で私は酔い潰れてしまった。
少々辛口だったのが余計に酔わせてきていたため一口でグエッとなったのだが後味がよく一息に一杯飲み干したのもよくなかったのかもしれない。
「レンさん、レンさん、大丈夫ですか?」
「…ん……ぅん?」
「お水、飲んでください」
座敷の奥で飲んでいたのは覚えているが気が付いたら鬼灯様の横で鬼灯様の肩にもたれ酔っ払っていたようなのだが、ちょっと、分からない。
揺れる世界で周囲を見渡してから手に冷たいグラスを持たされて反射的に握りしめてきてしまう。しかしボンヤリとした意識の中で鬼灯様の肩にもたれかかっていれば
「レンちゃん」
と名を呼ばれ落ちそうな目蓋を持ち上げれば椿さんが私の顔を覗き込んでいた。
「大丈夫?」
「ん」
と頷いても私は冷や水を飲むこともなく目を閉ざし鬼灯様の温もりに身を寄せて、ハッキリと目を覚ました私は椿さんと一緒の布団で寝ていたようで朝イチに
「うわーーー!?」
と声を上げるとその場に土下座してしまった。何も覚えていません、ごめんなさい!と。
酔っ払いのなすこととは。