ピエロのワルツ(全33話)
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最近4区でグール同士の争いが頻発に起こっているとニュースでやっていたが、何というかまぁ私に害がなければそれで良いと会社上がりの私は考える。今のところ“私”には被害が来ていないため。
私の横を通り過ぎていく人たちも、その中にグールが混ざっているかもしれないだろうけどやはりあまり気にならない。夕飯は会社で残業として済ましてあるため特に腹も空いていないし明日から2連休、天気の良い晴れだと言うらしいから布団でも干すかと住んでいるアパートに戻ってきた。
鍵を開けて中に入ろうとしたらものすごい悲鳴が響き渡り突然のことに驚いて手にしていた鍵を落としてしまい、振り返るがどの辺りから響いてきたのかがわからない。
通報するべきかだろうかと携帯を取り出して部屋に入ろうとすればポンと肩を叩かれ
「柚木さん」
と名前を呼ばれた。知っている声だ。
驚きはしたものの声の主を振り返りみればお隣に住んでいるウタ君が背後に立っておりサングラスをかけヘアバンドで髪を全部あげているいつものスタイルである。
「ウタ君、今すっごい悲鳴聞こえなかった?」
「うん、そうだね、何かあったみたいだから今日はもう出ない方がいいと思う」
「でないよ。もう11時だもん、ウタ君ももう出ちゃだめだよ?びっくりしちゃった」
ウタ君は「そうだね」と笑みを浮かべながら私の体をくるりと反転させて背中を押して室内に入れると手をあげ
「おやすみ柚木さん」
と扉を閉められた。
あの子絶対帰るつもりないな。
そんなことを思いながら鍵とチェーンをかけると鞄を置きスーツを脱ぎながら洗面台で顔を洗い歯を磨く。
いつもの習慣をなぞりながら欠伸をしてまとめていた髪を解くとワイシャツ1枚の状態で鞄から荷物を取り出し整理してから着替えを持って浴室に向かった。
会社から近いし家賃が安いからここに決めたけど、トイレと浴室はやっぱり別がいいな。でもアパートでの人間関係は良い方だし何よりウタ君がいる。これは大きい。
何をして収入を得ているのか 、歳は私より4つ下の17だってことは知ってるし、何かと気をかけてくれるし、今日みたいに夜にいることもある けど。
何してる子なんだろうなあとぼんやりと考えながらシャワーを浴び終えタオルで水を拭いパジャマを着たところで携帯が鳴り画面を開くとメール一件。社長からだ。
嫌な予感を覚えつつメールを開けば、明日の午前中に出勤して欲しいとのことで、何でもクライアントか突然会社を訪れる日にちを変えたということで「勝手だな」と思わずつぶやきながら「ボーナスに色つけてくださいね」という念を込めてメールを送り返した。
10秒もせず社長から絵文字スタンプでありがとうときたのでフッと息を吐きながらベッドに倒れ込んでしまった。
まあ、いいか。月曜日に代休もらおう。
とにもかくにも今はもう眠いため朝早く起きてからいろいろと考えようとドロリとした眠気に負けた。
ウタ君が私の部屋の電気が消えるまで見ていたことに気付くはずもなく、翌朝のニュースでアパート近くで女性の死体が発見されたと報道されたいを見て
「ひぇ~」と思いながら出社した。
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