黄泉違い(全13話)
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地獄の獄卒、衆合地獄に勤めてからしばらく、上司のお香さんを介して鬼灯様に呼ばれた私は休憩時間に鬼灯様に電話をいれた。そうすれば3コールもせず出てくれて、暇だった訳でもない無いだろうがもしかしたらたまたま携帯を見ていただけだろうか、まあいいだろう。
「鬼灯様、お疲れ様です。お時間よろしいでしょうか?」
『はい、大丈夫です。レンさんは休憩中でしょうか、失礼致します』
「いえいえ、こちらこそ」
そうしてすぐお香さんの伝言で鬼灯様に呼ばれたのでどのような御用でしょうかと問いかければ
「お願いごとがありまして」
、仕事から上がったら閻魔殿まで来ていただけませんか、と。
なので「はい」と頷きシフト上がったら伺います、それでは、と互いに電話越しに頭を下げ通話を終えた。それを調度お香さんが見ていたようでニコニコしながら近づいてきた。
「鬼灯様からどのようなご用件かしら?急ぎ?」
「大丈夫みたいです。シフト上がったら閻魔殿に来てくれと」
「そう?」
今日は獄卒が多いから少しなら抜けても大丈夫よと笑顔をくれたお香さんに手と首を振り
「万年人手不足でしょう」
と伝えればお香さんは「ふふ」と笑い「そうね」と言ってきて。
ちょっと遊ばれたのだろうかと思いつつ休憩から上がり、仲良くなった先輩女獄卒の椿さんと話してから亡者の呵責を行うことにした。
美人が必要な中で私は大して美人でもないと思うが私なりに仕事着を崩し亡者を誘い、男獄卒ではなく私が亡者をフルボッコにする。
これがまた中々に気持ちが良いものでして。
私が鬼灯の世界に来さえしなければ“私の世界”のあの世ではきっと地獄堕ちだったろうな。運が良いのか悪いのか。
まあそれは置いといて、一番軽い拷問用具で亡者をボコボコにし、また椿さんと誘いあっていれば上がりの時間はあっという間。
打刻を済ませてから夕食に誘ってくれた椿さんに小用があるためお先に失礼と閻魔殿に向かった。まあ、椿さんも閻魔殿の食堂に行くため別れたのは大王様の間の前だったのだが。
「鬼灯様、お待たせしました」
そう言って駆け寄れば閻魔大王も仕事が終わったようで鬼灯様は巻物を荷車にしまっており、私を見ると軽く頭を下げ
「お疲れ様です」
と言ってくれた。
「鬼灯様もお疲れ様です。早速に、私に御用時とは?」
「はい、そのことなのですが」
そう言ってから鬼灯様は視線をそらし別方向を見たため私もそれにつられるように鬼灯様の視線の先を見れば座敷わらしちゃんが女性ファッション雑誌を広げており大きな黒い瞳を私に向けてきた。
察した。
「童子ちゃん、現世の洋服が欲しい、ということでしょうか」
別の現世にいたわけだが私はつい最近まで一番現代に近い時空を生きていたため子供服もきっと分かるだろうし、私は“こちらの現世”にいないため現世に行っても問題無いだろう、ということだろう。
鬼灯様は小さく頷いて、童子ちゃんが雑誌を持ったまま私の腰にまとわりついてきた。わちゃわちゃと可愛い。
「こういうの」
「こういう可愛いの欲しい」
そう訴えてきて、鬼灯様が私を見ると「明後日」現世に視察に行くので是非同行してください、とお願いされてしまった。
私は構わないがシフト上では出勤のためどうするのかを、調度きたお香さんに声をかけようとすればそれより先に鬼灯様がお香さんに声をかけている。
これこれしかじかと手短に説明した鬼灯様にお香さんは笑って
「問題無いわ」
と微笑んでくれて、2日後、私が“こちらの地獄”に来た時と同じ格好になると鬼灯様と共に現世へと向かった。
鬼灯の世界の現世に向かい、鬼灯様と子供服コーナーに行き(ほぼ私の好みで)童子ちゃんたちに合いそうな服を見繕っていれば、遠くから微笑ましくこちらを見ていたママさんたちがいたことには、私は気付かなかった。
お子さんの服かしら?お似合いね。