ピエロのワルツ(全33話)
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ストーカーはウタ君がなんとかしてくれてまた、とてつもなく平和な日々が訪れてきて。
ウタ君に襲われそうになったが月の障りに差し掛かっていたので断固拒否し、ウタ君は渋々と引いてくれて。
そして、ある日の夕方、とんでもないものを見てしまった。
ラブホに入っていくウタ君とミニスカートの若い女の子の姿を。
若いって言ってもウタ君と同年代くらいの女の子だろうけど、これっていわゆる浮気というものでは?
表面上手は平気でいられたけど用事を済ませ帰宅すれば脳内にウタ君と嬉しそうにラブホに入っていく女の子がフラッシュバックしベッドに倒れ込んでしまう。
「マジかぁ~……」
そう低く低く呟き携帯を開くとウタ君からメールが一件届いており(ストーカーの件の 後初めてウタ君と電話番号を交換していないことにウタ君が気づいて交換した)、そこには「今日行くね」と。
時刻はちょうど1時間前。
ウタ君の浮気現場を見てから買い物に興じていたまさにその後。ヤリ終わった直後だと仮定しよう。
その女を抱いた体で私の部屋に来て私とも体を重ねるつもりなのだろうか、はっきり言って無理だ。
とても不快だ。
なので、ウタ君に
「ダメ」
とだけのメールを送り携帯を放り投げまたベッドに沈み込む 。
まあウタ君がこのメールにどう反応するかによって私とウタ君の今後の身の振り方が変わっていくだろうが
「あー…マジかぁ~……」
ノソノソと動き枕を引き寄せると足も絡めて抱きつき大きく息を吐き出してしまうのは仕方ないだろう。が、浮気である。
年齢差も空く時間も全く違うのだからそっちに移ってしまう気持ちもわからなくもない。
私が移るわけではないけれど、一般的な目で見て社会人と未成年。そりゃ浮気の一つもするだろうな。いや、しないでよ。
もう一度大きく息を吐き出してから抱き枕を放り投げベッドから体を起こすと買い物袋を整理しメイクを落としていれば、ガチャ、なんて金属の音がしメイク後のスキンケアをしていた私は慌てて玄関にチェーンをかけようとしたその前に私の部屋の鍵を持っているウタ君が扉を開けていてしっかりと目があってしまう。
「 う、うたくん…」
「 柚木さん」
なんて言葉の後ろに音符が落ち着きそうなご機嫌な声にモヤモヤとしたものが渦を作り、入ってこようとしたウタ君の胸を押しやりそれを阻止する。
まあ 私の力ではウタ君にかなうはずもないけれど、気持ちの問題だ。
でも女の子の香りはしない。
シャワーか。
首を傾げながら
「何で入れてくれないの?」
と尋ねてきたので思わず「はあ?」なんて言いそうになり その言葉を飲み込んで
「今日は、ダメ」
と呟いた。
「どこか行くの?」
「行かないけど…」
「じゃあ入れて」
「……ちょっと、無理……」
「誰か来るの?」
「来ないけど…」
ウタ君はもう一度「じゃあ入る」と、私の手を引き抱き上げ靴も脱ぐと侵入してきてベッドに降ろされる。
ラブホを思い出す。
マジで無理だわ。
「ウタ君、お願いだから今日は帰って、本当に……」
あの光景の後に事に及ぼうとするその精神は受け止めることはできない。そう思っての心からの言葉に、ウタ君は私の前にしゃがみ膝に顎が乗せられた。
違う!
ウタ君はほんの少し眉を寄せて苦い顔をしている私を見上げてくると
「あ、分かった」
と呟いた。
「僕がホテルに入ってくとこ見たんだ」
「見たんだじゃねぇわ」
思わずそう 返してしまえば ウタ君は目を細めて笑い立ち上がりそのまま私を押し倒してくると私の首筋に顔を寄せ、それはもう楽しそうに口にしたのは
「だって柚木さん ダメな日があるからちょっと寂しくて」
本当なら毎日抱きたいのに、の言葉に「え」と声をもらした。それに対しウタ君はそれはもう楽しいに笑い
「そっかぁ」
と。
「嫉妬してくれたんだ」
「違う、不快に思ったの」
「それも嫉妬だよ」
「……なるほど……」
言いくるめられそうになったがそれでも先1週間は障りではないが絶対しないし、他の人で処理していたら別れるといえばウタ君は笑って頷いた。
…… 無理そう。
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