伏黒と先輩
我に叫べ(全8話)
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夜中に腹が空腹を訴えはじめ目が覚めた伏黒は自室の冷蔵庫を覗きこみ、ため息を吐く。何もない。
最近は少し忙しかったから買い物に行く暇もなかったため仕方がないが談話室に向かう途中で階段からギシリと軋む音を耳にした。
この階段は女子寮に向かう階段だ。
こんな時間に誰だろうと見上げた瞬間「うわ」という声が聞こえ薄暗がりの中、階段から一人の人間が落ちてきた。
どうやら足を滑らせ階段を踏み外したらしい。
何かを考える前に手が出てしまい落ちてきたその人間を伏黒は受け止めた。
全身にかかる負荷と固い感触に伏黒はそのままその場に腰を落とし軽い痛みに眉をしかめてしまうが直ぐそれは晴れる。
「原雲先輩」
「あ、伏黒君、ありがとう~」
いえと答えつつ腕の中の原雲は酷く疲れたようであり身長とほぼ比例した体重より重く感じたそれは原雲の持っている大量の呪具である。それは原雲も分かっているようで原雲は「重かったでしょ」と笑い立ち上がれば金属音が鈍く響く。
「それは?」
「修理用の呪具」
原雲は構築術師であるためそんな依頼が入るのは最近風の噂で知っていたが、こんな量を?という表情が出ていたようで原雲はへラリと笑い立ち上がる。
また金属音が鈍く鳴り、伏黒は同じく立ち上がり原雲の肩から鞄を一つ取れば物凄く重い。もう片手にも同じく呪具が入っているようでそりゃ重いだろう。
「部屋にですか?」
「そう、回収して、直す」
任務に行くよりこっちのがお金入ると笑った原雲になるほど原雲先輩があまり外に出ない理由が今分かったと頷き伏黒は視線で促した。行きますよ、と。
原雲は階段を上り直し一番手前の部屋の扉を開けたため、伏黒はそれに続き重い気配に息を飲んでしまい、そして別の意味でまた驚いてしまう。
部屋中呪具で溢れかえっているのだ。そして窓側にベッドがひっそりと寄せてありカレンダーにはビッシリとメモが書きなぐってある。しかし原雲は慣れたように(まあ自室だから)鞄を置き、伏黒も同じく呪具の入った鞄を置く。
「触っちゃダメだよ、この部屋は私と悟兄さん以外ほぼ立ち入り禁止だから」
「ほぼ?」
「真希ちゃん」
なるほどと呟き、鞄から呪具を取り出しながら扉の前に立つ伏黒を見た原雲は首をかしげ
「そういえば」
「伏黒君何してたの?」と。それに対し「少し腹が空いたので」と答えれば、談話室の冷蔵庫に誰も食べてなければ煮物があるよと勧められたため「一緒に食べましょう」と被せるように口にした。それに原雲は小さく笑うと
「5分待って」
と言ってカレンダーにチェックを入れると伏黒とともに夜食を食べに談話室に向かった。
深夜一時十四分のことである。
誰もいない