ピエロのワルツ(全33話)
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誰がどこで私に似た人物がいたと捜査官に話したのだろうか、そうして疑いをかけられているだろう私にウタ君を近づけさせるわけにはいかず翌朝、玄関前で物を落としたふりをして手紙を玄関ドアの隙間からウタ君の部屋に滑り込ませ会社に向かった。
チラチラと嫌な気配が私を見ている気がして思いっきり不機嫌ですを全開に出社した。
ウタ君としばらく会えない。
見かける程度にはとどめられるだろうけど『ウタ』がそんなミスをするはずもなく、仕事を済ませ食事をし帰宅する中でも、やはりどこかしらか視線を感じる。
明日は休日なので新品のスーツを買いに行ったりとやることは多いのだがこんな監視されている中で買い物に行く気も失せる。
もう夕食はいいか、とスーツを脱ぎ捨てシャワーを浴び、テレビのニュース画面を見れば私が襲われた場所の昼の映像が流れ血だまりの現場にまたため息一つ。
そして 『私』によく似た特徴の女性を見た方はCCGまで連絡をとテロップが流れ眉間にシワを寄せてしまう。
CCGふざけんな。
別に私はグールの道に進みたいとかそういう思いはないけれど、このCCGのやり方は気に食わない。私だけど『私』を敵視しあわよくば捕まえようとしている気配プンプンだ。
明日スーツと簡単な買い物だけを済ませマジでしばらくは 引きこもろう。
テレビも電気も消し布団に潜り込み、嫌な気分マシマシで眠りについた。
翌朝目を覚ましシリアルで朝食を済ませると洗濯をし部屋に掃除機をかけ布団を干し鍵をかけて家を後にした。
一昨日あんなことがあったので、もうタクシーの利用はやめようと一応持っている自家用車に乗ると20区に向かい、チラとバックミラーを見ればやはり私を張っていたCCG の捜査官が慌てたように出てきたが、お構いなしにアクセスを踏み込んでちょっとだけ笑ってしまった。
この車内は自由の空間だ。
それでも休日の昼ということもあって車は止まり、20区まで来た私はパーキングに車を止めその場を後にする。
確か 安くていいスーツが売っているお店があると社員に教えてもらっていたのでまずはその店を探して2着、見繕う。
その後ちょっと可愛い服も見かけたのでテンションを上げ 試着室に入り鏡で見るとまあ、そう、悪くはない。
一緒に買い物をしてくれる友人でも誘えば良かったかなと思いつつ試着室のカーテンを開けると
「これもどう?」
なんて目の前に差し出され驚いていれば何とイトリちゃんとウタ君がそこにいて。
「えっ」
と思わず声を出してしまえば笑顔の2人は私に服を押し付けてきて
『捜査官に(今はわからないけど)張り付かれてるから』
会わない方がいいって、手紙 見た?とウタ君に問いかければウタ君は笑って「何かあったら、
「僕が守ってあげる」
なんて それはもう頼りになる 発言に笑ってしまった。
「あ、そうだ、後でアンテイク行きましょ」
3人分のカップ返すから、とイトリちゃんに言われ、そういえばそうだったなと頷きつつ新たな服とともに試着室に押し込まれてしまった。
「もし捜査官が来ても」
僕の友達が教えてくれる。
だからそれまではデートしようか、と。
イトリちゃんが「うーさん私をハブる気?」と言っていたのでウタ君はにこりと笑い
「恋人のデートに付き添いはいらないよ」
と随分と酷いことを言い放ったが、イトリちゃんは気にもせず
「はいはいお邪魔虫は退散します」
と行ってしまった。
「デート、しよっか」
と。
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