伏黒と先輩
我に叫べ(全8話)
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こんな時間のため誰も談話室にはおらず、伏黒はどこか疲れたような原雲の背中を見つめ何と声をかけるか悩んでしまう。だが原雲はそんな伏黒に世間話をかけ始め疲れた様子を見せない。この辺りが五条先生によく似ている。似なくていいのに。
原雲は談話室の電気をつけると冷蔵庫から煮物を出しレンジに入れるとまた、買い置きのレンチンご飯を二人分用意し煮物が温まるのを待つ。
伏黒は茶碗を軽くゆすぎ味噌汁を作り、隠すこと無く欠伸をした原雲の目元を拭ってしまった。
その突然の接触に原雲は少しだけ驚いた様子を見せすぐ首をかしげ「なに?」と微笑んできた?
「後は俺がやるんで原雲先輩は座っててください」
「ええ?大丈夫だよ?」
「座っててください」
そう背を押し椅子に座らせれば
原雲は少し申し訳なさそうにしたが、それ以上は何も言わず黙って伏黒の背中を見つめてしまう。
煮物とご飯、味噌汁が揃ったところでお盆に乗せ向かい合って座ると二人して手を合わせて食べ始める。
伏黒も原雲もむちゃくちゃ腹が空いていたので二人の食欲に煮物もご飯もあっという間に終わってしまい、後片付けも伏黒が行うと、とうとう原雲は口を開き「あのさ」と呟いた。
「めっちゃ突然の事を聞くけど、いい?」
「どうぞ」
原雲は、伏黒が椅子に戻るまで待ち伏黒の瞳を見つめると
「真希ちゃんたちから聞いたけど」
と。
ここでへ話題が何なのかを察する。それでも黙って耳を傾ける。
「伏黒君が私を好きなのって、マジやつなの?マジのマなの?冗談抜きで」
「はい」
間髪を容れず答えれば原雲は「あー」と呻き声を上げ両手で顔を覆い隠ししばらく黙っていたので伏黒へ畳み掛けるように
「俺は原雲先輩が好きです。他の男と二人きりになったり話題を出して笑っているところはハッキリ言って嫉妬してました。心はめちゃくちゃ狭いです」
この男子とは狗巻とパンダであろう。虎杖と二人でいるのは見たことがない。
原雲はもう一度「あー」と声を出し顔を覆っていた両手を下ろし伏黒を見つめてきた。
てっきり顔が赤くなっていたと思ったのだが別段変わりはなく真っ直ぐに瞳を射抜いてきた。
「最近私といるけど」
「外堀を埋めようかと思って近くにいました」
「ガチじゃん」
「ガチです」
「そっか~…」と。
もう一度「そっか~」と口にした原雲はやはり頬を染めることなく、けれどしっかりと動揺したように視線を泳がせた原雲に伏黒へ口角が上がってしまう。
「原雲先輩、いえ、刹那さん。好きです。付き合ってください。俺の恋人になってください。」
「えっ…ええ……?」
「刹那さんの顔を見るだけで嬉しいです。例え任務だとしても…他の男と二人きりでいるのは愉快ではありません」
めちゃくちゃダサいし格好悪いかもしれませんが、とそこまで言えば原雲はとうとう顔を赤くし焦ったように手を上げブンブンと振るがその手を掴み握りしめれば 原雲は
「ひえ~…」
と小さく声を漏らし顔を俯けたがその顔は真っ赤である。
もう止められない。
「刹那さん、聞いてください」
「…聞こえてます…」
「返事、くれますか?」
「うう……」
と唸った原雲は真っ赤な顔を上げると伏黒を見つめ口をパクパクとさせていたが意を決したように口を引き締め、握りしめられた手を開き伏黒の手を握り返した。
それが答えだ。
「お手柔らかに……」
なんて、不思議だがしっかりと返事をくれた原雲に伏黒は笑みをたたえテーブル越しに顔を寄せると
「頑張りましたよ」
と始めに原雲が応援したそれを思い出させるように言えば、蚊の鳴くような声で
「よくできました…」
と囁かれてしまった。
俺の勝ちだ。
終わり
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