隣の隣の社会人(全14話)
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私が5杯目を飲む頃に、七海さんのスマホが着信を告げたため「失礼」と断ってから七海さんは席を立ち居酒屋の外へ出て電話をしている。
そうして消えた背中を見送ると大きく息を吐き出してグイッとグラスを傾けた。そろそろシフトチェンジするかな。なんて1人で何を飲もうか悩んでいれば同僚から声をかけられパッと振り向いた。
「さっきのイケメン外国人さんは?」
「電話~」
そうして同僚君とその友人君はグラスを持ったまま近寄ってきて私を挟んで話しかけてきた。
「最近、出勤退勤の迎えに来てる人って社内で噂になってるよ」
「えぇ…申し訳ねぇな……」
まあ、見られていても当然だろうな、毎日一緒にいるんだから。それに「何で?」とも思いつつ多分私が呪いを視認し始めたのを心配してきてくれているんだなと思う。七海さん優しいもん。
同僚君はさすがに七海さんの座っていた席には座りはしないが絡んできたためそれにホッとし七海さんとの、緊張を漂わせていた飲みに肩を下ろす事ができた。同僚が癒しだ。
5杯目を飲み干したところで私は一旦荷物を持ち化粧室に行くと用を済ませ次いで化粧も軽く直すとテーブルに戻った。そして軽い目眩も起こした。
同僚君が七海さんに絡んでいるからだ。
ひぇ~~!申し訳ねぇ~~!今助けますねと早足でテーブルに戻れば七海さんは焼酎を傾けながら私の同僚君と話しており、私に気付いた同僚君は私に手を振ってきて
「おまえらぁぁぁ」
と地を這う声を出してしまった。
いや、マジでお前ら何してる。
そんな私の声にも同僚君は気にもせず七海さんとグラスを交わしており私は私の席に腰を下ろした。
七海さん、ごめんなさい。こいつは酔うと絡むのです。
しかし七海さんは先程のように嫌そうな表情は見せずにおり私がいない間に何かあったのだろうか。
同僚君は七海さんに耳打ちするとヘラヘラ笑って私の肩を叩くと己達のテーブルに戻り私はその不思議な態度に疑問を持ちつつもグラスに手を伸ばした。
七海さんのグラスは空だ。もう打ち止めだろうか。
冷えた鳥串を食べつつ私もグラスを空ければ、七海さんはそれを計ったかのように口を開いた。
「……良い方達ですね、響さんの同僚さん」
「な、何かおかしな事言われました?」
「いえ、大したことは何も」
大したことではないことは言われたんですね!
私は「はは」と空笑いが出てしまい七海さんも残りの鳥串を口に運んでいる。
ところで電話は誰だったのだろうか。仕事?
聞いていいことなのかも分からないので口を開きもせずにいれば七海さんは空いたグラスやお皿を横に寄せると小さく息を吐いた。
脈絡も突拍子もない言葉に私は固まってしまう。
「私と結婚を前提にお付き合い願いたいのですが」
と。
え、えぇ~~?!本日2度目の告白にどうしようとして挙動不審になってる私の口からは言葉は出てこないし、そのまま固まっていれば七海さんは眉を寄せ小さく息を吐き出したので私は慌てて手を上げ
「な、何か枕ことばが聞こえたのですが!」
「では枕元で囁きましょうか」
「ひぇ……」
勘弁してください!七海さん、私のようなモブはダメですよ?!パン屋のお姉さんがいるでしょう!?ステイ!落ち着いて!!
なんてしていも七海さんは真っ直ぐ私のことを見つめてきていて色んな意味でドキドキしていれば七海さんは自分のお茶と私のお茶を頼み、それでも私の返答を待っている。
ツラい!!とりあえず保留はありでしょうか!!??
私の後ろのテーブルにいる同僚君たちが耳を澄ませていることに私は気付いていないのだが。
聞くな!