ピエロのワルツ(全33話)
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イトリちゃんが(ウタ君に)追い出されたから少し、ウタ君の機嫌があまり良くなかったのだが抱き締め返しつつコーヒーのおかわりは?と言えば
「飲む」
と食い気味に来たため残りのコーヒーを注ぐとテーブル前に座った。正確にはウタ君の膝の上に。
私を抱きしめてコーヒーを飲むウタ君を気にしつつもさっきイトリちゃんが言っていた雑誌の気になっていた服のページを開くとウタ君はコップをテーブルに置き私の腰に手を回し肩に顎を乗せてきた。
そんなバックハグをされながらなんとはなしに
「どの色がいいかな」
と呟けばウタ君は少し考えると指でトンとさせたのはイトリちゃんと同意見らしい。
二の腕と首元に透け感のあるレース素材のふんわりとしたいわゆる女の子~なそれ。
仕事着に指定はないし、こんな服装で出社している社員もいるからいっちょ買ったるかとしていればウタ君が不意に「ねえ」と囁いてきて肩が跳ねてしまう。驚かさないでください!びっくりした!
「何?」
と問い返せばウタ君は少し黙ってから
「いつアンテイクに行ったの?」
と具体的な 日時を求めてきて、私は待って、と断ってから鞄を引き寄せ手帳を開いた。そこに書かれている内容を見られたところ特に不具合は無いのでページをめくりペンで示した。
「この日、残業で20区に行って書類の内容を確認してもらってる間に」
「一人?」
「え?うん、一人で。支店から徒歩10分くらいだったかな」
「マスターと話した?蓮示君いた?」
「マスターとは話したよ。コーヒーの淹れ方とか。蓮示君?とか言う子は知らないけど……どんな子?」
「知りたいの?」
「うーん……どっちでも?」
今日はやけにグイグイ来るなと思っていればウタ君の手に力が入りぺっとりとひっついてくると耳元で囁いてきたのは「嫉妬しちゃうな」という可愛い事。
でもコーヒーの淹れ方を教わって少し話しただけに嫉妬されると仕事中に話すこともある同僚にも嫉妬されてしまいそうだ。
嫌な予感しかしないから黙っておこう。
そんな私の心を知ってか知らずかウタ君はまた「ふうん」と呟き少し黙ると蓮示君について教えてくれた。
何でもウタ君とイトリちゃんと同年代でアッシュシルバーの髪、白い服とゆるいジーパン。あ見たことあるかも。
アンテイクでコーヒー豆を奥から持って来てくれた子。多分、その蓮示君だ多分、ちょっと、曖昧だけど。
「アンテイクにいる?」
「うん、裏方の仕事してる」
「裏方?」
サッと、グールが人を襲っている、ウタ君やイトリちゃんや蓮示君とやらが人間を襲っているところを想像してしまい黙り込んでしまえば、ウタ君はぎゅうと抱きしめる力を強くして
「柚木さんはちゃんと守るよ」
と言ってくれた。
ウタ君は与え上手だな。4つも年下なのによくできた子だと思ってしまい軽く振り返るとウタ君の目を覗き込んで口端にキスをした。そうすればウタ君は驚いたように目を見開ききょとんとして固まってしまい、ウタ君って私からの不意打ちに弱いよなぁと笑ってしまう。
もう一度口を寄せればウタ君の手が緩みクルリと体の向きを変えられてしまう。
腰を引き寄せられ正面向いてウタ君の足に跨がって座っている私に、また顔を寄せてきてバードキスを送ってくる。
それを受け止めつつ、ペロリと出た舌に口を開こうとすれば私の携帯が着信を奏でた。
「ふふ……」
と思わず笑ってしまいウタ君の舌をペロリと舐めると鞄に手を伸ばし引き寄せる。
着信音が途切れないので電話だ。仕事じゃありませんようにと願って携帯を開けば相手は友人からであり、擦り寄るウタ君から少しだけ体を離すと通話ボタン押そうとしてウタ君に阻まれた。
ヒョイと取り上げられた携帯の電源ボタンを押し通話を切るとまたぎゅうと抱きしめられてしまい
「今は僕を見てよ」
という言葉に顔をおおってしまった。
可愛すぎかよ!
そんな私の行動にウタ君は不思議そうにしていたので抱きしめ返し口づけを送ると2度目の着信は許してくれた。
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