隣の隣の社会人(全14話)
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「い、今ここでお返事をするべきでしょうか?」
「ここではなくても構いませんが、できれば早急に」
「早急に」
早急に死(萌死)を選べと?
私は確かに七海さん推しだし正直にやけてしまいそうになる話しでもある。断わる理由は私に無くても七海さんにはきっとこれから出てくるはずだ。そんなの私のメンタルが持つはずがない。それでも別の人と幸せになってくれてもハピハピなので別にいいが。
無言で下を向き考えこんでいればお茶が二人分運ばれてきて二人して熱々のそれを口に運ぶ。
もう飲まないから居酒屋を出るべきだろうとしていればフイと七海さんの視線が私の後ろにいき、私が振り返れば同僚君がこちらを見てきている。
出場亀か!
ジロリと睨み付ければ同僚は「お邪魔しました~」と笑いテーブルにつき、七海さんに名前を呼ばれたので七海さんに視線を戻す。
「お茶を飲み終えたら行きましょう」
「ひ……はい……」
肩に力が入ってしまい、ガチガチでお茶を飲んでいれば七海さんに「そこまで緊張するものですか」と視線で問われた気がして慌ててお茶を飲み干した七海さんと席を立つ。
七海さんはそのまま出入り口へと行こうとしたのでその肩に「お会計は」と訪ねかければサラリと
「支払いは終えてます」
なんて何すんなり奢ってるんだよスマートか!と突っ込みそうになるも七海さんと暖簾をくぐり抜け歩き出す。
空には月と星が輝いておりそれほど暑い季節でもないが夜風は頬に気持ちがよく、七海さんの横を歩けば七海さんにチラリと見下ろされてしまった。
かおがいいよおおおお!!!
月並みな感想しか出てこなかったが七海さんは気にもせず歩いており私はドキドキしながら七海さんのその大きくて、硬くて、でも手入れをしてあるその手を、握りしめた。瞬間、七海さんは驚いたように目を見開き私を見下ろしてきたがその手をふりほどきはせず、数秒、体感的には数十秒見つめ合うと七海さんは懐からサングラスを取り出して目にはめた。その理由はすぐ分かった。
七海さん、照れてるんだ。
ひゃー!とんでもねえことだ!えらいこっちゃと頭の中で騒ぎ倒していれば七海さんは私と繋いでいる手に力をこめスルリと指まで絡めてきた。
だから、スマートか!!
そうだよなぁ、七海さん格好いいもんなぁ、友人はゴリゴリの五条悟推しだったし友人や他のオタクの言葉を借りるならイチヤノオトモダチもいるかもなんて、なんて……七海さんがそんなことしなさそうなのはアニメで観てましたから!
何かお疲れ案件でもあったのだろうか。そういえばさっきの電話は仕事の電話であったのだろうか。
色々と考えこみながら、それでも七海さんの大きな手に包まれている私の手から熱が広がっていき、酒に酔いもしない私を称えるべきか、酔えよ!と言うべきか。
二人無言で夜道を歩いていればマンションは目と鼻の先で、私は七海さんと繋がれている手にギュッと力をいれ七海さんの手を引く。立ち止まる。
そんな私の行動に七海さんは私を振り返り、ハッとして周囲を見ようとしたので私は慌てて
「違います!呪いではありません!」
と伝えた。そうすれば七海さんは肩を下ろしついで不思議そうに私を見つめ、私は私でドキドキしながら繋いだ手を離さず七海さんを見つめる。そして一言。
「な、七海さんの告白ですが……」
「っ、はい」
七海さんは一瞬息を飲んだがしっかりと私を見つめ、私も私で七海さんを見上げ頷いた。
「わ、私でよければ、お付き合い、ください……」
日本語がおかしいが緊張しているからだと己に言い聞かせ、七海さんは私を見つめ固く引き結んだ口を開いた。
「本当にいいんですか?」
「好きな要素しかないので……」
オタクとして、とは言えなかったが。
私のその返答に七海さんは私を引き寄せてくると夜空と夜道の中で抱き締められてしまい私の頭はパージした。
もう無理です。
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