ピエロのワルツ(全33話)
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免許の書き換えや住民票などの書類も出し新しい職場についてから早1週間。業務内容は全くと言っては少し違うが前の会社と同じようなもので 各席ごとにパーテーションで仕切られている。
私が移動してきてほんの少し 仕切る立場になってから休憩 ごとにコーヒーを入れてくれたり話しかけてくれたりしてくる子もできた。
名前も顔も着ている服も可愛くて社内ではまあそれなりに人気があるらしい。
可愛いは正義ってそういうことだろうか。
そうして休憩しながらコーヒーを飲んでればその女子社員がやってきて、何でも私の歓迎会兼飲み会を開こうと思っているのだが今夜は暇か?と尋ねられたので用事があるわけでもないし飲み会……じゃなくて歓迎会を開いてくれるのならお言葉に甘えようと私は笑って頷いた。喜んで、と。
私のその返信に女子社員は嬉しそうに笑うとピンクのネイルが施されている手で携帯を操作し飲み会の会場を押さえ
「他の社員さんにも伝えますね」
と行ってしまった。
今日は花金なので飲みの居酒屋を押さえ話を進めてくれるのは嬉しいが、申し訳ない気持ちになるのは移動してきた上司にあたる人間の飲み、歓迎会に時間を取られるというのがちょっとした理由。
明日は休みだから用事がある人もいるだろうし……いるのか?いる だろ。
用事がある人は来なくてもいいと言って誰も来なかったらそれもそれで悲しいが、よろしく頼むよ社員さん。
コーヒーを飲んで一息ついてから仕切られたデスクに戻り社員さんたちに話しかけられ歓迎会について、私が空いているとふれ回す女子社員のそれを見ながら仕事を開始した。
そうしていれば時間はあっという間であり定時の終礼で挨拶をするそのままの流れで社員さんたちに連れて行ってもらい、女子社員さんが押さえてくれた会場に着いた。
こんな時間でも人波はあるし居酒屋も賑わっている。そのまま2階の宴会席に案内され、誕生日席にはさすがに座らされなかったが私より上の上司の宴会の音頭に歓迎会は始まった。
みんながみんな仲良しの人と話して飲んではいるが、まるで見合いのように私の横に順番のように一人一人 挨拶に来てくれて、その度にグラスを合わせる。
一通りの挨拶を済ませた私は隣に座る社員さんと話していれば結構飲んでしまったようで何時かわからないが二次会に行く勢と帰宅勢に分かれ、私の横にいた男性社員の肩に腕を回す形で支えられている。
体がふわふわと揺れていて楽しい。
水の一杯でも飲んで座っていれば酔いは醒めるであろうが男性社員は私の腰を支え
「どこかで休む?」
と色いっぱいに訪ねてくるのを遠くで聞きながらぼやっと見上げ首をかしげてしまう。
少し向こうで女子社員が心配そうな視線を投げ掛けてくれているのにも思考は回らず、タクシーに乗せられそうになったところで
「柚木さん」
なんて名前呼ばれ反射的に振り返ってしまった。
私をタクシーに乗せようとしていた男性社員は私と同じく振り返り私の「ウタ君?」の言葉に驚き目を見開いている。
「柚木さーん、来ちゃった」
「イトリちゃんも、こんばんわ」
「知り合いですか!?青山さん」
「そう、こいびと」
ふにゃふにゃと笑った私をウタ君が背負ってくれて、イトリちゃんがドアの開いたタクシーの横に立ち男性社員を上から下まで見ると目を細めて笑い
「じゃね」
とご機嫌に私を背負ったウタ君とともに私の新居へと連れて行かれ、翌朝目を覚ました私は裸で寝ているウタ君と、私の腰に手を回し眠っているイトリちゃんを見て二日酔いの頭痛に目をしかめてしまった。
何があったんだっけ……。
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