ピエロのワルツ(全33話)
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あるうららかな日差しの日、私は先の同窓会で再会した元彼と公園は歩いていた。
まあ、他人に言わせればデートであろうが私からしたらただの散歩。この間私の家に来たグールの友人から私の住んでいる場所を聞き出し、休日である今日引っ張り出されたのだ。
何でも話があるということで結婚でもするのかな、なんて軽く考えてたところである。
木漏れ日の中で立ち止まり空を仰げば元彼は私のすぐ横にピッタリと立つと同じように空を見上げポツリと呟いた。
「なあ」
と。
「なあ、俺ともう1回付き合わねえ?」
ただただ空を仰いでいた私はその言葉に元彼の顔を見上げ首をかしげてしまう。
今なんか言った?こいつ。
そう首を傾げる私に元彼はもう一度「だから」と。
「俺ともう1回付き合わねえ?今フリーだろ?」
フリーではないしもう君のことは好きでも何でもないよと言うか悩んでいれば元彼はニカッと笑い
「俺ら、お似合いコンビだったじゃん、だからさ、」
結婚を前提に、とまで続いたところで私は元彼のことをなじまじと見上げ
「はぁ?」
と言ってしまった。
だって驚いたんだもん、仕方ないじゃん。その私の反応に元カレも驚いたようであるが あっちはあっちで本気らしいと知る。が、だ。
が、私には恋人がいるしあなたのことはもう過去のことで残念ながら 復縁をするつもりもないし結婚になんてしない、なので元彼と距離をとり
「それはない」
とはっきり断ればしかし元彼 はぐっと近づいてきて私の背にある木に手を起き、
「なんで」
と口にした。何でってお前、アホなのか?と首をかしげつつ 元彼の手の下をくぐり、至近距離から逃げると
「私もう恋人いるから」
「双葉に聞いた」
聞いた上で復縁を迫るなんてどこまでアホなのだろうとしみじみと思っていれば元彼はひょいと私の横に立ち
「年下だって?未成年?」
「……それについては黙秘する」
「俺さ、考えてみたら結婚相手はお前がいいって」
「あー……言ってたね、よく 」
うるさいくらい。
まだラブラブ期に当たる戯言であるが、この男、まさか本気だったとは。
またしみじみと考えていれば元彼は私の手を取り指を絡めて繋いできたので慌てて振りほどき手を叩く。
元彼は「痛えじゃん」なんて笑っていたがセコム(ウタ君とか)が見ていたら抹殺案件待った無しである。
軽く周囲を見渡してから誰もいないことを確認し、そっと息を吐き出すと元彼が身体を屈め覗きこんできて、私の携帯が鳴り響いた。
この着メロはウタ君だ。
私の顔を覗き込んでいた元彼の胸を押し距離を取ると私は携帯の着信ボタンに指を置いた。
「もしもし、ウタ君?」
「浮気してるの?」
見られてる。どこかから見られている。
慌てて 注意を確認するように携帯を耳に当てながら首を動かしていれば携帯越しにウタ君の声が聞こえ
『その公園の斜め前のビル屋上』
と聞こえたので木陰から出て見上げれば、ウタ君が手を振っているのがよく見えた。
いや、遠いよ。
通りの道路を挟んで木を越えて立っている私と元彼によく気づいたな、とか、面倒なことになりそうだな、とか、何でそんなとこにいるの、とか色々思うところはあるけれど
「もう話は終わったから、買い物して帰るつもり」
『待ってて、僕もそこに行くから』
そこで通話終わり、元彼はまだ終わってないと言っていたがはっきりと「ない」と言い捨てれば元彼はつまらなさそうに口を尖らせ
「今付き合ってる“トシシタノコイビト”を見たら帰る」
だなんてクソ面倒なことを言ってきたためこいつこんなに面倒なやつだったか?よく付き合っていたな、とまたしみじみと思ってしまい
「柚木さん」
とウタ君が駆け寄ってきて抱きしめられ元カレはウタ君の 相貌に驚き私はウタ君を抱きしめ返してから
「じゃあね」
と手を振りウタ君とその場を後にした。
元彼はただただ驚いていて、その後連絡が来ることなかった。
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