死んで魂がさ迷っちゃった
鬼神の執着(全31話)
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その日、レンさんが泣き止み落ち着くまで抱きしめ続けていたら涙でボロボロの顔を上げそしてその額には大きな傷ができ血が滲んでいた。
すぐその額を治療しつつレンさんの心を傷つけた破裂音の元と傷つけた亡者に怒りの矛先を向けまた、抱きしめてしまう。
しかし恋人がこんな状態でもやはり長く仕事を放るわけにもいかず、涙を拭ってあげてから頭を撫で、ガーゼの上から額に唇を寄せ顔を覗きこむと真っ赤に腫れた目で見つめられてしまうと動けない。
恋とは本当に難しい。
涙を流している理由が己を想ってのことでなく、傷をつけたのが己でないことに嫉妬を覚え、愛しすぎる存在と考えてしまうあたりかなり頭をやられている。
「レンさん、1人でいられますか?」
今日はもう仕事に戻す気などない。ここなら本の少しでも仕事を抜け様子を見に来ることができる。
一人でいられるかなんて聞きつつ、1人にさせることは憚かられてしまうがレンさんはぎゅうと抱きついてから小さく頷いてくれた。震えは先ほどよりも 落ち着いてきたし泣いてもいないが、でも今の問いかけに頷かれてしまうのもなんだか胸の中がムカムカしてくる。黒い渦が回っている。
それを何とか押し込め閉じ込めてからまた額にキスをしてベッドに座らせ直し
「もし何かあったら」
すぐ電話をしてくださいと言い含めるとぼんやりとしながらレンさんは小さく頷いてくれて、頷いてほしくない 私がいる。レンさんは悪くない。
「布団に入っててもいいですか」
「どうぞ、待っていてください。電話はいつでも、すぐに」
「はい」
そしてレンさんは下駄を脱ぐと私のベッドの布団の中に丸まって枕を抱きしめているのにムラッとしたものを感じ、これ以上ここにいると私の理性が無くなる気がして後ろ髪を引かれるが最後にもう一度念押しをして部屋を後にした。
「鬼灯君、レンちゃん大丈夫?」
「いいえ」
苛立ちをぶつけるように言い放ち、もう一度衆合地獄に向かってから大きな音と甲高い悲鳴を上げた亡者とレンさんに傷をつけた亡者を力の限りボコボコにし「殺して」から閻までに戻ってきて仕事を始める。
が、レンさんの泣き顔と真っ赤に腫らした瞳を思い出してしまい、八つ当たりで亡者の判決を厳しくしてしまいそうになりつつどうにか定時で終わらせ巻物などの資料を普段の何倍ものスピードで処理し動き、珍しくそれに大王まで手を出してくれて。
「後はやっておきますから」
巻物を資料室に戻すだけならできますと胡瓜さんと茄子さんが手をあげてくれて必死で頭を回らせながらも体は先に動いてしまい小さく頭を下げていた。
「私情で申し訳ありませんがよろしくお願いします」
と。
そしてすぐ廊下を抜け自室に戻るとレンさんがベッドの上で枕を抱いたまま先ほどのままで布団の中で待っておりドアの開閉音で小さく布団が揺れ、レンさんがそっと顔をのぞかせた。
「レンさん」
「ほ、ずきさま」
そんな掠れた声に電気もつけずベッドまで行きゆっくりと 起き上がった身体を引き寄せ抱きしめた。
「ごめん、なさい……」
「何がですか」
「め、わく、かけました」
腕の中でまた涙を流しそれを指先で拭ってあげるとすり寄るように身を寄せてきて、いつもこれくらい距離を詰めてくれても良いと言うのにと思いつつけれど、そうしたら自身の心が持つかどうか。おそらく持たないだろう、なのでこれくらいがちょうどいいのでは、と。でも普段ももう少し甘えてくれても……いや、ダメだ。理性や衝動を抑え込める気にもならない。
今でさえ私のことだけ思い続けてくれないと許せないし、あの亡者共は明日またボコボコに呵責するとして。
「食事は摂れますか?何か作りましょうか?」
「も、少し、ここにいたいです」
そんなことを私の部屋で、私のベッドの上で、私の腕の中で。私を試しているのだろうか。けれど
「分かりました。私もいますから大丈夫ですよ」
こんなところで大きな音を出る者なんているわけがないので安全ですよ、という意味で背中を撫でると本の少しだけ背中に手を回して抱きついてくれて。
……やはりあの亡者共はしばらく私が直接呵責しよう。
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