ピエロのワルツ(全33話)
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2階の応接間のようなそこに座らされるとマスターはにっこりと笑いコーヒーを淹れてくれて、マスターは私の前のテーブル越しに腰を下ろした。
「 “眼”を見せてくれるかな?できるかい?」
「……眼って、ウタ君のような、アレですか?」
マスター はゆったりと頷き 私は首を傾げながらコーヒーのカップを置き少し考えるも、そんなことはしたことがないとマスターに変え方を尋ねてみればマスターは少し考えて
「力を入れてみれば」
と教えてくれて、私は左目にに集中してみる。
そうすればゾワリとした何かが背筋に走り、マスターは黙って見つめてくると頷いた。
「確かに、隻眼だね」
と。
「こ、これってどういうことでしょう……?」
「話を聞かないと分からないけど、そうだな、まずは柚木さんのご両親について話を聞かせてほしい」
「私の、両親、ですか?」
「うん」
マスターは笑ったまま頷き私は少し考えるも苦笑いを浮かべ、今まで誰にも話したことのないそれを話すことにした。
と言っても大したことではない。
両親は私を産んですぐその命を散らしてしまったのだ。父と母、いや、母は産んで1週間の私を孤児院前に置いて去り、父は最初で最後の贈り物の、一生背負うこの名を残して逝ってしまった。
もしかしたら2人はどこかに行ったかもしれないし、本当に死んだのかもしれない。
そこのところはよくわからないしらどうとも思っていない。
そのまま私はそこで 高校までを過ごし、4区の会社に就職するまで身を置いてもらっていた。
その間に私の目が赤く黒くなることもなく、グールが出せる赤いナニかを出すこともなく、人間を捕食することもなく静かに育ち、静かに社会人になった。
「あの、グールって、人間以外は食べることはできないとウタ君に伺ったのですが…」
「通常のグールならそうなんだ。ただし、生まれついたの隻眼はそうではない。隻眼のグールはその通り片目しか変色はないし人間の食べるものを食すことができる。柚木さんが今日まで 眼を出せず赫子も出せずにいたのは非常に興味深いが通常のグールの中でも眼のコントロールや赫子のコントロールができないグールもいる。」
そうして続けられていく言葉にしっかりと頷いてればマスターの話はゆっくりと丁寧に分かりやすく続いていき
「隻眼のグールはどうやって産まれるかわかるかい?」
「……か、隔世遺伝……?」
「近いが、遠い」
「はあ…えっと……」
「隻眼のグールは人間とグールの間にできた子供なんだ」
「え」
ということは 私は人間とグールのハーフということになる。つまりは、私の両親は何というか、俗に言う禁断の恋というものになる…のだろうか…。
そうすると私の今後の身の振り方に困ってしまう。
グールが、人間社会でどう生きているのかを、生きていかなければいけないのかを、よく知っているから。
ウタ君が少し特殊なのかもしれないけど友人しかり、ある日の運転手しかり。
何の躊躇いもなくケース持ちと言われるグール捜査官の、グールへの躊躇いのない仕打ちを思い出し、持っていた鞄を掴んでいた手に力が入る。
「柚木さん」
「はい!」
背をピシッと正しマスターに向き直るとマスターからとんでもない提案が出された。
「もしよければ、アンテイクで働かないかい?」
「ここで?」
「うん。そうすればこちらもフォローもしやすいしグールについてもっと教えてあげることが出来る」
というその言葉に私は少しも悩まず首を横に振って断った。特に断る理由は深くはないけれど、断ったのは今の仕事や人間関係が楽しいからだ 。
それに1、2年であってもウタ君と親しくさせてもらっていたし多少なれど身の振り方は分かるので、
「それでも、」
困ったら助けを求めに行くかもしれませんの言葉にマスター笑って頷いてくれてウタ君を交え、しばらく話し合いを行った。
私のグール生活が新たに始まっていく。
狙われませんように!
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