ピエロのワルツ(全33話)
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ウタ君とイトリちゃんと蓮示君と歩いてアパートまで帰宅しようとすれば、少し離れたところでパトカーやケース持ちのCCGが二組いて、ウタ君たちのために迂回して帰宅した。
まあどうせ「何かありませんでしたか」なんて聞きの来るのだろうけど、知りません。
鍵を開けるとイトリちゃんがサッと私のベットに座り込みウタ君がコーヒー豆をミルで挽きケトルでお湯を沸かしそこまでやってもらってから蓮示君とテーブル前に座ってもらった。
イトリちゃんがケラケラ笑って
「すっごい血臭」
と言っているのを横で聞きつつ鞄を置いてカップを四つ用意していればウタ君が慣れたように挽いたばかりのコーヒー豆にお湯をゆっくり注いで四人分のコーヒーを淹れてくれた。
蓮示君もイトリちゃんもほぼの当然のように受け取って口をつけており、私もコーヒーを一口飲もうとしたところで外から人の気配がした。素早くチェーンをかけスコープを覗き込めば黒いスーツの男が二人、インターフォンが鳴らされ私はドア越しに「はい」と声を出す。そうすれば
「開けていただけませんか、グール捜査官です」
御協力をと。
私はぐっと息を飲んでから、ちょっと後ろを振り返ると窓が開いたままで後ろにコーヒーカップも誰もおらず驚きながらもチェーンはかけたままドアを開けた。
ウタ君たちはおそらく私のために出て行ったのだろうと考えて。
「……身分証の提示を求めます」
「どうぞ」
「はい」
チェーンとの隙間から身分証を見せてもらい、とりあえずこれは外してお話をお聞きしたいのですが、の言葉に素早く、ではなく“何も知らない”を前提にしてなぜと首を傾げた。
「この近くでグールの死体と我々グール捜査官二人の遺体が見つかりましたので、もし何かご存知であればお話をお聞きしたいので」
と、どこが濁ったような目で見下ろされてしまったが“死体”と“遺体”を分けたそれに不快感が募り、
「ドア越しでも問題ないでしょう?」
「あなたに似た人物を現場で見かけたという情報がありまして、」
「それでたった一人の女性の部屋に男二人を入れろ、と?」
そう嫌味たっぷりに返せば二人は黙り込み
「私は会社員です。仕事してました」
「何のお仕事を?」
「人材派遣です。会社から少し出て別支店に行ってはいましたがそれだけです」
お話は以上でよろしいですね?と、ドアを閉めようとしたがギリギリの隙間で足が差し込まれ
「一人のコートが“あなたに似た”女性にかけられていたという証言もありまして」
「それで?室内に入れろ?と?随分失礼ですね」
2度目の嫌味と同じ問いかけをすればとうとう二人は黙りこみ「女性が」いればいいのですか?と言われ、私は思わず
「はあ?」
と言ってしまったそして彼らの後ろから女性捜査官が姿を見せ苦虫を噛み潰したように気分になりながら
「わかりました」
そう答えた。
一旦ドアを閉め、チェーンを外すとさすがにゴミ袋開封はないと思いたいと念じドアを開けた。
「捜査のご協力ありがとうございます」
女性捜査官は「失礼します」と入ってきたが男二人は中には入れず女性捜査官を見つめ室内を見れば
「こちらは浴室ですか」
と問いかけられながら勝手に開け洗濯機の中を覗き込んでいる。そしてひとしきり私の部屋を見て回った女性捜査官は小さく小さく「おかしい」と呟いていたが何のことかわからず、少々苛立ち気味に
「もういいですか」
と訴えれば女性捜査官は私を見つめてくるも、私はその目を見返し眉を寄せる。
いろんな意味で心臓止まりそう。
しばらく、と言ってもほんの数秒であるが見つめあい
「……失礼しました」
と3人の捜査官は行ってしまい私は改めて室内を見回した。
テーブルには私だけのカップしかなく、洗濯機にも血まみれの服が入ったゴミ袋もなくある意味証拠隠滅をされたそれに鍵とチェーンをかけるとその場に座り込んでそれはも大きなため息を吐き出してしまった。
……引っ越そうかな。
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