伏黒と先輩
我に叫べ(全8話)
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倉庫内の呪具の数とつい今しがた追加した呪具の本数を数えノートに記しているのを眺めていれば原雲は顔を上げることなく伏黒に
「今からならまだ学食開いてるから行った方がいいよ」
と言われたが伏黒へ黙ったまま首を振りとどまった。そんな伏黒に原雲はチラと視線を送り、ふっと表情を緩ませるもまた確認作業に入る。
室内は微かな灯りと外からの夕陽に照らされているも、夜の帳が下り始めていて段々と暗くなっていき原雲も灯りを求めて扉脇に寄っていく。
伏黒へそれを見て原雲の手の中のノートを見ればまるでパソコンで打ったようなキレイな文字が列なっており眼を見張ってしまう。
伏黒は本の少し黙ったあと「もしかして」と呟いたのは
「もしかして、たまに手作りの簡昜テストを作っているのは」
原雲先輩ですか、と問いかければ原雲はノートに書き込むのを止め伏黒を見つめる。
「そーだよ」
呪術界にいて任務が長引くと座学もあまり出来なくなっていくため、本の少しの簡単な知識くらいは持つべきだろうと代々そのテストを作るのは上級生であるのは暗黙の解。
教師がやらないのは上級生の方が一体どの、何の知識を持っていれば大切かを「今の」若者の方が理解しているものなのでそうなっている。
「テスト内容、めちゃくちゃ難しいんですけど」
その言葉通り毎回、釘崎も虎杖も教科書を開いてしばらく悩みこんでいるのだ。相当心が曲がっていないと作れないような内容に伏黒も教科書をめくってやっているのだが確かに、役に立つものばかりで無意味にはなっていない。
「あれね、ジャンケンで決めてるの」
「は?」
思わず食い気味の「は?」になってしまうも原雲はさして気にした風もなく
「私、壊滅的にジャンケン弱くてさ」
毎回悔し紛れに嫌がらせを含めて作っていると答えてきたため伏黒はため息を吐き出した。
「虎杖、補習してるんですよ」
たまに釘崎も、と言えば原雲は「あはは」と明るく笑い
「そうしたくて作ってるんだもん」
ときたもんだ。だもん、じゃないと言いたい。伏黒も手をこまねく内容のため本当に嫌なテストだと思っていたがまさか本当に八つ当たりとは思わなかった。嫌がらせに八つ当たり…。
「伏黒君はちゃんと問題を解いてるからいいよね」
「もう少し優しくしてください」
「あはは!それじゃあ私が楽しくない」
楽しんで八つ当たりしてくるところは、まるで五条先生のようでまたため息を吐き出せば原雲は室内に戻ってきて微かな灯りを消した。
作業は終わったらしい。
外は真っ暗であり、原雲は手探りで倉庫の鍵を閉めると鍵とノート片手に伏黒を促すように歩きだし始め、伏黒も一歩進む。
スマホの時計を見るともう8時を回るところであり、食堂はしまっている。
自室に何かあっただろうかと考える伏黒を横目に二人して職員室に着くと原雲は伊地知にノートを渡し、数言話すと廊下に立つ伏黒に近付いた。
「ご飯作るけど食べる?」
「先輩料理できるんですか?」
「それどういう意味?!酷くない!?人並みには作れますけど!??」
「冗談ですよ」
はあ~?冗談で私の心抉られたと口を尖らせた
原雲に小さく笑ってしまい、けれど寮の談話室に着くと原雲は上着を脱ぎ捨て腕をまくる。
「嫌いなモノある?」
「特に」
「あっても作るけど」
さっきの仕返しだと気付きつつも伏黒は原雲に近付いて手早く料理を始めた原雲の手先を見てしまう。そうして作られたのは中華丼。
ガッツリ多めに作られたそれを原雲と並んで座って食べていればどことなく似た味を思いだし
「たまに冷蔵庫にある料理って原雲先輩が作ってたんですか?」
と問いかければ 原雲はスープを飲みながら「そうだよ」ジャンケンに負けて、と付け足し「美味しい?」と尋ねられたので伏黒は「はい」と頷き大きく口を開けスプーンを口にいれた。
知らなかったな