ピエロのワルツ(全33話)
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男が発砲してきた私の服は、その部分部分が焼きこげ穴が開いており、私はその服を脱ぎ捨てると上半身を見ても何の傷もない。
わけがわからず呆然としていた私の目は黒く赤いままで玄関の扉が開き玄関先から
「柚木さん」
というウタ君の声が響いてきた。
「うたくん……」
「柚木さん、何かあ……その目、何?」
「わ、わからない……」
すぐ私の元へと来たウタ君は私の目をサングラスを外してまでして見つめてきて、洗濯カゴに放り込まれている服を見下ろし、ほんの少し赤い痣がついている私の体を撫でるもその赤も消えていきウタ君は顔を寄せてきた。
「隻眼のグール…柚木さんが?」
「ぐ、ぐーる?私が?私、グールなの?」
「わからない…」
グールであるウタ君がわからない、ウタ君が人間だと思っていた私がグールの特徴を兼ね備えているそれに言葉をなくしており2人で困ってしまう。
ウタ君は私の頬を撫でると ジッと私を見下ろしたままで
「わたし、グールなのにご飯食べれるよ?おかしくない?」
人間とコーヒーしかダメなんでしょ?どういうこと!?と混乱している私を尻目にウタ君はほんの少し考えると携帯を取り出し私から離れ誰かに電話をかけている。
私は呆然としながらもう一度 鏡を見て驚いた。いつもの、普通の人間の目に戻っている。
どこまでも混乱しながら、それでも服を着替えて落ち着こうと着替えをとりに寝室に行き、ラックから服をとり、また洗面台の前で服を着るとウタ君が通話を終えたようで私の横に近づいてきた。
何!?
「吉村さんなら、何かわかるかもしれない」
「よしむらさん?」
「アンテイクのマスター」
「あ、ああ……え?あ、そうか、グールか……」
「 今から行ける?」
その言葉に私は頷いて、ウタ君は投げ置いてあったカバンを拾い上げ私に手渡してくると私の手を握りしめ歩き出す。
扉を出れば背後で鍵のかかる音が静かに響いた。エレベーターを降り少し歩いたところですぐアンテイクにたどり着くとウタ君が扉をあけ中に入れば、吉村さんが笑っていつものように
「いらっしゃい」
と言いながらこっちに来てくれるかなと私を手招きスタッフルームと書かれた2階へと通された。
「ウタ君はそこで待っていてくれるかな」
「はい」
「じゃあ柚木さん行こうか」
そうしてまた、私の背後で扉が静かにパタンとしまった音がした。
次がラスト