ピエロのワルツ(全33話)
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ウタ君とのデートの後、自宅に戻ると、ウタ君がまた出かけてしまい「気をつけてね」何をしに行くのか分からないけどと心の中でつぶやいて見送り玄関に鍵とチェーンをかけた。
夕方の6時を少し回る前で洗濯物を中に入れ帰宅ついでに一週間ぶんの食料を買う私を見ていたウタ君に笑ってしまったことがある。
「……全部すっごい味するんだよね」
の一言に。
「え、ウタ君達、その……通常知識でだけど、人以外は無理ってマジのマなの?」
「マジのマだよ。あとはコーヒーくらい」
「コーヒー?」
ウタ君はうんと頷いて周囲に人がいないのを確認すると私の耳元で、グールは人以外のものから栄養を摂取できないんだよと囁かれたのでグールって大変だなあという感想を持ちながらカートを押して歩く。
「コーヒーでも味は一種しか分からないとかある?」
「コーヒーなら美味しい美味しくないはあるけど、何で?」
そう首をかしげたウタ君に私はコーヒー豆を手に取りながら「そっかー」とつぶやいて考えこんでしまう。
そんな私の手を引いたウタ君の顔を見ると
「ウタ君が来た時用に美味しいコーヒーくらい出したいじゃん」
「……」
何度かウタ君が私の家に来た時に出した飲み物をあんまり飲んでなかったからそういう理由だったんだねと呟き
「ごめんね?」
と眉を下げてしまえばウタ君は私の腰を引き寄せると店内だというのに口付けてきて私は
「ステイ!」
と距離をとる。
「ここカメラある、怪しい行動ダメ、絶対!」
「柚木さんが可愛いこと言うのがいけないよ」
そんなこと言った記憶はないが手は腰に回ったままでそれでもキスはやめてくれたらしく一安心。
後はアレとコレとと考えながらカートに食品を入れていればウタ君がコーヒー豆を片手にしており
「それ美味しいの?」
と尋ねてしまう。
「美味しいよ。そうだ、今度おすすめの喫茶店連れて行こうか?僕の“友達”もたまに行くんだ」
「へえ、じゃあ今度デートする時に行こうか。美味しいコーヒー飲みたい」
「うん」
そして顔を見合わせて笑ってしまいウタ君の手の中のコーヒー豆をカゴに入れれば「自分で買えるよ」と言っていたが会計を別にするの面倒だしもしかしたら私も飲むことになるかもしれないからその時に、と会計は一緒にした。
アパート近くのスーパーであるがなかなかの量になってしまいウタ君が袋二つのうち一つを持って私と手と手を繋ぎ歩いて行く。
帰宅して冒頭に戻り、買ったものをしまっていれば日は完全に落ちカーテンを閉めると電気をつけて布団に倒れ込んでしまう。
長い一日だったな。
朝は仕事、昼前に2度抱かれ、昼食を済ませた後ウタ君の友達と会ってちょっと街を歩いてスーパーで買い物をして帰宅。そりゃ疲れるわ。でも嫌な疲れではない。そして日曜月曜は休みなのでめちゃくちゃゆっくりできる。最高かよ。
今朝仕事を振ってきた社長と会社にちょっとだけ手を合わせて拝み服を着替えることにした。
着替えながら明日はコーヒーメーカーでも買いに行くかと明日の予定を立て部屋着になる。
今日ウタ君に「似合う。絶対似合う」とごり押しされて買ってくれた部屋着。手触りはとてもよく暑くもなく寒くもない季節にはちょうどいいと思われる、まあパジャマだ。色はオフピンク。
男の子って女の子にピンク系を来て欲しいって雑誌に書いてあったけど、本当なんだなと思ってしまったが。
それでもきちんと恋人になってからの初めてプレゼントに気分は上がっておりテレビをつければニュースの時間。
グールが襲ったと思われる惨殺死体が発見された、と。
「ウタ君も食べるんだろうなぁ」
ポツリと呟いてしまうがまあ通報しない時点で私もほぼ同罪のため、そしてあまり私には関係ないだろうと考えるのを止め夕食を作ることにした。
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