ピエロのワルツ(全33話)
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高校来からの友人から
「同窓会を開くから参加してくれないか」
というメールが届いた。
その日はほんの少し残業があった日でウタ君がお泊まりにきていた金曜の夜のこと。
先日の浮気については特に咎めることはしなかったがもうしないということで仲直りをし、月の障りが終わった後に抱きつぶされたのだが。
そんなウタ君もやることができたのか、それでもちょくちょくと遊びに来てくれてウタ君の服が増えていく。いいけど。
そして今日も来ていたウタ君は私が帰ってきた頃にはすでに私の部屋の中でくつろいでいて帰宅のコーヒーを淹れてくれたのは正直うれしい。
ウタ君から「今日いるよ」というだけのメールで元気をもらっていた私は、帰宅したら本当にいたウタ君にガチの元気をもらっていた。
いてくれてよかった。
ありがとう。
ポストを覗いて自宅に戻りシャワーと夕食を終え週末なのでゴロゴロしていればメールを思い出し返信をする。
「喜んで行く」と。
日にちは来週の土曜日。私のマンションから近場にある居酒屋で今のところ参加者はクラスメイトの全員らしい。
とても仲がいいクラスと言われていたからな、マジで。
そうしてメールを送っていればウタ君がベッドの上に上がってきてメール画面を覗き込んできたので
「友達から~」
「なんて?」
「同窓会」
「どうそうかい?」
知らないのかと思った私は簡単に説明すれば頷いてくれて行きたがるウタ君に「どうどう」と落ち着かせ、いやいや 恋人を連れて行く内容でもないから、と言ってもウタ君はあまり納得してくれない。
いやいやいや、ねぇ、なんてしながら当日を迎え、ウタ君が私の家に来てオシャレをしている私を見て
「可愛い」
と言いながらムスッとした表情が出ていて内と外での差に笑ってしまった。それでもウタ君を置いて会場に行けば友達はほぼ集まっていて3年ぶりだとしても懐かしい顔ぶれに笑ってしまった。
久しぶりの!私に同じく友達も久しぶり!と返してくれて席を勧められるので一番仲良くしてた友人の横にお邪魔した。
8時までの予約をしていたらしく、もういいかと思った人たちは勝手にグラスを傾けており私も梅酒を頼みそれらが届いたところで同窓会は始まった。
昔の懐かし語りをしたり現状報告をしたり、なんと結婚をしている友人もいてあっという間の30分前。
その間に携帯にウタ君からメールが来ていたのだがマナーモードのため気付かずにいて
「2軒目に行く人!」
と音頭をとるムードメーカーにみんなが続々と返事をし、私は挙手をする前にお手洗いに向かった。
用をたし手を洗っていれば2つの隣の埋まっていた個室からえづく音がし、大丈夫かと立ち竦んでいれば数秒して個室から水の流れる音がし、クラスメートの1人が出てきた。
その目はウタ君と同じもの。
グール、だったのだ。
戸惑う私にクラスメートは「飲み過ぎちゃった」と笑っていたが、鏡に映った己の顔を見てハッとし顔を背けたが私とバッチリ目が合ってしまったので今さらもう遅い。
こちらに向き直ったクラスメートは、しかしその目はもう人と同じ色でジリと近寄ってきた。
「グールだったんだ」
思わずポツリと呟けば、クラスメートのその子は苦虫を噛み潰したような表情浮かべ、それはもう低い声で
「通報するの?」
と呟いた。
「しないけど……お酒もダメなんだ……」
「え?」
「え?あ…」
前に1度イトリちゃんとウタ君がワインボトル片手に私の部屋で飲み合っていたのはお酒ではなかったらしいのだが それを思い出しての
「お酒もダメなんだ」
である。
不思議そうにしているその子に、さてどうするかと悩むもまあいいかの精神で「実はね、」と。
「私の恋人もグールなんだ」
「え、柚木ちゃん恋人いたの?!」
驚くのはそこかと思いつつ小さく頷き携帯を開けばメールがえげつないことになっており、それを見なかったことにしてフォルダからウタ君との写真を見せればその子は
「ウタさん!?」と呟き、
「何で知ってるの?!」
とこっちまで驚いていれば随分と有名なグールらしく、私とクラスメートは2軒目は遠慮して、私の住んでいるマンションに連れて行くことにした。
ウタ君がいるかもしれないし 、私が本当に通報しないのかを知ってもらうためにもそうすることにした。
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